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長政はつらいよっ!弱小浅井はハードすぎ!!  作者: 山田ひさまさ
 ~ 『 涙まじりの雌伏編 』 ~
28/111

『こんなハズでは』 -すぐそこにある滅亡の危機-

本編が煮詰まってしまい、衝動で書いてしまった。

酷いです。

 新産物である、江州畳、江州紙、江州瓦、小谷焼きを石寺や井ノ口に大々的に売り込みたい。

反応は、まちまちだが悪くは無いと思う。

小谷城下大谷市場や伊部・丁野の商人も「コイツはいける」と意気込んでいる。


「三上屋の反応も上々だな、友松」

「そうですね、これなら何とか軌道に乗りそうです。まああとは利権調整ですか?」


 商人達との話合いも上々に終わり、俺と友松は意気揚々と雲雀丘の館に帰ってきた。

「お帰りなさいやし、若様!」

「雪風(愛馬)を頼んだ!!」

熊五郎に馬を預け、屋敷に入る。


「ん、えらく騒がしいな?」

「殿、茂吉が目通りを願いに来ています」と、勝太郎が嬉しい来客を告げる。

「そうか、茂吉が帰ってきたか~、すぐ会おう」


 茂吉とは、浅井が抱える数少ない『忍者』だ。

とは言っても『貧相で目立たない普通のおっさん』である。

まあ少しばかり度胸があるのと、気が利いてるわりに辛抱強い。というぐらいか。

遠藤から紹介された時は、俺は『へっ?』と、あまりの驚きに間抜け顔をさらした。

「俺の『忍び』のイメージがああぁああっぁ。」

現実とはこんなもんだという事を知ってしまった。


……まあいい、茂吉には尾張へスカウトに行ってもらっていた。そう、あの『探偵さん』だ。

「良い人材が確保出来たかな?たのしみだ」


はやる気持ちからか、少しばかり小走り気味に接見の間に向かう。

そこには、茂吉とおっさん、おばちゃん連中がいた。


「えっ?」

『藤吉郎』は見当たらなかったとか。

『小竹』には、「田んぼがあるから」と、断られたようだ。

『前田』の人間は、こわくて引き抜けなかったらしい。

広間には、浅野長勝(32)、杉原定利(34)、杉原家定(15)、福(長勝夫人)朝日(家定夫人)が控えていた。

地味だ。

彼らは、下男下女とともに、近くの侍屋敷に入っているらしい。

仕事が早いな。


どうやら茂吉は、俺が指示した関係者に軒並み声を掛け、連れてきたらしい。

しまったぁ~っ、指示が曖昧すぎたか?

ヤレヤレ、本来の目的は達成出来ずか……。

できれば、秀吉、秀長、利家か慶次郎が欲しかった。まあ仕方がない、ズルしすぎだしな~。



それにしても、ずいぶんと奥が騒がしい、

「お雪、お~い、いったぃ……」


見慣れぬ女の子の姉妹がいる。


「ところで……、あの女の子達は誰ですか?」

「今日入ってきた足軽の娘と茂吉が拾った子だそうです」

少女達と戯れる祐子を横目にお雪が答える。


少女達は……、

寧々(11)、まつ(11)やや(9)、etcだった。


「え~と、なんだかな~」


『豊臣家、ジ.エンド?』


 おいおい、これじゃあ秀吉の譜代となる身内がいなくなるぞ~。

いや、たぶん、秀吉は1560年の桶狭間の頃前後に寧々を見初めて、そして結婚して運気が上昇したはずだ。マズイ、太閤秀吉が誕生しないフラグが立つかも知れん微妙だ。

それに、まつはいかんでしょうまつは~、前田利家の許婚じゃないか~?拾って来だと~。


「も…も、茂吉~、お前は豊臣家を潰す気か~っ。うちでは飼えません、返してきなさ~い!!」



……、うわっ。

「夢か?」

恐ろしくリアルな夢だった、身体がイヤな汗でぐっしょりだ。

なんてこったい。

「俺が豊臣家を……、」

傍で寝ているお雪をおこさないように、そっと部屋を出て縁側で庭を眺める。

十六夜の月が西の空に白く輝いている。


「なんて夢を見たんだろう?俺が、豊臣家を滅亡させるという暗示か?」

ある意味イヤな夢だ。


 自分が生き残る、浅井が生き残ることばかり考えて、他を無視していた。

仮に、俺が藤吉郎を雇ったらどうだろうか?

ダメだ、妄想ならばともかく、今の俺では彼の個性を生かすようなことは、出来ないかもしれない。

強烈な上昇志向がある藤吉郎は、信長みたいな者でないと使いこなせないだろう。

いま、雇っても家中に溝を拡げるだけだ。飼い殺しも無理だろう。

 

 信長にしても、本当に俺が共闘が出来るのか?

仮に浅井勢が西美濃に進出したら…垂井か杭瀬川が限界点か?揖斐川以西は無理だな。

それ以上は、信長は敵対するだろうな。

道三の美濃譲り状が本当にあるかどうかは知らないが、信長は自分のモノと思っているだろう。

浅井が上洛経路を保証するとしても、流石に近江一国を浅井に渡しはしまい。

うかうかしていると食い殺されそうだ。

国替えで江北を離れるのは、……無理だ…国人領主の家臣団が壊滅してしまいそうだ。

やべ~っ。

……仮に、まだ勢力が弱い織田家を潰すとしたら…う~ん……

日本の歴史が変わりすぎて、無茶苦茶になりそうだ。

世界中を相手に戦う気力など俺にはないぞ。


ダメだ!どうすれば良いのかまるで見当がつかない。

歴史を変えてしまえば、その時点で歴史を知るアドバンテージはかなり減少するというか、

ヘタに知識に惑わされると命取りだな。


大変なことになった。これは、対策を立てねばならないな……。どうする俺?


気がつけば、俺は縁側で寝ていた。


風を引いてしまって、つらいよ。



なんだかんだ言って、

新九郎には、豊臣家を滅ぼすことは出来ないようです。


リアルは残酷なまでに厳しいです。


先のことを考えすぎて、足元がお留守になりそうですね。


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