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鐘楼の白い鳩が飛ぶとき (When the white dove in the bell tower flies)  作者: 湖灯
*****テロとの戦い(Fight terrorism)*****

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【立て籠もり犯との対決⑩(Confrontation with a standing-up criminal)】

 まったくカールときたら、ボインボインと煩いったりゃあありゃしない。

 もともと私は、体内では“女扱いしない”事になっているはずなのに、新米とは言え“そこ”はキチンと守って欲しい。

 とりあえず、隣の部屋から天井の点検口を使って侵入することにした。

 突入はブラーム、トーニ、私の3人。

 カールはこの部屋から東端の部屋を監視して、部屋から逃げる者、あるいは外から入って来ようとする者、それと予想外の行動を取る者の対応に当たる。

 水を汲んだバケツを持って行くのは、奴等を点検口の前に誘き出すため。

 隣の部屋の点検口から水の入ったバケツを持って天井裏に入る。

「まるで掃除に行くみたいだな」

 出がけにトーニが冗談半分で言ったが、これは冗談ではなく私たちは不正行為に対してクリーナーの役目を担っているのだと思った。

 天井裏の配置に付き、各々の担当する点検口にバケツに入れた水をそそぐ。

 当然、点検口は防水仕様ではないので、ポタポタと水が零れだす。

「おい、天井から水が零れているぞ」

「雨漏りか?」

「いや、雨なんて降っていないぞ」

「あっ、こっちからも水が落ちている」

「こっちもだ」

「屋上の浄水タンクから水が漏れているのか携帯で聞いてみろ」

「携帯は通信を切られているから使えないぜ」

「なら誰か屋上に行って見て来い!」

「わかった。じゃあ僕が行くよ」

 1人がドアを開けて部屋から出て行った。

「しかし、なんなんだ?」

 1人出て行ったタイミングで突入の合図を出す。

 あまり長引くと、水漏れと言う興味が失せて、持ち場に着かれると不味い。

 水を張った点検口を開くと、水は一気に下に流れる。

「わあっ」

 当然その真下に居た人間に水は掛かり、当然の様に顔を手で覆い目を瞑る。

 点検口を開いて直ぐに下に飛び降りる。

 降りながら相手を見ていると視界の外、窓際に駆け寄って来るカールの姿が見えた。

“何故?”

 彼には待機を命じておいたのに……。

 足が床を踏む前に真下に居た男の後頭部に肘を落とすと、まるで大きな木が切り倒されるようにそのままユックリと倒れた。

 一応、硬い床に頭をぶつけ二次災害的にダメージを受けてしまうのを避けたかったので、倒れる男を受け止めて床にユックリ寝かせた。

 本来なら倒した敵に対して、ここまで気を使う余裕はなかった。

 しかし3人が3人とも、降下した同じタイミングで確実に敵を仕留めたのだから、他にする事も無い。

 必然的に、相手に気を使う余裕が出来たと言う訳だ。

「お見事!」

 屋上を見に行った男を始末したカールが、やって来てそう言った。

「お見事はいいけど、なんかお前に言われると癪に障るな」

 トーニがカールに食いつく。

「この“お見事”発言の殆どは、トーニ兵長に向けたものなんです。さすがです」

「い、いやあ、それほどでもねえ」

 トーニが頭を掻いて少し照れる。

「正直言うとトーニ兵長は着地するなり濡れた床に滑ってしまい、失敗してしまうのではないかと、それでここにスタンバって一部始終を見ていたと言う訳なんです」

 なるほど、持ち場を離れたのは、そう言う事か。

「見くびるな!誰が敵を前にしてズッコケるもんか!」

「すみません」

 謝るカールとは対照的に、ブラームがフッと笑った。

 おそらく大事には至らなかったものの、どこかでトーニが転んだのは確かなようだ。

「カール。お前に与えられた任務は何だった?言ってみろ!」

「はい。俺は隣の部屋に待機して東端の部屋を監視、部屋から逃げる者、あるいは外から入って来ようとする者、それと予想外の行動を取る敵の対応に当たる。これが俺に与えられた任務です」

「では、何故持ち場を離れた?これは明らかな命令違反だ」

「すみません、もうしません」

 カールは神妙に頭を下げた。

 処分を言い渡さないでカールを睨んだままの私に対して、トーニが擁護するように言った。

「まあ隊長、許してやって下さい。カールだって気を利かせたつもりなんですから」

「黙れ!」

 横から口を出したトーニを叱る。

 ブラームが私の意を察して、隣の部屋に向かった。

「お前は屋上に様子を見るために向かった男を倒したことで任務が終わった、もしくは終わったような気がした。違うか?正直に自分の口で言え!」

「言われる通り、4人うち1人を始末した事で、任務を終えたと思いました。そして、隊長を含めた3人のうち、1人だけ体格の劣るトーニ上等兵が万一失敗した時のサポートに入ろうと思い、この部屋の前まで来ました」

「トーニは失敗したか?」

「いいえ」

「もし、トーニが失敗したと仮定して、お前が援護に入る余裕はあったか?」

「いいえ、ドアを開けて部屋の端から俺が中に入るより、隊長やブラーム伍長の方がより近くに居て、その距離も時間的猶予も俺は及びませんでした」

「お前が、持ち場を離れてここに来た事によるリスクは考えたか?」

「いいえ、考えませんでした」

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― 新着の感想 ―
[一言]  カール君、まだ若いんですね。笑  人は怒られて成長するものですよね。笑
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