番外05 レトロモーターコレクション
仁「こんにちは、魔法工学師の二堂仁です」
礼子「お父さまに作っていただいた自動人形でアシスタントの礼子です」
仁「作者が実際に作ったあれやこれやを、俺の解説で紹介するっていう企画……なんですが、今月は番外編です」
礼子「どうかしたんですか?」
仁「いや、毎日暑すぎて、作業場に籠もれずに製作が進まないんだとさ」
礼子「確かに、暑いですもんね……」
仁「熱い。暑いじゃなくて熱いもんな……」
礼子「というわけで、今回は作者さんのレトロモーターコレクションをご紹介します」
仁「地方の模型屋さんとか、閉店間近のおもちゃ屋さんとか、古いジャンクプラモをバラしたりとか、いろいろやって集めたものです」
礼子「同年代以上の方には懐かしいでしょうけど……」
仁「まあ、模型の歴史的には価値が(少しは)あるんじゃないかなあ」
礼子「それでは、ご紹介を始めます」
仁「まずはコレクションの全体だ」
礼子「思ったより少ないかも」
仁「今となっては早々手に入るモノじゃないからな」
礼子「箱に入っていないものはプラモなどをバラして取り出したんでしょうか」
仁「青いモーターは違うな。自作模型をバラしたらしいぞ」もちろん作者以外の人が作ったものも含みます
礼子「なるほど」
仁「まずは『0』モーターだ」
礼子「なんというか、昔の動力モーター、といった雰囲気ですね」
仁「だな。すごいことに、このモーターは『鋳造マグネット』使用と書いてある」
礼子「今はフェライトですよね?」強力なものはネオジムとかサマリウムコバルトとか
仁「鋳造なんだ」
礼子「ネットで調べてみたら現在ではアルニコ磁石のことをいうと出てきました」
仁「作者も詳しくは知らないらしい」仮に『アルニコ磁石』だったとしてもそう書かずに『鋳造マグネット』と表記するあたりが時代だな
仁「次は01から03だ」
礼子「さっきの『0』の箱には『03』って載っていませんでしたよね」
仁「よく見てるな。多分このシリーズでは最新型なんだろうな」
礼子「1とか2って大きいんでしょうね」01から03は箱の大きさからしてほぼ同じ大きさと推測されます
仁「でかいのは手に入らなかったんだろうな」
礼子「ちなみに『子供◯科学』とか『模型◯ラジオ』といった雑誌の裏表紙などに広告が載っています」1950年代後半から1960年代前半くらい
仁「次は『F25』をはじめとする青いケースのモーターだ」Fは多分フラットのF
礼子「後で出てくるRE系はラウンドモーターですものね」
仁「で、1960年代はけっこうポピュラーなシリーズだったようだ」フェライトマグネットだし
礼子「モーターベースがネジ止めされていたり、ピニオンギヤがセットされていたりしますね」
仁「そうだな」このシリーズは船(主に戦艦や巡洋艦)のプラモデルをモーターライズして走らせるために使われたようだ
礼子「作者さんが手に入れたものの1つは夏休みの工作で作った扇風機のジャンクからでしたね」
仁「シリーズは12、13、15、25、35、45、55と大きくなっていくらしい」13というのは今のFAー130とほぼ同じ大きさのようです
礼子「リード線が出ている部分の上にあるごちゃっとした箇所は何なんですか?」
仁「俺も知りたい」作者も知らない。小さい磁石の板がはめ込まれているようだが
仁「で、12モーターだ」箱はありません
礼子「両軸ですね」◯ニ四駆用にもありますね
仁「この当時はミ◯四駆もないし、どういう用途だったんだろうな」
仁「で、船外モーターだ」OBー300
礼子「実際のモーターボートでもこういうのが付いているものがありますね」
仁「それを意識しているんだろうな」
礼子「単に木を削って作った船に取り付ければモーターボートになりますよね」
仁「当時もラジオコントロールは万単位でお金がかかったろうから、子供はフリーで走らせるしかなかったよな……」作者も
礼子「中はどうなっているんですか?」
仁「15(Fー15)モーターが入っていて、長ーいスプリングジョイントでスクリューを回してる」もう錆びているんじゃないかな
礼子「これよりもう1ランクサイズが大きいものもあるようですね」
仁「OBー500ってやつな」
仁「で、モーターの袋だ」ラインナップが書かれている
