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蓬莱島の工作箱  作者: 秋ぎつね
58/73

042 狐人形

仁「こんにちは、魔法工学師マギクラフト・マイスターの二堂仁です」

礼子「お父さまに作っていただいた自動人形(オートマタ)でアシスタントの礼子です」


仁「作者が実際に作ったあれやこれやを、俺の解説で紹介するっていう企画の第42弾です」

礼子「今回はぐっと趣向を変えて人形ですか」

仁「ああ。あまりにも毎日暑すぎて作者もまいったらしい」

礼子「7月にはTIAで入院してましたものね」

仁「なので比較的簡単なものになったようだ」

礼子「狐の人形でしたら、前に紹介してましたよね?」




挿絵(By みてみん)


仁「とかな」(ep.12 番外03 お狐様グッズ)

礼子「博多人形風にしたと言ってましたね」

仁「今度もそういう系統で行くようだ」




挿絵(By みてみん)


仁「まずは設計……というかデザインだな」

礼子「2つ作るんですね」

仁「うん。紙粘土もしくは石粉粘土を使うんだが、使い切りたいんだとさ」余ったものは乾いて固まるから

礼子「ちょっとわかります」

仁「で、1つはちょいリアル寄り(?)、もう1つは縁起物」ネットでいろいろ検索してアイデアをもらいました

礼子「なるほど」

仁「『今戸焼』とか『伏見人形』などのキーワードで検索するといろいろ見られます」

礼子「狐さんにこだわる必要はないので、自由な発想で作っていただいてもいいですね」

仁「もちろんだ」




挿絵(By みてみん)


仁「で、素材だ」

礼子「ダ◯ソーで買った石粉粘土ですね」

仁「この辺は、いろいろ種類があるけど、今回の作品くらいのものなら何でも大丈夫だと思う」もっと細かい造形をする際は素材を厳選する必要があるかも




挿絵(By みてみん)


仁「で、造形だ」

礼子「一気に飛びましたね……」

仁「こねている最中は手が粘土だらけでカメラを扱えなかったそうだ」

礼子「とりあえず、そこそこの塊を千切ってこね、少しずつ形を作っていきます」修正用にちょっとだけ残しておくのもいいと思います

仁「その際、少し水を加えて軟らかくすると造形しやすいかな」その代わり手にひっつきます

礼子「こねる際は、カッティングボードではなく、100均で売っているポリピロピレンの板(1ミリ厚)を使うと粘土がくっつきにくいです」くっついてもすぐ剥がせます

仁「耳は後付けで、より軟らかくこねた粘土をくっつける」その際、接着面に水を薄く塗るとくっつきやすいです

礼子「小判(?)も後付けですね」

仁「そうそう」こっちはちょっと手間が掛かります

礼子「袖も後付けでしたね」

仁「うん。平べったくした粘土をくっつけたからな」

礼子「凸凹していて大丈夫ですか?」

仁「乾いたら削るから大丈夫」凹んでしまったら、ほんの少し残しておいた紙粘土で埋める(パテでもいいです)手もあります




挿絵(By みてみん)


仁「まる3日放置して乾かしたら削る」芯まで乾くまで待ちましょう

礼子「いろいろ道具がありますね」

仁「粘土によって、削りやすいものと削りにくいものがあるんだよな」なのでどれがいいか模索します

礼子「カッターと棒ヤスリ、サンドペーパー……と?」

仁「オレンジの柄のものは『キサゲ』だな」彫金で表面を削る工具です

礼子「削ると粉が飛び散るので、マスクは必須です」




挿絵(By みてみん)


仁「前後するが、底面を平らにしておく」ベルトサンダーを使いました

礼子「サンドペーパーを平らな面に置いて、人形を動かしてもいいですね」

仁「そうだな」

礼子「これにより安定がよくなります」

仁「成形時に傾いてしまっていたらこの時に修正してバランスが取れるようにするといいな」

礼子「これも粉が舞いますね」マスクは必須です




挿絵(By みてみん)


仁「結局、機械が一番手っ取り早かったな」電動リューターを使いました

礼子「削りすぎないよう回転数は控えめですね」

仁「うん。多分100均で扱っている電池式のリューターでもいけるんじゃないかな」素材は削りやすいです

礼子「削り過ぎには注意ですね」




挿絵(By みてみん)


