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鐘楼の白い鳩が飛ぶとき (When the white dove in the bell tower flies)  作者: 湖灯
*****テロとの戦い(Fight terrorism)*****

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【立て籠もり犯との対決⑦(Confrontation with a standing-up criminal)】

「おかえりなさい」

 来た道を逆に辿り、屋上の空調ダクトから出ると、カールが“おかえりなさい”と声を掛けてくれた。

 哨戒活動を終えて戻って来たときに、いつも仲間たちが掛けてくれるこの“おかえりなさい”の言葉が私は好き。

 誰にも内緒だけれど、この声を掛けられる度に“ただいま”と言って飛びついてキッスをしたくなる衝動に駆られる。

「どうでしたか」

 服を着替え終わり、ビデオの確認をするために手に取った私の横にカールが並んでビデオ画面を覗き込む。

 覗き込まなければ“見ろ”と命令したところなので、こうして並ぶのは当たり前。

 だけどつい最近ハンスに抱かれたばかりだからか、並んだカール男らしい太い腕や肩に当たる逞しい胸の筋肉に異性を感じてしまい少しドキドキしてしまう。

 別にカールに抱かれたいとか、キッスしたいなんて思わないのに不思議な感覚。

 女の子は皆そうなのだろうか?

 それとも、ただ私が特別淫乱な女という事なのだろうか……。

「座ろう。立っていると狙撃兵の的になる」

 気持ちを変えるために座ったが、そうするとまるで隠れているようで余計に落ち着かなくなる。

「ナトー中尉……」

「な、なんだ?」

「気にするこたぁありません。当然の反応ですから」

 カールが何を言っているのか分からなくて、ポカンとした顔で見ていた。

「むしろ、今まで普通でいられた事の方が、異常です」

「なんの事だ?」

「男性を意識してしまったのでしょう?」

「ま、まさか!」

 言葉では否定したが、見事に言い当てられて戸惑う。

「いくら育った環境が異常だったとしても、中尉だっていつまでも異性を意識しないアンダーティーン(10歳未満)のままで居られる訳は無いでしょう。男の視線が、そのプロポーションを捉えるたびに、無意識に女として成長してしまう。しかも好きな人に抱かれたとあれば、その加速度は計り知れない」

“知っているのか!?……いや、知るはずもない”

「よせ。作戦行動中にプライベートな話をするな」

「すみません」

 カールは私の気持ちを察したのか、反論も弁解もしなくて素直に従った。

 一瞬動揺しかけたが、見透かされていることで逆に冷静になれ、それ以降はカールの腕に自分の肌が振れても何も気にならなかった。

「4階の敵は全部で10人」

 屋上のコンクリートの床に地図を書きながら、その配置をビデオを交え説明する。

「この布陣なら1人でもイケそうですが……」

「いや、銃は使いたくない。だから3人必要だ」

 確かにカールの言う通り。

 銃を併用すれば、西の部屋から順に攻撃をすれば私一人でも何とかなる。

 けれども、いくらテロを企てたとはいえ、ここに立て籠もっているのは民間人。

 出来る限り死傷者は出したくない。

 リーダーを含め生きたまま拘束して得られる情報により、街中に潜んでいる彼らの仲間への行動を自粛させる方が効果は大きい。

 その事こそ我々が自衛隊として行動している事の本当の意味。

 レシーバーのボタンを3回押した後に、1回押し屋上の柵の上から顔を出す。

 下を見ると、2階の窓からブラームが顔を出していたので、ビデオを投げる。

 ブラームはビデオを受け取ると、代わりにトーニの撮影していたビデオを投げて寄越したので、それを受け取りブラームたちに上がってくるように手で合図した。

 届いたビデオをカールと確認する。

 西側のドアには2人居て、その奥の部屋には私服の男が1人居て人質を見張っていた。

 そして人質は少人数ながら各部屋にも振り分けられていて、そこには私服の男1人ずつが人質と外の監視に当たっていた。

 正面の入り口には3人で、裏口も3人。

 正面近くの総合窓口の広いスペースには、大勢の人質が集められ、そこには私服で銃を持つ奴が5人居た。

 そして東側の窓には3人。

 1階は総勢19人。

 屋上で捕えた奴等の証言より少し多いが、もっとも屋上で捕えた5人が5人とも同じ人数を言ったわけではないしニルスの偵察では元々屋上に居る人数は4人だったはず。

 つまり奴等の殆どは、全員の顔を知らないと言う事だろう。

 レシーバーボタンを2回押して1回押すと裏の建物の北側から、敵に見えない様にモンタナが現れて手を上げたので、ビデオを投げた。

 モンタナは元NFLの名選手らしく、ビデオを両手で取ると胸に抱えて建物の中に姿を消した。

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