表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

48/55

フェアリア皇国 Act-6

ミユキは憂いていた。

必死に研究を続けるマコトを想って。


未だに糸口さえ見つけられない成果を憂いて・・・

研究室ラボから出るミユキが声を掛ける。


「それじゃあ明日の朝。皆さん宜しく頼みます」


一心不乱に打ち込んでいるマコトを観て、詰める研究者達に会釈した。


「ええ、マダム。ご主人の事はお任せくださいね」


フェアリアの女性魔法研究者が帰宅するミユキに頷く。


「ありがとう、お願いします」


振り返らないマコトの背を観て、やや寂し気にドアを閉じた。


フェアリアに来て早いもので、もう2年が経つ。

王女リーンの目覚めは一向に目途が立たず。

その間にフェアリアの研究者達に享受出来たのは、魔法の力を引き出せる魔鋼機械の製造法ぐらいだった。


尤も、フェアリア皇国としては、それが狙いでもあったようなのだが。





「御主人様は今日も詰められておられるのですか?」


送迎を任されている運転手が後部座席のミユキに訊ねてくる。


「ええ、そう。コンを詰め過ぎちゃって、身体を壊さないか心配だわ」


金髪で碧眼へきがんの青年運転手に微笑んで答えると。


「マコト様はこうと決められたら、一心不乱に務められますからね。

 立派だとは思いますけど、お身体だけでなく家族の事もお考えになられましては。

 ミハル嬢ちゃんやマモル坊ちゃんの事も、少しはお考えになられてはと思いますが」


前方を向きながらバックミラーに映るミユキの表情を観て、心配気に話して来る。


「そうね、バスクッチ君。

 でも、あの人は私達の事を忘れてはいないの。

 一刻も早く終わらせたい一心で・・・務めてくれているのよ」


兵長の階級章を着けた青年運転手に、そう教えたのだが。


挿絵(By みてみん)


「ですが、そうだとしても。どんなに遅くなっても子供の顔位は観に帰ってあげても・・・」


子供思いなのか、バスクッチ青年は親として子の顔位は観に帰るのを勧めて来る。


「そうね・・・言っておくわ」


虚ろな返事を返したミユキが、夜の皇都に視線を逸らせた。





「あ、お母さんお帰りなさい!」


ドアを開けるとマモルが出迎えた。


「ただいま。遅くなってごめんねマモル。ちゃんと晩御飯食べれた?」


「うん、ミハル姉に造って貰ったから!」


玄関先でマモルに出迎えられたミユキが、ミハルはどうしてるか訊ねると。


「ダイニングでなにかごそごそやってたけど?」


興味が無かったのか、マモルは出迎えに来ないミハルの事をそう教えて来た。

いつもなら飛んで迎えに出て来る筈なのに・・・

そう不審に思ったミユキが真っ直ぐダイニングに来た時、眼にしたのは。


「あっ?!あああっ?!」


思わず叫んでしまった。


「ミ、ミハルお姉ちゃん?!」


風も無いのに髪が舞っている。

そんな明かりも無いのに蒼く光っている。


右手に填められた碧き宝珠から魔砲の輝きが溢れている。

ミハルの身体に秘められた魔砲の力に因って。


「あ、お母さん。お帰りなさい」


振り返ったミハルの瞳が碧く染められている。


挿絵(By みてみん)


「ミ、ミハル!あなたっ、どうしてそれを!」


隠してあった筈の蒼き宝珠をいつの間に見つけたのか。

それよりもなぜ填めてしまったのか?

魔砲の力がなぜ発動しているのか・・・


喩え填めただけなら、魔砲の力は発動など出来ない筈なのに。


「ミハル!危ないからその宝珠を外しなさい!」


咄嗟にミハルに駆け寄り宝珠を外す様に叫んでしまう。


「え?うん・・・」


素直に宝珠を外すミハルから奪い去ると。


「ミハル、なぜ隠してあったのに。勝手に着けてしまったの!」


驚きと戸惑いで、思わず怒鳴り声をあげてしまうと。


「ふぇ・・・ふぇええんっ、ごめんなさいぃ!」


普段声を荒げる事のないミユキに叱られて、ミハルが泣きだしてしまった。


「あっ、ミハル・・・ご、ごめんね。お母さん驚いちゃって」


泣き出したミハルとびっくりして声を呑んでいるマモルに気が付き、自分を取り戻したミユキが謝った。


「うっ、ううん。お母さんの大切な物なのに勝手に着けちゃったから。

 お母さんが謝る事ないよ、ごめんなさい」


泣き止んだミハルが謝ると、


「ミハル姉が魔法使いになったみたいだったから。びっくりしたんだよ!」


マモルが観てしまった変化を言おうとすると。


「マモル!この事は誰にも話しては駄目よ絶対に。いいわね!」


口止めを約束させる。


「え・・・うん。わかった!」


強い口調でミユキに迫られたマモルが、びっくりして口籠る。


「ミハル、それにしてもどうして宝珠を?隠してあったのにどうやって見つけたの?」


子供達には解らない場所に隠してあった。

それは万が一、フェアリアの危険分子が家探しに来た時を考慮しての事でもあったのだが。

引き出しの裏側に、解らないよう工夫して隠してあった宝珠を、ミハルがどうして見つけられたのか。


「うん、実はね・・・お母さんの古い本を観ていたら。

 お姉さんの声が聞こえて来て、このブレスレットを着けてみてって。

 お願いされたの・・・だから・・・」


信じて貰えないとでも思っているのか、小声で訳を教えて来る。


「お姉さんの声が?!どんな声がしたというの?」


だが、ミユキはその声が誰を指しているのかを訊ね返して。


「ミハルの声によく似たお姉さんの声じゃなかったの?」


「えっ?!お母さんも聞いた事があるの?」


ミハルが驚いたように答えるのを。


「そうね、むかーしに。本の中から聞こえたの、本に住んで居る神様の声がね」


答えたミユキの顔を見上げ、ミハルの方が驚いた風に。


「お母さんも聞いてたんだ!だから本の妖精さんも私の事を知っていたんだね?!

 ブレスレットを懐かしんで触らせてって頼んで来たんだね?」


ミユキはミハルを見詰めた。

女神が何故、懐かしんだのか。

何故、今になって触りたがったのか・・・その理由を考えた。


「ミハルもマモルも。

 この事はお父さんにも話しては駄目よ。お母さんが怒られちゃうからね?」


分った事がある。

女神がミハルに宿っている事を。

強力な魔砲力を幼き体にも宿している事を。


唯、ミハルに宿る神がどのような女神なのかは分かってはいなかったが。


ー  もし、審判の女神がミハルに宿るというのなら。

   人類の滅亡を司る女神だとするのなら・・・私はどうすれば善いのだろう?


ミユキは初めて観たミハルの力に、これから執るべき道を探り始める。


その時が近づきつつあるのを、実感してしまい・・・

ミハルに魔力が備わっている事が解った。


それがやがて来る審判の日とどう関わるのか。

ミユキにはその事だけが気懸かりだった・・・


しかし・・・闇はもうソコまで迫っていたのだ!


緊迫するフェアリアに訪れるのは・・・悪魔なのか?


次回 フェアリア皇国 Act-7

君にはその影が見えるだろうか?現れた死の影が!


今回はバスクッチ君!でしたぁ!



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