54話 迷宮(の、地下2階層)
-----(大島視点)-----
清みんの叫び声で皆が一斉に振り返った。
「階段なくなったあああああ」
まさかの階層を移動すると階段が消失するパターンとは!
全員が茫然自失だ。
ちょっと覗くつもりなだけだったので、食糧も水ない。まさか、迷宮を踏破するまで戻れないんじゃないよな?
「何という失態。どうしたらいいんだ」
「生きた迷宮をもっと学んでから入るべきでした」
「まいった。どうする」
「ここから出られなかったら仏間が消える……。まぁ消えるのはスキルだからいいけど、俺らが戻らなかったらみんな心配するね」
さっき入ってきたばかりの2階層の入口、階段が付いていた場所に隊員と入れ替わり立ち替わり、何度も穴を覗くが階段は出現しない。
何かルールがあるのだろう。
例えば、この階層の魔物を倒す、とか? 階層ごとにボスがいるとは聞いていない。
けれど、冒険者達は生きた迷宮に出入りしている。
彼らはもちろん、階層を跨いで移動している。そうだ、俺達も移動をした。生きた迷宮だが階段が消えたりしなかったぞ。
「何かルールがあるんだと思います。デスエの近くの生きた迷宮に入りました。階層を移動しても螺旋階段は消えてはいなかった。というか、若い冒険者達は普通に移動していた。あそことここの何が違うのか……」
「この迷宮は今まで出入りがなかったとか」
「我々が初めて?」
「いや、迷宮の事は知られていた。過去に誰かしらが入った事はあるはず」
「……上から、は、ダメとか?」
「確かに。この世界は地上にはめったに出ないと聞きましたよ。大抵は地下深く、地下同士で繋がっている。つまり迷宮も地上からのアプローチが初めてでは?」
「うーんと、踏破すると安定して螺旋階段は出っぱなしになると聞いた。だから踏破するまでは不安定で、階段はしょっちゅう出たり消えたりするんじゃない?」
「なるほど、それも考えられますね」
「もしも時間制としたら、しばらくここで様子を見て階段が現れるまで待ちますか?」
「ただ……5分10分ならともかく、もしかすると5時間、10時間かもしれませんね」
「誰かここに見張りとして立てておきますか?」
「うん。その間、残りはこの階層を調べたら?」
「階段が現れた時に全員が揃っていないと戻るチャンスを逃しますね」
「でも、2回は試した方がよくない? 同じ時間で階段が出るのか確かめられるし」
「では時間を決めて戻りつつ、階層の探索をしましょうか」
「そうだな。まずは1時間後に一旦ここに戻ってこよう」
自衛官ひとりをそこに残して、3佐と清みんと俺の3人は地下2階層であるこの迷宮を進む事になった。
「清みん、ポヨンさん達は出しておけ」
清みんは花笠をしっかりとかぶり、その上にポヨンさんが乗った。
背中のリュックからは他に3体が出てきて清みんの前後と横を歩く。(……歩く? 這いずるか?)
2階層の通路は天井も高く、広さもそれなりだった。これならコアラパンダも連れて移動できるのだが、いかんせん、あの地下1階層が狭すぎる。
まぁ、ある意味、あの狭さが外からの魔獣の侵入を防ぐ事になるのだろう。
そう言えばシールドが張られているとかどうとか聞いたな。さらりと聞き流してしまったが、どこにどんなシールドが張られるのだろうか。俺たちは普通に入れたぞ?
「魔物だ!」
先頭を歩いていた3佐の緊迫した声が洞窟内に響いて。
手にしている照明では遠くまで照らせない。それでも5mくらい先までは見える。
5m……かなり近づくまで気が付けないって事だ。
照らし出された魔物は3体。




