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俺たちYOEEEEEE?のに異世界の迷宮に居るっぽい  作者: くまの香


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42話 後ろから

 -----(清見視点)-----


 仏間の外が慌ただしくなった。

 仏間に転がって休んでいた自衛官達も外へと飛んでいった。



 休憩は終わりかぁ。あと3日くらい休みたかったな。


 ダメだダメだ。俺たちがここでグズグズしていたら、避難所で餓死する人が出るかもしれない。

 花笠を被り重い腰を上げて立ち上がった。ポヨン君がそこに飛び乗った。


 仏間の外に出ると絹田3佐が寄ってきた。



「清見君、出発になりますがよろしいですか?」



 見ると仏間前にはコアラパンダが整列していた。ふるふるさん達も仏間の屋根でスタンバイしている。ミニバンの前後にもコアラパンダ、ママさん達はもう車の中でスタンバイしていた。


 うわっ、俺待ちなの?


 大島氏俺の隣に並んだ。



「しゅっぱぁーつ」



 絹田3佐の大きな声が鳴り響いた。




 林へと突撃した。

 と言うか普通に進んだ。ただ仏間が林の木を薙ぎ倒すからちょっと突撃っぽいな。


 木は細くても、木と木の間隔が狭いので想像以上に大変だ。


バキバキバキバキっ!ベキベキ!


 薙ぎ倒された木々が俺たちへと向かってくる。見ると自衛官達も倒れてくる木を避けるのに必死の形相だった。

 いくら細いと言っても直径20〜30cmはありそうな太さの木が飛んでくる。細いとは言え直径20cmの幹にぶつかられたら人間の方が吹っ飛ぶ。




 絹田3佐から止まれの指示が出た。



 自衛官達とミニバンは仏間の後ろをついてくる事になった。飛んでくる木や枝を避けるためだ。


 問題は俺だ。一応大島氏のボックスに守られているとは言え、こうもバシバシと弾かれた木々がぶち当てると当然足は止まる。

 すると仏間も止まる。物体の重さをささえてくれているのはコアラパンダでも、物体の移動方向を示しているのは俺だ。


 大島氏のボックスに木がぶつかるたびに、俺は仏間を離してしまう。



「あ、清みんさ、押せない?」


「え……?」


「今まで『引く』事を前提にものを考えていたが、仏間を後ろから押しても進みそうじゃないか?」


「あ、うん、たしかに。やった事ないけど、大丈夫じゃない?」



 今までやって事がなかったのは、仏間の後ろに回ると当然前が見えない、進む道が見えないから試した事はなかった。

 でも、誰かが先導してくれれば……。



「なるほど。自分と大島君と若槻君は仏間の上にあがりましょう。大島君の防御内にいれば木が飛んできても大丈夫です。仏間後方の清見君の守りはポヨンさん達にお願いしましょう」



 あっという間に決まり大島氏達は仏間の上へと上がり、俺は仏間の後方へと移動した。


 今まで仏間は横向きに進んでいた。

 いや、何をもって『横向き』と呼ぶのか。ええと、俺的にはなんだが、仏間の仏壇がある面を進行方向に、もとは廊下があったはずの一面ガラス障子の面を左側、押入れが一面にある方を右側に、そして今は無き居間があった襖の面を後ろと認識している。


 つまり、俺は、一面襖の方へと回った。


 襖と襖の間の柱に手を当てる。押してみた。動かない。


 あれ?後ろから押す作戦は失敗?



「すみませーん、押してもうんともすんとも……全く動かないです」



 俺が引きニートだから『引く』一択なのか?



「いやいや、清みん。今の仏間は重量級だから清みんだけが押しても引いても動かないと思うぞ」



 上から大島氏の声が返ってきた。

 そっか、コアラパンダ達とタイミングを合わせないといけないのか。難しいな。


 押している俺の手が襖の柱から離れた時点で、コアラパンダも仏間を引けなくなる。同じスピードで俺はずっと触れていないとならない。



「清見君」



 上から絹田3佐が降りてきた。


 3佐は襖を少し開けて柱に何かを結びつけた。帯?

 柱に括り付けられた帯の先にも何かの輪が付けられている。カラフルな輪っか。



「清見君、ここを持ってみてください。仏間の横向き並んで歩いている時も、柱に括り付けた布と木の取手でも仏間は動きました。直接触れていなくとも、おそらくある程度の距離内なら持ち主の気は伝わると思われます」



 そうか、そう言えばそうだった。3佐って凄いなぁ。


 コアラパンダが引いてる仏間に結ばれた帯で俺が引かれる感じだ。

 俺……引きニートじゃなくて引かれニートになる。ちょっとショック。


 とりあえず気を取り直して輪っかを掴む。

 おお! 仏間が動き出した。コアラパンダが引けている。


 俺の後ろをミニバンに爪を引っ掛けた桜さんが歩く。結構近くを桜さんが歩いているが、桜さんとはまだよく知り合ってはいないので会話は全く弾まない。(というより言語共通ではない)


 大島氏のボックスが無い状態で森を進むのは初めてだ。いや、大島氏と会う前は歩いた事あったな。

 あの頃はまだ怖いもの知らずだった。比喩ではなく、本当に怖い魔物の事を知らずに森に入ってた。


 知ってからは身一つでなんて絶対に入らない。

 ふと上を見ると、仏間の屋根で落ちてくる魔虫対策のふるふるさん達が、仏間の屋根の後方部の縁に集まっていた。

 俺の不安な気持ちが伝わっちゃったかな。



 仏間の屋根の前方部には大島氏と3佐とわか……つきさん?の3人が居て、進む方向をチェックしている。

 わかつきさん……どんな漢字か知らないけど、その人が避難所の『本営』と呼ばれているとこに居た自衛官で、迎えに一緒に来たそうだ。


 なんか、凄くやつれている人だった。頬がやつれているだけでなく、手首とかもガリガリだった。汚れて切れた迷彩服もウエストがダボダボで、腹がぺったんこだ。


 避難所の食糧事情が何となく想像出来る。出発前に大島氏がコソっと言ってんだけど、食べ物を渡しても固辞されたって。自分だけ食べれないって。


 ビクビクしてないで、早く『本営』につかねば。


 俺が握っていた輪っかに力を込めた。……うん、だからどうとか、ないけどね。気合いだ。

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