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空想科学オカルト小説 南方呪術島の冒険  作者: 雲居 残月
第七章 パズルのピースと呪術の謎解き
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第四十一話 過去への疑惑

 レオナルドはURLをクリックして開く。フェイスブックページのページが表示される。

 リベーラ島の新聞支局に務めている記者のものだ。短時間に連続して記事や動画を投稿している。その内容を見ると、町の様子が手に取るように分かった。


 広場に集まった人々の数が、どんどん膨れ上がっている。そして周辺の店を破壊して暴徒化していた。レオナルドは動画をクリックして再生する。


「倒せ、イバーラ! 倒せ、イバーラ! 倒せ、イバーラ!」


 人々が武器を持ち叫んでいる。


 画面の奥では、商店のショーウィンドウを叩き割る男たちの姿が見えた。カメラは大きく揺れながら動いている。

 画面にガッシリした体格の男が現れる。ペドロ・ラメーラだ。褐色の肌と、盛り上がった筋肉が、暴力の渦中の人物として相応しいように思えた。


 カメラの前に記者が立ち、ペドロにマイクを向ける。


「我々はフランシスコ・イバーラを打倒する!」


 その声に、周囲の人間たちがわっと沸いた。そこで動画は終わった。


 動画を見終えた頃を見計らって、クレイグが声をかけてきた。


「レオは、おじいさんたちに連絡を取った方がいいよ」


「やっぱり、心配しているよね」


「違うよ。昨日の会議のあとに考えたんだ。きみのおじいさんとおばあさんは、リベーラ島の住人なんだろう。年齢から考えて、呪術がかかっている可能性は、当然疑うべきだ」


 クレイグの言葉にレオナルドは息を呑んだ。


 そうだ。ディエゴは、島の住人の多くにフランシスコと同じ呪術をかけた。レオナルドの祖父母が対象になっていてもおかしくない。


「電話はかけられる?」


「スマートフォンを壊されたので、パソコンから連絡してみる」


 レオナルドは、登録したアドレスの中から祖父を選んで発信した。祖父母の家には、フランシスコが島の住人にばら撒いた端末がある。

 数秒待ったところで、画面に丸々と太った祖母の姿が現れた。


「まあ、レオじゃない! フランシスコ・イバーラの屋敷にいるって、知らない人が伝えに来たんだけど、本当なの? ずっと探していたんだよ!」


 祖母は興奮して大声でわめき立てた。


 これじゃあ話にならない。そう思いレオナルドは、祖父に代わるようにと頼んだ。


「わしだ」


 峻厳な顔つきの祖父が現れる。祖父はレオナルドの顔を見て口を開いた。


「生きているようだな」


「うん。教えて欲しいことがあるんだけど」


「なにをやっていた? 今までどこにいた?」


「なにをやっていたかは帰ってから全部話す。場所はフランシスコ・イバーラの森の城だよ」


 祖父は少し考える表情をした。


「おまえは無事で、なにか重要な仕事をしている。今は議論をするべき時間はない。だから簡潔な答えを得たい。そういうことか?」


「うん」


「分かった。わしの分かる範囲で答えよう」


 レオナルドは、祖父の反応のよさに感謝する。


「おじいちゃんは五十年以上前からこの島にいるんだよね?」


「そうだ」


「島の入植者の子孫なんだよね」


「ああ」


「四十九年前のことを聞きたいんだ」


「先住民の大虐殺があった翌年だな。思い出したくもない事件だ。わしは二十五歳の青年だった」


「虐殺のあとに、ディエゴ・ロドリゲスという男が、町の広場で人々に声をかけていたのは知っている?」


「うーん。知らんな。わしは町には、あまり行かんからな」


「その人は、多くの人に声をかけていた。そして、耳を傾けた人に、小さな石を飲むようにと言った。そういう人に会ったことはある?」


「いや、会ってないな。それより、そもそも石なんか飲めんだろう。変な質問だな」


 祖父らしい反応だと思った。


「じゃあ、おばあちゃんは、どうだったか聞いてくれない?」


 レオナルドの質問に、祖父は苦い顔をした。


「あれは、他人にもらったものを平気で口にしそうだな。ちょっと待ってくれ」


 画面から祖父の姿が消える。しばらく待ったあと、祖父の顔が画面に現れた。


「話自体は知っていた。ディエゴさんはハンサムだったから、年頃の女たちはみんな広場に行ったと言っていた」


「石は?」


「飲んでいないそうだ。あいつ、私は岩みたいな顔の方が好みだからと言いおった。誰が、岩みたいな顔だ」


 口調とは裏腹に、祖父はまんざらでもないといった表情をする。レオナルドは、胸をなで下ろす。

 とりあえず、祖父母に呪術はかかっていない。しかし、危険なことに変わりはない。

 どれほど有効かは分からないが、虫に気をつけるように伝える。また、なにか異変があれば、船で沖に逃げるようにと話した。


「質問は他にあるか?」


「ううん。もうないよ。ありがとう」


「分かった。マリオには無事だと連絡しておく」


 レオナルドの父親の名前を、祖父は告げる。レオナルドは、唇をわずかに噛んだ。


「いいかレオ――」


 祖父は諭すように言う。


「なにをしているか分からないが、なるべく早く解決して戻れ。町では森の城に攻め入ろうという気運が高まっている。そこは危険だ」


「そうするよ」


 ウィンドウを閉じると、ノックの音が響いた。


 レオナルドは画面から目を離して扉に向ける。


「はい」


「アルベルトだ。メッセージを見たよ」


 急いで立ち上がり、入り口に駆けた。扉を開けると、兵士の横にアルベルトとマリーアがいた。

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