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鐘楼の白い鳩が飛ぶとき (When the white dove in the bell tower flies)  作者: 湖灯
*****202号機救助作戦(Unit 202 rescue operation )*****

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【三人目の狙撃手③(Third sniper)】

 奴にも俺の走る音は聞こえただろうが、俺が幹の太い木の後ろに隠れるまで無駄に銃は撃ってこなかった。

 この木なら自動小銃の攻撃は防ぐことが出来るから、万が一の時があった場合にと予めアタリを付けていたのが功を奏した。

 奴が用心深く近づいて来る気配がする。

 奴の銃は、この木の幹を突き抜ける事は出来ない。

 しかし、この銃なら、細い幹くらいは突き破る。

 俺に気付かれる前に“あてずっぽう”でも、ビーバーの巣状態に散らかった中に向けて乱射しておけば俺を負傷させることも出来たかも知れないのに残念だったな。

 どうやら奴は近接戦闘には慣れていないらしい。

 気配は奴一人じゃない。

 微かだが、奴の後ろにも3人の仲間が付いてきているようだ。

 マガジンには5発入っているから1発余る。

 弾を補充している時間は無いだろうから、これを撃ち終われば次は拳銃しかない。

 こいつには18発の弾が入っている。

 腰のホルスターに入れてあるMP443に手を伸ばしたとき、なにか真後ろに立つ風を感じた。

 そして手で触り確認するはずだった拳銃が、ホルスターから抜き取られる。

 獣の悪戯か!?

 人間だとは思わなかった。

 気配を感じ取る自信と経験があったから。

 ところが振り向いた目の前に居た者を見て驚いた。

 一瞬、死神グリムリーパーが俺を迎えに来たのだと思ったが、直ぐにそれは生きている人間だと分かった。

 直ぐに奴の手から拳銃を奪うため手を叩き落としたが、奴はもう銃を手にしていなかったので空振りに終わる。

“何者!?”

 拳銃を取ったので有れば直ぐにそれを俺に向けるはずなのに、奴はそれを捨ててしまった。

 おかげで拳銃を叩き落として、その手を捻り上げるための動作は空振りに終わるどころか、逆に手を捻る上げられてしまった。

 手を捻りあげられたために仰け反ったところに、大外刈りを掛けられて思いっきり地面に叩きつけられる。

 だが俺もプロだ。

 そう好きなようにはさせない。

 倒れ際に奴の襟を掴んで、引き込むことでバランスを崩し寝技に持ち込むはずだったが、奴はそれを読んで空中で1回転と捻りを入れて上手く掴まれた手を解いた。

“さすが!”と褒めてやりたいところだが、一旦体を離したのが運の尽き。

 こいつ背は標準位だが、意外に体重が軽い。

 打撃でも寝技でも重量のある方が有利なのは決まっている。

 だから柔道もボクシングも重量別に階級が決められているのだ。

 跳ね起きから直ぐに、奴の予想位置に後ろ蹴りを入れるが避けられた。

 体重が軽いだけあって、身のこなしが速い。

 だが、それもこれまでだ。


 男はガードを降ろし、まるで私を揶揄うように顔を突き出してきた。

 一見容易にパンチやキックを入れられそうに見えるが、これは罠。

 パンチを入れれば、それを避けるために懐に潜りこまれてコマンドサンボ独特の抱え投げを食らってしまうし、顔面を狙って高く上げたキックは下から掴まれて逆に倒されてしまう。

 つまり出したハイキック以上に、足は高く上がらないと言う事だ。

 面白い。

 では、お望み通りハイキックをお見舞いしてやろうじゃないか。


 奴は俺の挑発に乗って右からの回し蹴りを振り上げて来た。

“バカめ”

 ガードを上げる振りをしながら半歩踏み込んで間合いを詰める。

 腕以外にも動きを付けることで、より早く体を動かせることが出来るし、万一蹴りを食らったとしても自ら近付いた事により蹴りが浅くなり受けるダメージも半減する。

 ところが奴の脚が伸びてこない。

“フェイク!”

 奴の狙いは俺の腕を上げさせ、がら空きになった足を狙うつもりだ。

 それも面白い。

 1手遅れてしまうが奴の脚を掴む事は出来る。

 掴んだ途端に、捻りを入れて倒れ込めば、奴もまた倒れる。寝技になれば圧倒的に体重のある方が有利だからもう奴には勝ち目がない。

“来た!”

 後ろ回し蹴りの体制で太ももに踵を入れて来るつもりなのか!?

 これは相当に痛そうだな。

 ところがこの後ろ回し蹴りは腿には当たらず、踏み込んでいた俺の脹脛ふくらはぎに巻き込むように当たった。

 所謂いわゆるカーフキックだ。

 さすがに、ここに食らうとキツイ。

 痛みで一瞬動きが止まる俺に対して、奴の動きは止まらない。

 そのままの回転運動を続けて、もう1発同じところに奴の足が飛んできたので慌てて足を上げてかわそうとすると、奴は股関節を上手く使って体を傾けそのままの脚の振りから俺の顔面にハイキックを当てて来やがった。

 片足を浮かした状態でハイキックをまともに食らってしまった俺は、不様にも木の幹の所まで吹っ飛ばされた。

“あり得ない!体重95㎏もある俺が、60㎏前後の体重しかなさそうなこの華奢な奴に吹っ飛ばされるなんて……”

 舐めてかかった訳ではないが、奴の味方も近くまで来ているからには早く片付けなければならない。

 俺は腰からナイフを取り出した。

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