仁「ビフォーアフターだ」

礼子「なんということでsh」

仁「そういうのはいいから」

礼子「表面が滑らかになって、耳もシュッとしましたね」

仁「写っていないが、表面の仕上げはスポンジヤスリが使いやすかったようだ」




挿絵(By みてみん)


仁「で、いよいよ塗装だ」

礼子「まずは下塗りですね」

仁「今回は、プラモデル用塗料系でいくから白のサーフェーサーだな」

礼子「アクリル塗料でしたら『ジェッソ』というものを塗るといいようです」なくても大丈夫ですが

仁「水性絵の具での着色もできるんだが、紙粘土や石粉粘土は水性塗料で溶けるんだよな」

礼子「ああ、だからラッカー系の下塗りをしたんですね」

仁「そうそう。これで下塗りをしておけば、着色は水性でもいける」失敗したときはすぐに水拭きすれば落ちるし

礼子「最初は少ししみ込むので3回くらい吹きました」




挿絵(By みてみん)


仁「下塗り終わりだ」スポンジヤスリで軽く表面を均しておく

礼子「光沢仕上げをするつもりはないので研磨まではしないんですね」

仁「そうそう」つや消しもしくは半つや消しにしたい




挿絵(By みてみん)


仁「顔用のマスクというか型紙だな」

礼子「ああ、左右対称に描くためですね」

仁「うん。やり方はいろいろあるが、とにかく対称に近く描ければいい」

礼子「意外と気が付かないんですよね」

仁「それで、次の写真のような方法を取る」




挿絵(By みてみん)


仁「鉛筆で薄く下書きを描いたら、鏡に映して違和感がないかチェックするんだ」

礼子「イラストで人の顔を描く時にもやる方法ですね」

仁「うん。意外と歪んでいるんだよな……」

礼子「CGなら画面上で何度も左右反転して違和感がなくなるまで修正できるんですけどね」

仁「そうなんだが、今回は人形の下描きだからな」

礼子「そういう意味では、僅かなズレなら手描きの『味』ともいえますね」

仁「まあな……」




挿絵(By みてみん)


仁「ということで下描きができた」

礼子「小判に描いても仕方ない気が……」

仁「うん、金色に塗るからな……」




挿絵(By みてみん)


仁「では、色塗り準備だ」

礼子「溶剤系の塗料ですね」

仁「ラッカー系だな」

礼子「黒はサーフェーサーですか?」

仁「うん。マスキング能力が高いからな」

礼子「ああ、下の色が透けにくいんですね」

仁「小判に塗る時のことを考えてこうしたようだ」普通に黒のラッカー系でも大丈夫だと思います

礼子「白の塗装はしないんですね」

仁「サーフェーサーで十分白いしな」ただ、下塗り用なので塗膜の硬度が低いので注意です




挿絵(By みてみん)


仁「塗った」

礼子「全部筆塗りですね」

仁「一品生産だからな」フィギュアじゃないから




挿絵(By みてみん)


挿絵(By みてみん)


仁「着色の様子」青はウルトラマリンという色味の塗料です

礼子「確かに味がありますね」




挿絵(By みてみん)


仁「で、半つや消しのトップコートを吹いて乾燥させて完成だ」

礼子「最近は湿気が多くて大変でしたね」

仁「だなあ」溶剤系は気化熱で冷えて結露し、白く曇る『カブり』が起きることがあるので注意です




*   *   *


仁「今回は『狐人形』でした」

礼子「お疲れ様でした」

仁「今回も暑かったなあ」連日猛暑日で……

礼子「でしたね」

仁「皆様、刃物、工具などによる怪我にはご注意ください」

礼子「削った粉を吸い込まないようにも注意です」


仁・礼子「「それでは皆様、ごきげんよう」」

 ごらんいただきありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
今回も可愛く出来上がりましたね、神社で縁起物の置き物として売ってそうな出来栄えですよ。
[一言] >>石粉粘土 3Dプリンタだと色々・・・・ あ、でも場所が? >>溶剤系の塗料 最近は百均でアルコール系のマーカーも・・・
[良い点] なぜにキツネ? 作者が秋キツネだからか
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