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ターク様が心配です!~不死身の大剣士は寝不足でした~  作者: 花車
第2章 退屈なゴイムとお疲れのターク

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02 達也との思い出1~幼馴染は可愛い子犬~[挿絵あり]

 場所:タークの屋敷(ベッドルーム)

 語り:小鳥遊(たかなし)宮子

 *************



 ターク様の部屋での一日は、退屈との戦いだった。



 ――ターク様遅いな……。あんなキラキラで目立つのに、外でいったい、なにしてるんだろう。



 窓際で外を眺めていた私は、今朝のターク様のキラキラした姿を思い出していた。


 まるで御伽噺(おとぎばなし)に出てくる王子様のような姿で、出かけていったターク様。髪も綺麗に整えて、ため息が出るほどクールだった。


 昨日は怖いくらいかたかった表情も、今朝サーラさんたちと話していたときは、ずいぶんと優しく見えた。


 サーラさんから聞いた話では、ターク様は由緒ある伯爵家のご子息らしい。大剣士様になる前からずっと、一流の貴族だということだ。


 部屋にいるターク様は、まったく着飾る様子がなく、シンプルすぎるくらいの恰好をしている。


 だけど、生まれながらに貴族な彼にとっては、今日みたいな服装が、案外普段のファッションなのかもしれない。



 ――貴族の社交パーティーかぁ……。ステキなドレスで着飾ったお嬢様が、いっぱい来てるのかな? きっとターク様、モテて仕方ないんだろうな。



 美しいご令嬢たちに、キャーキャー騒がれるターク様を想像して、私はぶんぶんと首を横に振った。



 ――だって顔が、達也と同じなんだもんね。



 ちいさなため息をついた私は、今度はいなくなってしまった幼なじみ、達也のことを思い出していた。



      △



 達也とは、家がとなりで歳も同じ。


 物心つくころから、一緒にいることが当たり前だった私たちは、喧嘩をすることもなく、毎日長い時間を二人ですごした。


 高校での達也は、その端正(たんせい)な顔立ちと、物腰のやさしさで、それはそれは、ものすごくモテたけれど、小さいころの達也は身体も小さく、泣き虫で甘えん坊だった。



「みやちゃん、ぼくといっしょにあそぼ!」



 おねだりする可愛い子犬みたいな眼差しで、下から私をのぞき込んでは、毎日私を誘う達也。


 私がほかの子と遊ぼうものなら、ヤキモチを焼いて泣き出してしまう達也を、私はとにかく可愛がっていた。


 あんな顔で甘えられると、ついついなんでも許してしまうのは、きっと私だけじゃないと思う。


 同い年にも関わらず、私は達也のお姉さん気取りで、可愛い弟の面倒を見ているくらいのつもりだった。



      △



「タッ君、早く早く、遅れちゃうよ!」


「待って、みやちゃん、ぼく靴が脱げそうだよ」


「タッ君、靴紐がほどけてるじゃない。私が結んであげる!」



 五年生になったあの日も、私はいつもどおり達也と並んで登校していた。


 まだまだお姉さんぶっていた私は、達也の靴紐を結んであげようとした。私より背の小さい達也を、道の脇の花壇に座らせた私は、自信満々の笑顔を浮かべていたはずだ。


 だけど、靴紐はなかなかうまく結べない。



「もう! 早くしなくちゃ、遅れちゃうのに……!」



 焦る私の指先はもつれるばかりで、時間だけがどんどんすぎていった。



「みやちゃん、泣かないで。大丈夫だよ」



 いつだって泣き虫なのは達也のほうだったけれど、その日、泣き出したのは私だった。


 達也はおろおろしながらも、泣いている私を一生懸命慰めてくれる。私が靴ひもを結び終わるまで、励ましながらじっと待ってくれていた。


 ようやく靴ひもを結び終わっても、いつまでも拗ねてしゃがみ込んでいる私。


 そんな私の頭を撫でながら、達也はまた、可愛い笑顔を見せてくれた。



「きれいに結んでくれてありがとう」


「うん、時間かかって、ごめんね」



 ――それから、達也に手を引かれて学校に行ったんだっけ。



 結局遅刻して、二人で怒られたけれど。「みやちゃんと一緒だから平気だよ」なんて、優しく微笑んで、達也はまた私を励ましてくれた。


 今思えば、あのころから、達也は私よりずっとしっかりしていた。私が偉そうにしていても、泣いていても、いつだって優しかった。



      △



 学校が終わってからも、私は毎日達也の部屋に誘われて遊びに行った。一緒に宿題をしたり、ゲームをしたり。なにをするのも一緒。



「みやちゃんと一緒なら、なんでも楽しいからね」



 なんて言って、やりたいことも、食べたいものも、大抵私にあわせてくれる達也。


 だけど、ここぞというときは「みやちゃん、おねがい!」と、子犬モードでおねだりしてくる。


 お互い居心地がよすぎた、あのころの私たち。


 私は達也に甘々で、達也のほうも私にべったりだった。



 ――だけど、いつからだっけ……? もう私にかまわないでって思うようになったのは。


 ――自分の思ったようにすればいいのにって、そう思ったのは……。



 私がそう言ったときの、達也の悲しそうな顔を思い出す。


 暇すぎてついつい、嫌な出来事を思い出しそうになってしまい、私はまた、ぶんぶんと首を振った。



 ――いけない。楽しいことを考えるつもりだったのに。



 そのとき、書斎の扉が開く音がして、ようやくターク様が帰ってきた。



挿絵(By みてみん)


 モテモテだった達也と同じ顔のターク様が、おしゃれして出かけたのを見て、「ターク様もモテモテなんじゃないか」と要らぬ心配をする宮子。


 でも、実際のターク様は、婚約者のマリルさんが完璧なガードをしているので、遠巻きにキャーキャー言われているだけです笑


 暇すぎて思いだしたのは、まだ小さかったころの可愛い達也でした。


 次回、マリルさんのパーティーのあと、いろいろと用事を済ませて帰ったターク様は少しお疲れの様子です。


 挿絵(By みてみん)

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― 新着の感想 ―
[良い点] ターク様と同じ顔の達也は、それだけでモテにモテたことでしょう。 そんな彼はどんな人物なのでしょうか? オルフェルは大型犬みたいですが、達也は子犬系なんですね。 ターク様と性格が全く違う感…
[一言] 花車様こんばんは! ターク様の生活環境やらやはり貴族なのでしょうね! その振る舞いには中々宮子もついて行くのも大変そうです(´ω`*) そしてたつやの事を思い出す宮子…子供の時って恥ずかしさ…
[良い点] くっついて回る達也くん、可愛いですね。宮子ちゃんも庇護欲をそそられたのでしょう。ターク様とは、だいぶ違う幼少期かな。
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