053 CTXー6
仁「こんにちは、魔法工学師の二堂仁です」
礼子「お父さまに作っていただいた自動人形でアシスタントの礼子です」
仁「作者が実際に作ったあれやこれやを、俺の解説で紹介するっていう企画の第53弾です」
礼子「いよいよ、フロントユニットとパワーユニットを使った『CTXー6』ですね」
仁「ようやく涼しくなったからな」
礼子「というか寒くなった気も」
仁「それは今月後半な。前半はまだ少し暑い日もあったし」
礼子「とにかく、ついに完成したというわけですね」
仁「ボディはまだだそうだが、それもおいおいな」
礼子「楽しみにしておきます」
仁「まずはギヤボックスを作り直した」
礼子「いきなりですね」(困惑)
仁「実は、出力軸(タイヤを付けるシャフト)の位置が高すぎて、組むとシャーシが地面をこするんだと」
礼子「あらら」
仁「なので、穴同士の位置関係はそのまま、全体を下げたというわけだ」
礼子「ついでに少し形状も洗練したんですね」
仁「『ユニット』の利点だな」まあギヤボックスの交換だけなので他の車種でも可能ですが
仁「で、こうなる」製作過程は先月と同じです
礼子「少しかっこよくなりましたね」
仁「斜めの部分があるだけでイメージが変わるよな」
仁「で、いよいよシャーシを作る。まずは型紙だな」
礼子「ボール紙ですね」
仁「まず方眼目盛りのあるカッティングマットの上にユニットを置いておおよその位置出しをしてからボール紙を切った」幅は100ミリと決めていました
仁「で、こうなった」
礼子「電池ボックスが一番面積を取ってますね」
仁「しょうがない。作者は頑なにリチウム電池を使いたがらないからな」
礼子「火を噴くのが怖いんですね」
仁「RCで使うと、必ずと言っていいほど衝撃が加わるからな」RC飛行機なんて墜落したらすごい衝撃だと思う
礼子「早く安全な電池が出てほしいですね」
仁「まったくだ」
仁「で、素材は2.5ミリ厚のMDFだ」
礼子「これも定番ですね」
仁「加工した」
礼子「型紙があるからやりやすかったですね」
仁「うん。フロントユニットはM2ネジ用の穴は2.2ミリ、皿ネジ用の座繰りもしてある」
礼子「パワーユニットはM3なので3.2ミリ径です」座繰りもしてあります
仁「フロントとパワーユニットを仮止めしてみた」
礼子「いっきにらしくなりましたね」
仁「車高もいい感じだ」パワーユニットを作り直す前はリヤの地面(床面)との隙間がほとんどなかったのです
仁「別系統のバッテリーも載せてみた」
礼子「こっちは純粋なRC用ですね」
仁「タムテ○クギヤ等に使える小型のやつだな」
仁「で、こっちが単4を6本使う方」
礼子「単4だと高さが減って専有面積が増えるんですね」
仁「うん。RC用だと高さが増えて専有面積が減る」今回はどっちも使えるようにしたわけだ
仁「で、電池ボックスが収まるように隔壁を付ける」接着剤は2分エポキシです
礼子「シャーシと同じ2.5ミリのMDFと、6ミリのMDFを切って作った角材(補強用)ですね」
仁「補強用の方は、RC用のバッテリーがガタつかないようにとの意味もある」
礼子「ああ、なるほど」
仁「バッテリーを収めてみるとこうなる」
礼子「いい感じですね」
仁「で、ボディを固定するための真鍮パイプだ」外径2ミリ内径1ミリ
礼子「CTXー5でやっていたアレですね」
仁「詳しくはそちらも見てほしい」
仁「で、補強材やら隔壁やらと接するように接着する」接着剤はこれも2分エポキシです
礼子「さすがにこちらの寸法はCTXー5と互換性はなさそうですね」
仁「残念ながらな」
仁「で、板を追加する」
礼子「ここに受信機とかESCを載せるんですね」
仁「そうなる」
礼子「ユニット化のおかげか、CTXー5より全体の高さが低くなってますね」
仁「特にフロントユニットの効果が大きいな」
礼子「作者さんの目標はグループ7ですもんね」
仁「うん。……ここで解説しておくと、『グループ7』というのはレースカーの旧カテゴリーで、1968年に新設された」
