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希望の御子 Act-1

あいの女神ミハル・・・

神官巫女ミユキ・・

2人の接点とは?!


挿絵(By みてみん)


はぁ~いっ、魔砲少女ミハルんですぅ!

え?!

なぜワンピの水着なのかって?

・・・そんなの作者の趣味なだけだよ。気にしちゃ駄目なんだからね?


作者注・すみません。詳しく知りたい方は「魔鋼騎戦記フェアリア」読んでね


佐伯支隊により、事変は終息へと向かった。

僅か数週間でエギレス軍が降伏して来るとは、日の本政府も考えてもいない僥倖であったのだが。


ガポールにあるエギレス要塞島で、日の本軍派遣部隊の司令部は少なからず戸惑いを隠せなかった。

なぜエギレス軍が降伏して来たのか解らずに。


降伏勧告を受け入れたパーシバル中将が何を思っているのかと、信じられない気持ちで。


日の本軍が進駐したガポール要塞には、十分な戦力と装備が残されていたからだ。

殆ど闘いもせずに降伏を受け入れたのは、何か目的があるのかと訝しんで。


佐伯支隊長に案内された軍司令部の高級参謀達には、

女子だけで創設された戦車隊の戦果だとは信じられようも無かっただろう。

魔法の戦車部隊が敵に与えた印象に因る結果だとは、想像も出来なかっただろう。

敵将パーシバル中将に会見するまでは。





第16軍司令官川下中将とパーシバル中将の会見の場で、降伏調印式が執り行われた。

今回の事変は両国が正式に戦争と認めてはいなかったから、現地裁量で降伏文章が起案された。

そこには降伏に伴う捕虜は採らない事、ならびに武装解除の必要も無いという事を明記されていた。


但し、紛争地帯から両国の軍を引き上げる事が第一条件とされていた。


「これが我が国の本意だと認識していただきたい。

 戦いに散った者を悼むのならば、これ以上の干戈は必要ないものとお考えいただきたい」


川下中将が敵軍の将に告げた。

負けた司令官であるパーシバル中将は耳を疑って訊き返して来る。


「これは敗者に対する冒涜なのではないのか?

 あなた達、日の本軍に我々は屈したのだぞ?降伏した者にお構いなしと言ったに等しいのだぞ?」


パーシバル中将が口ひげを震わせて、侮辱を受けたと言い返して来るが。


「敗者とは考えておりません。

 あなた方本国人には、現地人の苦しみが解っておられないだけなのです。

 植民地の人々を解放する事が出来れば我々の勝利。

 八紘一宇の大原則を果たす事が出来れば、今次事変は完遂出来たのですから」


川下中将は両国の戦闘に巻き込まれた現地住民を植民地政策から解放するように求めていた。

東洋に進出して植民地化を進めるのを辞めるように促しているのだ。


「あなた方欧州の民は、我々東洋人を奴隷と化してまで国力をつけたいのですか。

 世界中で帝国主義が蔓延し、力なき国が滅ぼされていく。

 このような有様では、いつかは欧州自体で戦争が起きてしまいますよ。

 そうなればあなた方エギレス王国も戦場になるかもしれませんよ?」


川下中将には先見の明があったのだろうか?

この事変の後も、各国が利権を争い続ける事になるのを・・・



「それにしても驚きましたな、あなた方にはまだまだ闘い抜く事の出来る装備があるというのに。

 こんなに早く降伏して来たのはどうしてなのですか?」


作戦参謀が要塞に備蓄されていた兵器が手付かずなのを知って問いかけた。


「このガポール島だけでも、半年は持ち堪えられたのではないのですか?」


兵器もそうだが、将兵の数も砲、弾薬についても。

派遣された第16軍より余程強力だとは言わなかったが。


「・・・それは。あなた達の姿を見せられたからだ。

 無敵の戦車を観てしまったからだ・・・魔女の噂が広まってしまったからだ」


パーシバル中将の側近が吐き捨てるように答えた。


「東洋には魔女が存在しているなどと寝ぼけた兵が、恐慌状態で噂を立てたのが始りなのだ。

 植民地兵ならばいざ知らず、事もあろうに戦車隊の指揮官が広めたのだ。

 我々の戦車では魔女の兵団には勝てないと。

 臆病者が広めた噂がまことしやかに広がり、戦意を萎えさせた。

 闘う前から厭戦気分が蔓延したからだ!」


側近が吐き捨てるように言うと。


「それは君達指導部が指導出来なかったからではないのか。

 私の恥を広めるのは辞めてくれたまえ」


パーシバル中将が嗜める声に、軍人ともあろう部下が言い返す。


「恥だって?!

