59話 帰還の謎
-----(大島視点)-----
清みんはもうポヨン氏を揉んではいなかった。
ポヨン氏を抱えて立ち上がった。
「あの、試して、みます? 試してみれば早いんじゃないかな。大島氏、一緒に来て」
そう言うと清みんは踵を返して洞窟奥へと歩き出す。
ちょっと広めの空間で壁に穴が四つある場所の中央に立つ。一番左に印が付いていたので、さっきはそこを進んでいった。
だが清みんはそちらへ進むではなく、そこで大きな声を張り上げた。
「おーいっ! おーいっ! ここだぞおっ!」
「清み……」
「しっ。魔物が来るか音を聞いて。魔物が出てきたら大島氏のボックスに入れて、それでさっきの入口近くまで走って」
カンカン……ガンガン……ドガンドガン!
洞窟内に反響する足音が大きくなってきた。何かが、あの穴のどれかからこっちへ向かってきている。
清みんが俺にしがみつく。
「ポヨン君、一体だけ残して他のは倒してね。大島氏、一体を引いて出口……入口まで走る。パミュンちゃんは着いてきて!」
ドガンドガンドガンドガン……
まるで地団駄を踏んでいるように力のこもった足音がいよいよ大きくなったと、思ったと同時に3つの穴から高身長ゴブリンが出てきた。合計8体。
うわっ、こんなに!と思った時にはもうポヨン氏達が動き、何体かが首なしになった。
自分で呼び出しておいて震え上がった清みんを引っ張り、洞窟の入口へ向けて走る。頼む、清みんの足がもつれて転んだりしませんように。
「絹田さんさあああ、そっちに行きまーす! ゴブリン付きですー!」
聞こえたかどうかわからないがとりあえず叫んでおく。
階段の入口の空間が見えてきた。3佐達が目を見開いているのがわかった。
「清みん、どうするんだ」
「もう少し、もう少し、進んで! ここで!」
清みんがここでと行った場所は、入口まであと少し、3佐達も逃げ場がないくらい近くまでいた。
「パミュンさん、お願い、アイツ倒して!」
清みんを追ってついてきていたパミュン氏はくるりと方向転換をしてゴブリンの顔に張り付いた。
息が出来ないからなのか、それとも顔を溶かされているからなのか、ゴブリンが大きく暴れた。が、それも30秒ほどで、静かに崩れ落ちた。
洞窟奥からはポヨン氏やふるふる氏、ぷるん氏が戻ってきた。
俺達は入口近くの洞窟の壁に引っ付いていた。
「あ、ほら。見て」
清みんの言葉で、洞窟の奥から後ろを振り返る。
消えた階段の踊り場ギリギリに四つん這いになった清みんがいた。近づくとそこには、踊り場が出現しており、螺旋階段も繋がっていた。
「おおお! 階段が……」
「やった、帰れる」
「消えないうちに階段を登りませんか」
「登ってる最中に消えないだろうか」
自衛官が踊り場に恐る恐る足を踏み出して、石段をダンダンと踏み強いている。
「時間を計りませんか?」
「そうですね。降りている途中で消えたら困る。階段の出現方法が魔物を倒すのだとしたら、今、一か八かで渡るより、もう少し検証しましょう」
戻る算段がついたからか、皆に余裕が戻ってきた。
前回は直ぐに消えたと言っていた。あの時はゴブリンを一体倒した。
今回は8体。もしも倒した魔物の個体数に関係するなら、階段は長く残るはずだ。
果たして。
「20分経ちましたが消えませんね」
階段は消えた。24分後に。
「一体3分かなぁ」
「ウルトラマンか」
「個体の強さとかにもよるかもね」
「なるほど、だからあの混雑階の階段は出っぱなしだったのですね」
「上もしくは下に行くほど魔物は強くなると聞いたし、倒せる個数も限られてくる。冒険者が戻れないのは魔物にやられたからではなくて、倒しても出口まで時間内に戻れなかったのもあるのかもしれませんね」
「タイムアタック付きのダンジョンとか、俺、絶対に入りたくない」
「清見君……。今、入ってますよ」




