元知り合いとならデートするのも悪くないかな。……面白がる意味で。
夏休みが終わりに近付いていてテンション駄々下がりです……執筆意欲もそれに比例して消えて行く……とりあえず、寝ます。
「泰隆ァァァ! 写真の子は何処だァァァ!」
なんか、すごい勢いで走って来た……
「ここにいるぞ。」
「のおお! ヤバい、美人! どっちも可愛い!」
超急なブレーキをかけて俺達の前で止まる。
「さすがの速さだな、柊仁。」
「いやー、ダルマを撒くのが大変だったぜ!」
「何してたんだ?」
「三者面談。窓から飛んで来たぜ!」
「あれ、俺らの教室、三階じゃね?」
「案外いけた。」
マジか……普通、三階から飛び降りないだろ……
「てか先輩、この時期三者面談ですか?」
熊さんが冷静に聞く。さすが。
「ああ、俺だけ特別にな。いつも途中で逃げ出すから。だから今回は廊下に厳ついバリケードが張られてたんだけど、窓から脱出した。」
もうダメだこの人……
「まあいいや、美人とのデート権取り合うんだろ? いいじゃん、俺が絶対とってやる。」
「じゃあ、俺が強の方はいるから、お前勇牙の方入ってやれ……って、直矢死んでる。やりすぎたか?」
「クラッシャーの一撃はさすがのアイアンボディでも耐えられんかったようやね……」
「あの、私多分起こせますよ?」
おそらく耳元でお兄ちゃんと囁けば起きてくれるはず。……嫌だけど、活躍してもらって枠を埋めてもらおう。
「え、マジで? 起こせるんならやってよ。」
「多分起きますよ。」
兄貴に近付いて、耳元で「お兄ちゃん」と囁く。
起きない。
「あれ? ちょっともう一回いいですか?」
今度は「お兄ちゃん、起きて」と囁いてみる。
ピクリ、と動いた。
今度は更に、「お兄ちゃん、起きて、頑張って」と囁いた。
飛び起きた。
それはもう、ものすごい勢いで飛び起きた。今まで死んだ振りでもしてたんじゃないか、ってくらいの勢いで飛び起きた。
「頑張ってやるぞォォォ!」
「うお、起きた。」
「さすが、楓ちゃんだな。」
「え、何、強、もしかして知り合いだったの?」
「ん? そうだぞ?」
「えー、ズルいー。」
「いいじゃねえかよ、別に。今度、勇牙に行って家にでも行けばいいじゃねえか。」
「あ、いいねそれ! そうする!」
うわ、すげえ。この二人、物理的な高低差がすごい。凸凹コンビ、って言うより大小コンビって感じだけど。
「センパイ、復活しはったで?」
「そうだな……てか、チーム分けどうなってんの?」
「えーと、こっちが強、風柚、わい、こいつとこいつで、他がそっちです。」
「成る程な……ま、始めようか!」
◇◆◇◆◇◆◇◆
「疲れた……死ぬ……腹減った……」
兄貴が地面に寝転がって言う。
化け物達の本気を見ました。正直、こいつらなら誰にでも勝てる気がする。おかしい。
「帰ったら何か作ってあげるよ。お疲れ。」
「うお、マジで!? やったね!」
「わいも疲れたわ。でもまあ、部活ほどではないわな。」
「で、MVPは誰になったの?」
「そう! それが気になる!」
「じゃあ、わいが決めていいか?」
「いいよー、いつも成之助は公正だしねー。」
「いんじゃねえのか? 風柚の言うとおり公正だし。」
「だよな。いいだろ。」
「じゃあ、MVPは、剛クンやな。わいらみたいな規格外達の中で頑張ってた。」
「あれ、俺の名前知ってるんスか?」
剛が聞く。
「ああ、結構呼ばれてたから、その時に。」
「てか、何で俺は違うんだ!?」
「そりゃセンパイ、わいらは規格外すぎるで。元々MVPの対象はわいら以外やったんや。」
「マジかよ……デートして!」
エディに頼む柊仁先輩。
「えー……どうします? 直矢さん。」
「俺に聞くのかよ……好きにしろ。」
「え、何、あいつ彼氏?」
「ち、違いますよー!」
「え、じゃあどういう関係?」
「えーと……主従関係?」
「マジかっ!」
変なものを見る目で直矢を見る柊仁さん。
「誤解される言い方するなよ……昔、軽いバイトみたいなのをしてて、それで先輩でちょっと教えてた、ってだけです。」
嘘上手くなったな。
「まあ、それはいいわ。じゃ、剛クン、どっちがいい?」
「え、マジでいいんスか……?」
「大丈夫や。……いいよね?」
「まあ、別に一回くらいならいいですけど……」
「僕も、別にいいですよー!」
「じゃあ、明日、いい?」
俺が手をとられる。マジか……まあ、別に知ってる相手だからいいか。面倒だし、事情も伝えとこう。中学時代の俺を知ってるのはこいつだけだし、口止めしときゃいいか。
「いいですよ。明日、どこにいればいいですか?」
折角だしからかってやろ。にっこり微笑む。
「え、あ、うーん……じゃあ、向こうのショッピングモールの入り口で。12時でいい?」
「いいですよ。楽しみにしてますね。」
「う、うん……」
うわ、照れてやがんの。結構これ面白い。




