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ターク様が心配です!~不死身の大剣士は寝不足でした~  作者: 花車
第11章 いざポルールヘ

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11 いざポルールへ。~マリルと宮子の決意~

 場所:タークの屋敷

 語り:小鳥遊宮子

 *************



 倒れてしまったターク様をベッドに運んで、ガルベルさんは「アグスを探してくるわ」と出て行ってしまった。


 残された私、小鳥遊(たかなし)宮子と、達也、マリルさんの三人は、ターク様のベッドルームの小さなテーブルを囲んでいた。



「ターク様、思った以上に大変な思いをされていたんですのね」



 マリルさんが、不思議そうに達也の顔を眺めながら呟いた。



「遺跡で心が壊れた上に、ガルベルさんの強力な暗示ですっかり自信を失っていたからね。あんな状態で、前向きに人助けしようなんて思えるんだから、彼は本物のヒーローだと思うよ」



 ずっとターク様にツンケンしていた達也が、彼を褒めている。


 きっとこれが、ターク様の中でずっと彼の行動を見てきた達也の、素直な感想なのだろう。



「わたくし、ターク様のお話を何一つ信じて差し上げられなかったの……」


「無理もないよ、あの時はターク君自身もまだまだ混乱していたしね。みやちゃんを爆発させたのは、僕、まだ怒ってるけど」


「ごめんなさい……」


 しょんぼりと項垂れるマリルさん。


「達也、その事なら私、もう気にしてないから。大丈夫ですよ、マリルさん!」


「みやちゃんは心が広すぎるよ」





 その時、ターク様が「うーん」と唸り声をあげ、私とマリルさんはターク様のベッドに駆け寄った。



「ターク様、大丈夫ですか?」


「ミヤコ……手……」



 ぼんやりとした眼差しで私の顔を見たターク様は、当たり前のように私の手を求めて握りしめると、また目を閉じてしまった。



 ――ターク様、寝ぼけてる……!?



 ターク様の手を握ってあげたいのは山々だけれど、私の後ろにはマリルさんと達也が立っている。


 背中にビクリと緊張が走って、私は青ざめながらゆっくりと後ろを振り返った。



 ――ぎゃ……二人とも顔が怖い! だけど、この手を振りほどくのも……。



 握られた手に妙な汗をかいていると、マリルさんが私の隣に膝をついてターク様の寝顔を覗き込んだ。



「ターク様のこんなに安心したお顔、初めて見ましたわ。ミヤコさんがずっと、彼を支えていてくださったのね」


「マリルさん……ターク様はずっと貴女を想っていました……」


「もちろん、解っていますわ。彼は心を込めてプロポーズしてくださいましたもの。お別れを申し出たのはわたくしです」



 少し悲しそうな顔で、ターク様を見つめていたマリルさんは、急に私の方に向き直ると、真剣な目をして言った。


「ミヤコさん、ポルールの奪還に、力を貸してください。わたくし、ターク様の大願を叶えて差し上げたいの。長年嫉妬心に駆られ、ターク様のお気持ちを、知らんぷりして来たんですもの」


「ミアさんの事ですか……?」


「えぇ、そうよ。彼はずっと、彼女のために戦ってきたんですもの」



 切ない顔で笑うマリルさん。だけど、真剣な瞳に映し出されたその決意は、とても硬そうに見える。



「わ、私も、ターク様のお役に立ちたいです」





 私がそう答えた時、「お客様です」とアンナさんがベッドルームの扉を叩いた。


 ガチャガチャと音を立てながら、アンナさんの後ろから入って来たのは、マリルさんの護衛のエロイーズさんだった。



「マリル様……! 心配しました」


「あら、エロイーズ。来てくれましたのね。ミヤコさん、ターク様をお願いしてよろしくて?」



 マリルさんはそう言うと、エロイーズさんと一緒に部屋を出て行った。どうやら、事の経緯を彼女に説明するつもりのようだ。


 ターク様に手を握られたまま、達也を振り返ると、彼は唇を噛んで私から目を逸らしてしまった。



「ごめん、達也。私行くよ。日本に帰るためにも、きっとこれが必要な気がするの」



 私の方を見ないまま、達也はこくんと頷いた。



      △



 その三日後の早朝、私はメルローズの町のはずれにある転送ゲートを、マリルさんと一緒に起動した。



「すごいわ、ミヤコさん。貴女が居れば、本当に魔力が使い放題ですのね! これならずっと、鉄壁(アイアンウォール)を出していられますわ」


「はい、マリルさん! 一緒に頑張りましょう」



 なんだか吹っ切れたように、私にも可愛らしい笑顔で話しかけてくれるマリルさんに、私も笑顔で答えた。



「ターク君、絶対絶対、みやちゃんを守ってね! あぁ、やっぱり僕、もう少し君の中に入っていれば良かった!」


「タツヤ、私が居れば、二人に危険はない。安心して待っていろ」



 達也は相変わらず不安そうだけれど、なんとか機嫌だけは直してくれた。


 そして、暗示が解けたことで、すっかり自信を取り戻したターク様は、見違えるようにキリリとしていた。



「マリル様を守るのは私です! あぁー楽しみです、マリル様の鉄壁が間近で見られるなんて!」



 とても張り切っている様子のエロイーズさんも一緒に、私達はポルールヘ足を踏み入れた。



宮子の手を握り、安心したように眠るターク様を見て、宮子に感謝の気持ちを示すマリル。二人はターク様の大願を果たすべくポルールへ行く決意をします。まだまだ心配している達也を置いて、宮子達はポルールへのゲートをくぐりました。


次回からいよいよ12章に入ります。ついに第二砦に来た宮子達。無事ポルールを奪還し、ゼーニジリアスから秘宝をとり上げる事が出来るのでしょうか。そして、ターク様と宮子の恋の行方は…?


次の投稿は十九日十九時になります。


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― 新着の感想 ―
[一言] とりあえず十一章まで終了! ターク様達は戦地へと!! ゼーニジリアスから秘宝を取り返す為にも皆に頑張って欲しいですね٩(ˊᗜˋ*)و よし!では俺はまた後で読みに来ますね( *˙ω˙*)و …
[良い点] ああ、、、達也はちょっと悟ってしまってる気がします。 どうにか、幸せになって欲しいと願うばかりです。 そしてマリルさん、やっぱりいい子でしたね。 それだけでも救いです。
[良い点] マリルさんはミアの方にずっと嫉妬していたのですね。思えば当たり前の関係性ですが、宮子の存在で面白くこじれて気づかず。ここで気付かされて面白かったです。 [一言] 第1砦の奪還、うまくいくで…
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