風邪引いて天国行くとは……
「ふぁあ……」
寝すぎて頭が痛い……
「あ、起きたよ!」
「本当ね、寝顔も可愛いけど、寝起きも可愛いわー」
「いやー、可愛い娘は何やっても可愛いって、本当ですねー。」
「ホントね!」
姉貴と幸と優斗が俺のことを見ていた。
「……何、もしかしてずっと見てたとかじゃないよな?」
もしそうだったらもうやだ、逃げるわ。
「うん!」
「そうよ!」
「もちろん!」
「やだ怖い、逃げる。」
ささっと逃げよう……お前ら、そんなに暇なのか……?
「はぁ、はぁ……」
逃げるために廊下を走っただけで息が切れた……元々体力めっちゃ落ちてる上に風邪で更に落ちてるけどさ、ここまでとは……絶対長距離走とか無理だろ……
「顔赤くして息切らしてる楓、可愛いわー。」
「あー、可愛すぎだね! 嫁に来て!」
「駄目よ! 楓は私の嫁よ!」
「じゃあ婿にもらって!」
「いいわよ!」
何でだよ……
「お姉ちゃん、風邪引いてるんだから無理しちゃ駄目だよー」
「いや、これ無理なのか……?」
「無理だよー!」
「……まあ、無理はしないどくよ。」
しんどいし。
「よし、そうとなったら戻ろう!」
「分かった……てか今何時?」
「えーと……3時だよ!」
「マジで!? 俺、なんも食ってねえんだけど!」
腹減ってないけどね!
「あ、そっか。じゃあお粥作るねー!」
「私も作るわ!」
「じゃ俺も!」
何だこのノリは……
「……まあ、とりあえず俺も下行くわ。」
寝すぎた。ずっと寝てるのも逆に身体によくない気もするし。
「あ、じゃあ毛布持って来るね!」
「あ、頼むわ。」
「じゃあ私達は先に作ってるから!」
「分かったー!」
階段をゆっくり降りる。
「お、起きたか。調子はどうだ?」
直矢が帰ってたらしい。ちょうど風呂上りみたいで、湯気が立っている。
「うーん、最悪ってわけじゃないけど、悪い。」
「そうかー……まあ、とりあえず最高神に文句言ってくるわ。」
「あ、大丈夫ですかー?」
直矢の後ろからエディが出てきた。エディからも湯気が……
「あれ、もしかしてエディと一緒に入ったとか……」
「いや、無い無い。俺がまず駄目だし、エディもそういうのは苦手なんでな。てことで、エディは天界の俺んちの風呂に行ってたんだよ。あ、そうだ、エディ、一緒に行くか?」
「んー、そうですねー、あ、そうだ、楓さん、一緒に行きます? 体にいいものとか一杯ありますし、楽しいし、いいとこですよ!」
「え? ええー……」
まさか風邪を引いて天国に行くとは……いや、死亡フラグじゃないよ!? 死なないから!
「てかさ、その体にいいものを持ってきてもらうって駄目なの?」
「それがですね、基本的に無断での世界間の輸出入は禁じられていて、許可を取ればいいんですけど、結構手続きが面倒でですね……」
「あー、なるほどね。じゃあ……うーん、行ってみる。寝たら多少楽になったしさ。」
「分かりました!」
「……おいおい、無理すんなよ?」
「んーと……まあ、大変になったら直矢が何とかしてくれるでしょ!」
最悪倒れても、運んでもらったり、治してもらえばいいわけだし。
「お前な……まあ、いいけどよ……あ、そうだ、力の制限についても言わないと。」
「あ、それは大事ですよね。いきなり制限されて、困っちゃいましたよ。」
「だな。そうじゃなきゃ治してやれたのに。」
「ま、とりあえず行くんならさっさと行かない?」
「……飯食ってからにしねえか? 最近、体がなまってたんで、少し多めに走ってたら色々あって、こんな時間になっちまってよ……」
「あ、別にいいよ。……でも、うちに食いもんあるかな……今、姉貴達が粥作ってるけど、それでいい?」
「ただで食わしてもらってんだから、飯に文句はつけんさ。」
「この前作ってあげたら散々文句言ったのに……」
エディが少しいじけたように言う。
「……いや、お前、砂糖と塩を間違えたら普通文句言うって。大体お前な、何故生姜焼きで塩と砂糖を間違うんだよ。あんな甘いの初めて食ったわ。」
なんじゃそりゃ。
「……いやー、色々あったんですよぉ……」
「……はぁ、まあいいけどよ……じゃあ、できるのをただ待ってるのも難だし……ってできたっぽいな。」
「早くね?」
「まあ、あれだろ、澄也が何かして、加速させたんだろうよ。」
「なるほどー……でも、かなり制限されたんじゃなかったけ?」
「まあ、あいつなら何か制限の穴でも見つけるだろうさ。アホなことばっか言ってるけど、天才だからな。」
「そうなの!?」
「ああ、あいつ、多分今大学入っても余裕でついて行けるぜ。授業中、話してるか寝てるかなのにテストとか、ほとんど満点だったし。」
「マジか……」
「あいつ、何したらあんなことができるのか……」
「羨ましいわー……」
「だな。英語とか無理だ。」
「俺は……全体的に苦手かな。どちらかっつーと理数系で、社会が特に苦手だなー……」
「そうか……俺も理数だな。理科、数学は何となく分かる。国語も得意だ。だが、英語と社会が意味分からん。」
「うーん……結構レベル高いよ? あそこ。」
「マジか……まあ、英語はもう捨てる! あんなもん知らん!」
これから、部活の大会やらテストやらごちゃごちゃあるんで、しばらく休ませてもらいます。休みばっかですいません……19日には復活します!




