57話 階段
-----(大島視点)-----
地下2階層の入口、俺らが降りてきた階段があったはずの場所に戻った。
スマホで時間を確認するとあれからちょうど1時間。
しかし、階段は無いままだ。
「ダメか。1時間かそこらじゃ階段は復活しないのか、それとも何か条件が必要なのか」
「どんな条件? 迷宮の踏破だったら終わりだ。俺達には食糧がない。たとえ迷宮内で食糧調達するとしてもゴブリンは食べたくない」
「そうですね……自分もちょっと」
俺ら3人が沈んでいる中でひとり明るかったのはここで待機していた自衛官だ。
「あの! 階段は復活しました!」
「何だって!」
「え、でも無い、俺に見えないだけ?」
「自分にも見えないぞ?」
「落ち着いてください! 階段は復活しましたが程なくして消えてしまいました」
なんてこった。
迷宮内を探らずに全員でここで待てばよかったのか。
いや、もう一度現れる可能性は高い。
「どれくらいで? いつ、復活しました?」
「41分後です。しかし、消えた直後からカウントしたわではないので、実際にはもう少しかかっているかもしれません」
俺らは階段が消えた事に衝撃を受けてごちゃごちゃとしてたからな。
「だいたい40〜50分くらいか。しかし、毎回同じかどうかは不明だな。もう一度計ってみるか」
「今度はここに全員で居たほうが良くない?」
「そうですね。ここを離れている間に階段が現れたら泣きますよ」
俺達はここで休憩を取ることにした。ポヨンさん達も呼び戻してもらった。
階段が出現したらすぐに1階に戻るつもりだからだ。その時にスライム達が居ないと置き去りにする事になる。清みんは絶対に嫌がるだろう。
壁に寄りかかり時間が過ぎるのを待つ。誰もがスマホで何度も時間の確認をしていた。
「そろそろ40分ですね」
皆立ち上がり、階段があったはずの空間から外を見つめる。
「45分になりました」
誤差はどのくらいだろうか。
あの時ここで騒いでいたのは10分くらいだったろうか。
50分になり、55分になり、1時間が経った。
「現れませんね」
「まさか、その一回がラストチャンスって事はないよね?」
清みんが不安そうに見上げてくる。
「何のラストチャンスだよ。どちらかと言うとファーストチャンスだろ」
とりあえず1時間半待ったが階段は現れなかった。
何か条件が必要なのか?
「階段が現れた時に他に何か変わった事はなかったか?」
「…………いえ、特には気がつきませんでした。申し訳ありません」
「洞窟内も別に変わった事はなかった……。単にランダムに出たり消えたりするのか?」
「ランダムに出現する階段……でもそれだとしたら、迷宮に潜っている冒険者達はどうしているんだ? 彼らが依頼を達成して迷宮から戻ろうとしても、いつ出現するかわからない階段を待つのか?」
「確かにそうですね。迷宮についてデスエでもっと学んでから入るべきでした。踏破済みの遺跡と同じように考えていました。私のミスです。本当に申し訳ない」
3佐が深く頭を下げた。
「んー、ランダムかなぁ。ただでさえ命懸けの冒険者が最後の最後でランダムに命を預けるかなぁ」
清みんがボソリと呟いた。確かにそうだ。俺が冒険者稼業に身を置くとしたら、最低限の備えはして迷宮へと入る。
武器防具はしかり回復薬水と食糧……。
そして、帰るために必要な……。
「帰還スクロール! ゲームでよくある魔法のスクロールか! 街へと帰還できるスクロール」
「この世界だと、帰還石とかありそうですね!」
3佐も同時に思い浮かんだようだ。
「そうだ、石だよ! この世界に有り余るスキル石。スキル石の中に迷宮からの帰還に使う石があるんじゃないか?」




