大嘘寺
昔々ある村に、大嘘寺ちゅう寺があったと。そこには厳しい和尚と馬鹿正直な小僧が暮らしとった。
ある日、和尚が隣町さ行かねばならず、小僧が留守番することになったと。
けんど和尚には気がかりがひとつ。それは本堂の釈迦像前に飾られた古い陶器の壺。村の衆はお釈迦様が使った貴重なもんだと信じちょるが、そりゃまっかな嘘。骨董に目がない和尚が寺の金を使ぁこみ手にした、それは高価な壺で、なにより和尚のお気に入りだったと。
和尚は小僧に、
「儂の外出を口外せぬようにな。もしも盗っ人が壺を狙っても、釈迦像の中に隠しておいたから安心じゃ。壺は和尚が持って行ったと申せ」
と言い含め、隣町さ出かけた。
けんど小僧は留守番役が誇らしく、「和尚様はお出かけです」と参拝者たちに喋ってもうた。
夕刻。案の定、留守を聞きつけた盗っ人が、壺目当てに本堂さ忍び込んだ。けんど壺はどこにも見当たらん。盗っ人は本堂で鉢合わせした小僧をつかまえ、「壺はどこだ?」と凄んだと。
小僧は、和尚の言いつけを守らねばと心したものの、お釈迦様の目前では嘘が吐けず、壺を取り出してもうた。
盗っ人は小僧をひっつかみ壺を奪おうとし、小僧も必死に壺を抱えた。
そんとき天の助けか本堂の戸を開けたのは、戻った和尚。和尚は訳が分からんかったが、男につかまれた小僧を見て、咄嗟にいつもの厳しい声を飛ばしたと。
「こらぁ、その手を離さんかい!」
盗人はたいそう驚き、小僧は和尚の命に従って、二人ともパッと両手を離したと。
どっぴんガッシャンばらばらりのぷー。
了
今回は、民話風。
いかがでしたか?
いよいよ年末ですね。大掃除もうしちゃいました!
と大嘘です。(手つかずw)













