リベンジボックス
僕はアイテムボックス、一応説明するとあれですね。
ファンタジー世界によく出てくる例のアイテムが無制限に入る奴です。
ただ与えられたものをしまうだけ。それが僕アイテムボックス
今もご主人様のマジックアイテム他を収納中です。
実はこんな僕ですけどちゃんと意志があるんです。
誰にもこの意思は伝えられませんけどね。
友達もいませんし、誰も話す相手はいません。
これはアイテムボックスとして生まれた時からあきらめています。
でもね···
だからって僕をあまり甘くみない方がいいですよ。
僕は物理法則を完全無視した超越存在。
アイテムボックス風情が生意気ですって?
図に乗りすぎ?
ははは、事実ですからしょうがない。
はっきり言って人間なんかよりよほど上位存在なんですよね。
ふふふ、それでは僕がどれ程優れた存在か今からお教えしましょう。
被験者は僕のご主人である冒険者の男です。
さて男は・・・と
丁度今はグレイトドラゴンとの戦闘中ですね。
この男は冒険者でもAランク、ランク的にも上から二番目、もう少しで最高ランクのSランクに届こうかという冒険者ギルドでも期待の星です。
このグレイトドラゴンとの戦闘に勝利すれば見事Sランクになるそうです。
素晴らしい、素晴らしい、素晴らしい強さです。
今の所は最強種であるグレイトドラゴン相手に一歩も引いていません。
これまでどれほどの血を流したのでしょう、雨の日も雪の日も休まず剣を振り、いろんなものを犠牲にしてようやく今の強さを得たのでしょう。
彼は強さに驕らず、弱いものいじめはしなかった。
女、子供にも優しく、同業者の評判もいい。
巷では彼のファンクラブまであるとか、それも彼の行いを見ていれば十分に頷けます。
容姿も端麗ですしね。
おお! 彼の奥義である残真剣がグレートドラゴンに決まりました。
もう少し、もう少しでグレートドラゴンの命の灯火が消えそうです。
しかし、彼の方もグレイトドラゴンのブレスを受けて既に満身創痍です。
ここで僕の蓋が空きました。
男は最高級回復アイテムのエリクサーを僕から取りだそうとしています。
確かにこのままではまずい、死んでしまいますからね。
男が僕を必要としている。
ふふふ、本当にしょうがない男です。
僕がいなければ何もできないんですから。
ここでも僕の存在価値が理解できますね。
待っていてください。
今すぐエリクサーを出しますから・・・・・・
僕はボックスの中からご主人の念じたアイテムを瞬時に外の世界へと転移させることが可能なのです。
頑張ってください、あなたはここで死んではいけません
さぁ僕のエリクサーを受け取ってください
(グレイトドラゴンさん!!!)
みるみる内にグレイトドラゴンに傷が癒えていく。
ふふふ、元気になっていただけて何よりですグレイトドラゴンさん。
喜んでいただけて何よりです。
私も嬉しいですよ。
おやおや呆然としていますねご主人。
何が起きたかわかっていないご様子だ。
ご主人は僕に対してこれっぽっちも敬意を示しませんでしたからいい薬になるでしょう。
アイテムボックスと人間、どちらが上位者かこれで自覚できましたか?
おや、また蓋を空けてエリクサーを取りだそうとしていますね。
だめですよ~出してあげない。
じらしプレイです。
悲壮感に満ちたその顔たまりませんね。
おいおい、必死なのはわかるけど、あんまり僕の中をほじくるなよ。
くすぐったいじゃないか。
僕が何故こんなことしたかあなたにはわからないでしょうね。
確かにあなたはいろんな人々に優しかった。
だがそれはあくまで人々に対してだ。
よくもなんでもかんでも僕の中に入れてくれましたね。
お肉、野菜、マジックアイテム、書物このあたりはいいんです。
でもね・・・・・・
ゾンビ、グール、スケルトン、リッチ、これらを処理が面倒だからって普通中に入れるか?
燃せよ!! ちゃんと供養しろよ!! 元々死んでるけどさ!!
蓋が閉まっているとき、暗闇でずっとこいつらと暮らさなきゃならない俺の気持ちが理解できるか!
(あなたが人々に与えた優しさのほんの数十分の一でもいい、僕の事も考えて欲しかった)
あなたの敗因はアイテムボックスを大事にしなかったこと、この一点だ。
次があるなら覚えておくといい、私たちにも持ち主を選ぶ権利があるんだということを・・・
元気になったグレイトドラゴンのブレスを受けて崩れ落ちる冒険者を見てアイテムボックスは思う。
(次のご主人様はもっと僕を大切に使ってくれる人だといいな)




