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チートスキルで無双できない人に捧げる異世界生活~現実を捨ててやって来た異世界は、思ったより全然甘くはありませんでした~  作者: 柏木サトシ
第二部 第三章 砂漠に架ける想い

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決意の言葉

 ライハ師匠によると、俺たちがあのエレベーターに乗った時からこの艦は起動し、その時からずっとエネルギーを垂れ流し続けているのだという。


『こうなることは、わかっていました』


 突然の魔物の来襲に戸惑う俺たちに、ライハ師匠は落ち着いた声で話す。


『これまでも試練が行われた日に、魔物が襲来することは何度かありました』

「で、では、今回も……」

『どう……でしょうね』


 楽観論が飛び出す俺の言葉を、ライハ師匠はすぐさま断じる。


『確かに数は多いとはいえ、イビルバッドだけならどうにかなったかもしれません。ですが……』

「今回は、クリミナルバッドがいる?」


 探るように尋ねる言葉に、ライハ師匠はゆっくりと首肯する。


『これまでエリモス王国への魔物の襲来は、全部で二万四千五百七十二回ありました。ただ、その中にクリミナルバッドがいたのは、二回しかないのです』

「なっ、に、二万だって!?」


 まさか、建国から今までの魔物が現れた数を覚えているのか?

 そう思ったが、考えてみればライハ師匠は自動人形(ゴーレム)なのだから、記憶力も尋常じゃない……というよりメモリーとして記録しておけば、いくらでも数は数えられるのだから驚くことじゃない。

 それより、建国から二万回以上も魔物の襲来があったのに、その中でクリミナルバッドが現れたのはたったの二回しかなかったというのだ。


 それだけ現れるのがレアな魔物、クリミナルバッドの強さとは一体どれほどのものなのだろうか?


「師匠、クリミナルバッドって……やっぱり強いのですか?」

『ええ、かなり。これまで現れた二回は、数百人の犠牲の果てにようやく倒したぐらいです』

「そ、そこまで……」


 イビルバッドと戦う時も、酷い時は十人以上の犠牲が出るらしいが、クリミナルバッドは数百もの犠牲を出してようやく倒したという。


 それだけの強敵を前に、今のエリモス王国の兵士たちは、まともに太刀打ちできるかどうかと言われると……正直、微妙なところだと思う。


 砂漠の中の国というだけあって、外敵が極端に少ないエリモス王国は長いこと平和が続いたので、今の軍隊はかなり練度が低い。

 メリルさんが来てからはそれなりに形にはなって来たというが、それでも彼女が満足する域には達していない。

 俺も人のことは言えた義理ではないが、未熟なこの国の軍隊では、クリミナルバッドとの戦いでどれだけの犠牲が出るかわからない。


 故にいくらメリルさんやシドがいたとしても、彼女たちが死んでしまうというセシリオ王子の懸念は尤もであった。

 実際、俺と同じことを考えているのか、モニターを眺めているセシリオ王子の顔色は早くも真っ青になっており、特に戦える力があるわけでもないのに、今すぐにでもここを飛び出していきたくてしょうがないといった様子だった。



 そんな責任感の強いセシリオ王子の様子に、俺はこの国の行く末は明るいだろうな。などと考えながら、彼に向かって話しかける。


「セシリオ、気持ちはわかるがそこまで心配しなくていいと思うぞ」

「……えっ?」


 驚いてこちらを見るセシリオ王子に、俺はニコリと笑いかける。


「俺たちには、クリミナルバッドについて情報を持っているライハ師匠がいるだろ?」

「あ、ああっ!? そうですね」


 言いたいことを理解したのか、セシリオ王子は大きく頷いて俺と一緒にライハ師匠を見やる。

 自由騎士のスキルについて熟知しているだけでなく、実際に使うことができるライハ師匠がいれば、クリミナルバッドを倒すことも難しくないのではないだろうか。



 そう思っていたが、


『何を勘違いしているかわかりませんが、私は戦いませんよ』


 俺たちの期待に反して、ライハ師匠は冷たく言い放つ。


『確かに私はこの国の将来を見守る存在ではありますが、過度に干渉するつもりはありませんよ』

「で、ですが、師匠。このままでは……」


 エリモス王国が滅んでしまうかもしれませんよ?


 口には出さずに含みを持たせて言ってみたが、ライハ師匠の表情は変わらない。


『その時はその時です。私のすべきことは導くことであって、おんぶにだっこをすることではありません』

「そ、そんな……」


 強い意志を持って告げられた言葉に、俺は愕然とする。

 流石に全てを任せるつもりはなかったが、俺の算段ではライハ師匠が一緒に戦ってくれるものだと思っていたので、その前提が崩れてしまうとなると、最早どうやってクリミナルバッドを倒せばいいのか皆目見当もつかなかった。



「あ、あのライハ様……」


 早くも万策尽きたと頭を抱えていると、セシリオ王子が小さく手を上げてライハ師匠に話しかける。


「ライハ様に戦っていただけないのはわかりました。ですが、これまで通り僕たちを導くことはしていただけるのですよね?」

『……どういうことですか?』

「は、はい……」


 探るように双眸を細めるライハ師匠に、緊張した面持ちのセシリオ王子が顔を上げて驚くべき一言を告げる。


「僕とコーイチさんでクリミナルバッドを倒すので、どうかその方法をご指南して下さい」

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