礼子「REシリーズがありますね」でも二桁です
仁「もっと後だな」14は140、26は260
礼子「RSー54Kというのもありますね」全体が写っている箱の右上がそうです
仁「多分、今のRSー540の前身だ」逆に今はRSー85の後継機はないみたいだな
礼子「Sー1って……」
仁「水中モーターだな。中にはFAー13モーターが入っていて、単3乾電池1本を入れて動かせる」
礼子「ああ、アヒルのおもちゃとか石鹸ケースの底に吸盤でくっつけてお風呂で遊べるやつですね」
仁「お風呂限定じゃないけどな」池でやったら多分行方不明続出だろうな……
礼子「今はタ◯ヤさんから後継機が出ています」黄色い色だったかと
仁「だな。これは確か先端が白(アイボリー?)で後半分が赤だった記憶がある」
礼子「あとはメーカー名ですね」東◯科学株式会社とマブチモ◯ターが併記されてます
仁「今、◯京科学株式会社で検索すると全く違う会社が引っかかるな」マブ◯モーターの前身は、正確には・・科学工業株式会社というらしい
礼子「そういう意味では歴史的な資料ですね」
仁「で、二桁ナンバー時代のモーター3種」
礼子「FAとREですね」外形寸法は今と同じです
仁「カラーリングがなんとなくかっこいいよな」黄色になってからはなんか馴染めない
仁「で、二桁時代のREー56だ」
礼子「今は560、ってないですもんね」380とか540です
仁「でも黄色い箱なんだよな」
仁「で、FAー15の新旧だ」
礼子「リード線のまとめ方が違いますね」
仁「うん。古い方はケースでカシメてあるが、新しい方はプラ部品で留めてある」
礼子「これも箱がないんですね」
仁「ジャンクのプラモから取り出したものだからな……」
礼子「ケースは金色ですね」
仁「クロメート処理だな」六価クロムが問題になって、今は安いものは亜鉛メッキ、高級品はニッケルメッキになっているようだ
仁「ゼネコン用モーターだ」ゼネコンといっても建設会社じゃないぞ
礼子「ゼネコン 模型 などで検索すると出てきますね」
仁「要するに手回し式発電機でモーターを動かそうというものだな」当時の子供達には乾電池を買うのにも懐事情があったんだろう
礼子「でも、発電機を買うのにも対価が……」
仁「そりゃそうだな」
礼子「あ、モーターとしてみたら普通のREー26とは何が違うんですか?」
仁「多分巻線だ。より細いものをたくさん巻いていると思う」
礼子「電流を少なく、電圧を高く、ですね」
仁「で、作者が遊んでいたスロットレーシングカー用のモーターだ」FTー26D
礼子「当時は町中にサーキットがあったそうですね」
仁「作者が通ったのは白金サーキットだな」ビルの半地下にあって、8レーン、15分借りると……料金は忘れました
礼子「あと、世田谷区の轟にもあって、遠征したことがあるようです」でも白金の方が広くて立派だったとか
仁「中学生とか高校生あたりがメイン客層だったそうだ」作者とその友達は最低年齢層に近かった
礼子「カーボンブラシなんですよね」
仁「今のものと違って、カーボンそのものから銅線は出ていないけどな」今のRC用のモーターのカーボンブラシには銅線が生えています
仁「そんなスロットレーシングカーブームにも翳りが出始めた頃に出たモーターだ」NEWとあるからには、旧型のFTー16Dもあったようです
礼子「作者さんが遊んでいた頃には、もうFTー26Dしかなく、それも生産中止になって、よりパワーのないFTー160が出たとか」
仁「作者も中学生、そして高校受験で忙しくなったからいつしかフェードアウトしたんだ」
* * *
仁「ということで今回は『レトロモーターコレクション』の紹介でした」
礼子「お疲れ様でした」
仁「作者は子年なのでコレクションが好きなようです」
礼子「そういうことってあるんですかね」
仁「さあなあ。血液型や星座と似たようなものだろうな」
礼子「でしょうね……」
仁「ここまでご覧いただき、ありがとうございました」
礼子「次回は番外編じゃないでしょうね」
仁「涼しくなることを祈ろう」
仁・礼子「「それでは皆様、ごきげんよう」」
ごらんいただきありがとうございました。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。