 降伏する方が余程恥ずかしい事なのに?!あなたは司令官の器では無かった!」


不意に立ち上がり言葉汚く罵る側近に、


「辞めたまえ。見苦しいぞ、君は」


パーシバル中将が諦めた様な顔で命じる。


「どうやら、あなた方に本当の事を話した方が良さそうですな。

 佐伯支隊長と向田中佐を呼んでくれないかね?」


川下中将が、件の部隊長を呼びに向かわせる。


「あ、そうそう。蒼乃殿下に仕えていた娘も一緒に呼んで来てくれ」


何かを思い出したかのように中将が付け加えた。

川下中将はそれっきり何も言わずに、部下達が調印文を用意する姿を眺めていた。






「島田少佐、軍のお偉いさんが御呼びですが?」


ミユキと一緒に・・・と、当番兵が呼びに来る。


「なんだろうね、ミユキ?」


停戦となった今、二人を呼び出す意味が分からずに小首を傾げる。


「さぁ?私達に何かを命じられるのでしょうか?」


事変は敵軍が降伏勧告を受け入れた為に、休戦状態となっていた。

お互いに発砲せずに済んでいるというのに、何を司令部は命じるというのだろう。

・・・そう思う二人がガポール要塞の司令部に出頭すると。


「おーっ、島田君に光野中尉。ごくろうさん」


向田中佐が人懐っこい笑みで迎えてくれた。


「中佐、何か御用なのでしょうか?」


マコトが開口一番に訊くと。


「ああ、俺もたった今呼び出されて聞いたんだがなぁ。

 <魔女>を見せてやれだとさ、軍司令官殿が」


第16軍司令官川下中将の招きなのだと教えてくれた。


「閣下が?いつも聡明な方のお言葉とは思えませんが?」


派遣軍の最高司令部に居た川下中将とは、現地へ赴く時に一度だけ出会った。

マコトには温和な表情の中将が何を求めているのかが解らなかったのだったが。


「光野中尉が成し遂げたのを、敵にも見せてやって欲しいんじゃないのか?」


向田中佐がマコトに教え、


「敵の指導部には少々信じられていない節があるようなのでな。

 見せてやれば信じられるだろうさ、部下が観た真実って奴を」


ミユキの頭にポンと手を載せた。



二人が調印式を終えた会場に入ると、作戦参謀が近寄れと促して来る。

奥に腰かけている両軍の指揮官に気が付くと、二人は揃って敬礼を贈る。


「いや、ご苦労様です島田君。

 どうやらエギレスの方達は自分の眼で観ないと信じてはくれないようなのでな。

 君達女子兵に、どんな力があるのかという事を・・・」


笑い掛ける中将の横に居る敵の将軍が、物珍しそうにミユキを観ている。


「エギレスにも女性戦士はいらっしゃられるでしょう?

 女性が戦場に居るのは別におかしなことではないと思いますが?」


エギレスの側近達の視線がミユキに集まっているのを、仲裁するように参謀が言うと。


「それはそうなのだが。

 このように可憐な女性が戦場に出るとは。わが国では有り得ない事だ」


ミユキを見詰めたまま、エギレス士官が返して来る。


「確かに。

 我が日の本でも今回が初めてのケースなのです。

 いや、今回で終わりにしなければならないと思うのですよ」


川下中将が補足的に教えてから。


「それでは島田君、なぜ女性が戦場に出たのかを教えてあげてくれんかね?」


魔鋼技術を敢えて敵に教えろと命じられたマコトが、


「閣下、宜しいのでしょうか?これは国家の秘密でもありますよ?

 機械については軍でも極秘扱いなのではありませんでしょうか?」


魔鋼の技術自体が他国に知られるべきではないと考えたのだが。


「島田君、新たな技術はどんなに隠した処でやがては漏れるのだよ。

 いずれどこかの国で同じように開発される事になる。

 君達が苦労して着手した機械なのは分かるがね」


戦争に使われる技術はどこで開発されたにせよ、やがては他国に漏れてしまう。

そして闘う相手も同じ能力を持つ機械を造り出して対抗して来る。

それが戦争が無くならないもう一つの真実だと思われた。


「分かりました司令官。

 僕が話せる事だけをお教えいたします。

 魔鋼機械について・・・魔砲と呼ぶべき能力者について」


マコトはそっとミユキを促して右手を掲げさせると。


「我々日の本には、古より魔砲と呼ばれる力が書き残され、

 その力に因って動かす事の出来る魔鋼機械と云うべき存在が伝わってきたのです」


蒼き宝珠を掲げるミユキに、目で合図を送ると。


「今、あなた方の前に居る女性の右手をご覧になっていてください。

 あなた方は、自分の眼で観た事しか信じようとしないのならば、

 お見せせねば分かられないと思いますので」


促されたミユキが魔砲力を放つ。

蒼乃殿下に託された蒼き宝珠へと。


その場に居合わせた者達には、初めてだっただろう。

蒼き宝珠が光り輝く様を観たのは。


唯、川下中将だけは微笑んでいたのだったが・・・・


事変は<東洋の魔女>の活躍により終焉を迎えた。

占領など行わない日の本に、現地の住民達は諸手を挙げて喜んだという。


マコトとミユキは懐かしの都へ。

帰還を赦された2人は・・・


読者の皆様、いよいよですっ!

ミハル爆誕の時が迫る?!・・・W


次回 希望ひかり御子みこ Act-2

君はやっと母国の土を踏めた・・・そう。モジモジしながら期待して・・・?!

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