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おや、剛の様子が……

「ん……にゃう……」


いつの間にかソファで寝ていた。えーと……なんだっけか……剛に俺が楓だって説明するんだったっけ……?


「お、起きたか。最高神が何かしたみたいでな、皆記憶が飛んで気を失ってたらしい。」


椅子に座っていた直矢が振り向いて説明してくれる。


「またあいつか……」


ホント、呆れるわ……


「ま、あれはもう天災とでも考えるしかねぇだろ。実際、天から来るワケだし、防げねぇし。」


「だなぁ……で、どこまで話したっけ?」


剛に尋ねると、


「……ん? あ、ああ……多分、なんも聞いてねぇ。」


なんだか目を合わせただけで顔を赤くされた。どうしたんだろ……


「んーと、じゃあ簡単に話すと……まあ、神様が俺を女にした。終わり。」


実際、色々あったけどこの一言で済む。


「なるほどな……分かった。」


「え、マジで!?」


この説明で納得された……流石にもう少し詳しい説明が必要かと思ったのに……


「ああ……」


「ま、まあ、ならいいんだけどよ……」


流石にビックリするわ。適応能力高すぎ。


「じゃ、俺はそろそろ帰ろうかな―――」


剛が言い終わったところで、


グーッ


剛の腹が。


「……ご飯食べてく?」


お袋の言葉に、


「……ご馳走ちそうになります。」


頷く剛。


 ◇◆◇◆◇◆◇◆


「ふぅ……美味しかったです、ご馳走様でした。」


今日の飯はカレーだった。途中で剛が夢と同じだ……とかなんとか呟いてたけど、なんだったんだろう……


「いいのよ、ご飯は大勢で食べるのが一番美味しいんだから。じゃあ、そろそろ帰らないとご両親も心配するんじゃない?」


「そっすね……そろそろ帰ります、お邪魔しましたー。」


軽くお袋に礼して部屋を出て行く剛。


見送るために俺も部屋を出る。


そして、玄関のドアの前で、


「今日のお前……うん、めっちゃ可愛かったぞ。」


そう言う剛の顔はキラキラと輝いていて、不覚にも少し顔を赤くしてしまった。


……女に思考が近付いているのかも。ヤバいな。


 ◇◆◇◆◇◆◇◆


「で、どうだったの? 今日のデートは。」


部屋に戻ると、お袋が早速聞いてきやがった。目がキラッキラしている。……これを早く聞きたくて剛を帰らせたんじゃないだろうな?


「え……と、楽しかったよ、うん。」


「何かしたの? 何か……そう、男の子と女の子がするような!」


「落ち着け姉貴。」


とても鼻息が荒い。大丈夫かこいつ。


「それは良かったわね。試着はどうだった? 楽しかった?」


お袋が聞いてくる。


「いや、正直疲れた……って、何で知ってんの!?」


ビックリだよ! あまりに自然に聞いてくるから一瞬普通に答えるところだったよ!


「そりゃ、けたに決まってるでしょ? 娘の初デートなんて、見ない手は無いわ!」


「……マジでか。」


てっきり尾けてたのは兄貴だけだと思ってた……今日の行動全てを見られてたと思うと……恥ずかしくて死にそう。


「ちなみにお姉ちゃんは生徒会の仕事とかで来れなかったんだけどねー。」


幸が補足する。


なるほど、だからあんな風なのか。……いや、元々な気もする……


「てか、何人で見てたんだよ……」


「えーと……私と勇牙と、幸ね。」


「へぇ……どこまで見てたの?」


「えーと……大体は見てたわよ。」


「……映画館の中も?」


「そうよ。まあ、楓が途中で出て行った後は私と幸は中でそのまま見ていたけど。」


「マジでか……てか、幸、ああいうのいけるんだ……」


初めて知った……


「うん。ああいうの初めて見たけど、面白いね!」


……滅茶苦茶怯えていたあの時の自分に蹴りを入れてやりたい。


「そういえばさ、そのぬいぐるみはどうしたの? 可愛いね。」


「これ? さっきお袋には言ったと思うけど、剛にとってもらった。いる?」


「えっと……1、2、3……4つかー。てことは、お姉ちゃんと、エディちゃんと、光花おねえちゃんと、私、でいいのかな?」


「かな。」


ちょうどいい。


「じゃ、お姉ちゃんどれがいいの? お姉ちゃんがとってもらったんだから、最初はお姉ちゃんが選ばなきゃねー。」


「お、おう……じゃあ、俺はこれ。」


ハリネズミを取る。そもそも俺がこれ欲しかったワケだし。


「へー、可愛いね。じゃ、私選んでいい?」


「いいぞ。」


「じゃーねー……これにする!」


幸は犬をとった。うん、可愛い。


と、話していたら、


ガチャッ


鍵が開く。


「あ、いきなりあけるのはダメだったかな?」


「ただいまでーす!」


エディと澄也が帰ってきたみたいだ。どうやら合鍵を渡されていたみたいで、それで鍵を開けたっぽい。


まあ、実際やろうと思えばあいつ、鍵開けることくらい余裕そうだし、渡しちゃってもいいのかな?


「あ、お帰りー。ご飯あるけど、食べる?」


「あ、お願いします。」


澄也が言う。なんだかんだでこいつは行儀いい気がする。普段ふざけすぎなだけで。


「僕の分もお願いします!」


エディは元気だ。


「どこ行ってたの?」


「ちょっとねー。この匂いだと……今日はカレー?」


「そうだよ。」


「楓ちゃんの手作りだったら嬉しいけどなー。」


「残念でした。お袋が普通に作りましたー。」


「あんな美人の人の手作りなら大歓迎さ!」


実にポジティブな奴だ。


「あれ? 楓さん、それは?」


エディがぬいぐるみを指して聞いてくる。


「あ、これ? 色々あってもらったんだけど、一ついる?」


「え、いいんですか!?」


すごい嬉しそうだ。こっちまで嬉しくなってくる。


「いいよ。好きなの選んで。」


「ありがとうございます! えっと、じゃあ……この子、いいですか?」


エディが選んだのはひよこのぬいぐるみ。じゃあ、姉貴は余ったペンギンだな。余り物、っていうといい感じはしないけど、ペンギンも結構可愛いし、大丈夫でしょ。

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