礼子「それまでのポルシ○カレラ6(カ○ラ906)などのプロトタイプカーはグループ6でしたね」
仁「うん。エンジン排気量や生産台数、仕様や装備などに細かな規定があったので、自動車メーカーでないとまず対応できなかったんだ」
礼子「それが、グループ7になってほぼ無制限になった、と」
仁「まあそうらしい。……で、作者が憧れていたのがグループ7のR381やト○タ7、ロ○ラT70なんかだな」まあ実際のレースをリアルタイムで見たわけじゃないんですが
礼子「とにかく、そういうボディを載せてみたい、というわけですからCTXー5では無理ですね」
仁「そういうことだ」
仁「受信機とESCを載せてみた」
礼子「余裕がありますね」
仁「これなら次回作は目的を達せそうだよな」
仁「だが、1つ問題が発生した」
礼子「あああ……サーボの調整ができないんですね」
仁「うん。調整というか、サーボホーンを固定するネジを回せないことがわかった」
礼子「あらぁ」
仁「そしてもう1つ」
礼子「後輪がシャーシとこすれてますね」
仁「うん……」
仁「で、丸棒ヤスリでフロントユニット方面を、平ヤスリでパワーユニット方面を削った」
礼子「画像はフロントユニット方面です。こうすればドライバーがちゃんと使えます」
仁「さて、そして電源スイッチだ」
礼子「いつも最後になりますね」
仁「うん……他の部品やユニットを取り付けてからでないと、適当な場所がわからないんだ」
礼子「なるほど」
仁「で、パワーユニットの『脚』にしたのと同じアルミのアングルを加工した」
仁「シャーシの耐久性を上げるためのウレタン含浸だ」
礼子「いつもの『木固めエ○ス』ですね」
仁「うん。湿気を吸わなくなるからいいんだよな」MDFは湿気を吸ってカビる可能性があります
礼子「かなり吸い込みますよね」
仁「重さも増すような気がする」それ以前にシンナー臭がすごいので換気を忘れないでください
仁「十分乾かしたら受信機とESCを固定する両面テープを貼る」
礼子「クッション性のあるものがいいですね」
仁「そうだな」
礼子「ところで、ウレタンを含浸させたので、テープを剥がしてもMDFの表面が一緒に剥がれたりしません」
仁「で、最終的に部品を固定する」
礼子「ようやくですね」
仁「CTXー5に比べると、高さ方向が少しコンパクトになったな」
礼子「デッドスペースが減りましたね」
仁「そういう点ではファクトリーにはかなわないよなあ」向こうはプラで自由に整形できるから
仁「ところで、単4を6本使う電池ボックスだ」
礼子「3本用を2つ使うんですね」
仁「6本用もあるのかもしれないが、電池の固定に不安があってな」4本用でさえ真ん中の2本がすぐに飛び出すから
礼子「なるほど」
仁「2本用を3個使うのが確実だろうな」
礼子「ちなみにコネクターはミニコネクターです」
仁「で、改めて完成した様子だ」
礼子「電池を2通り使えるというのが今回の工夫点ですね」
仁「工夫というほどでもないが、そうだ」
礼子「このギヤ比ですと、室内で危なげなく走らせることができるそうです」
仁「慣れたら物足りなくなりそうな速度だよな」
礼子「ところで、ボディはどうするんですか?」
仁「うーん……。CTXー5より工夫したものを作りたいらしく、検討中だとさ」
礼子「次回には?」
仁「間に合いそうもない」
礼子「では次回は別のテーマですね」
仁「そうなりそうだ」乞うご期待
* * *
仁「ということで今回は『CTXー6』でした」
礼子「お疲れ様でした」
仁「作業時の刃物による怪我、はんだ付け時の火傷などにはご注意ください」
礼子「フラックスが目に入った場合は流水で洗い流し、眼科へ」
仁「手を切ったら流水で洗い流しましょう」
礼子「汚れが傷口に残らないよう注意です」
仁「趣味は楽しく、安全に」
仁・礼子「「それでは皆様、ごきげんよう」」
ごらんいただきありがとうございました。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。




