041-3 CTX−5 その3(完成)
仁「こんにちは、魔法工学師の二堂仁です」
礼子「お父さまに作っていただいた自動人形でアシスタントの礼子です」
仁「作者が実際に作ったあれやこれやを、俺の解説で紹介するっていう企画の第41弾その3です」
礼子「結局ボディを作ったんですね」
仁「前回の続きというわけだ」
礼子「前回はボディは作らないと……」
仁「やっぱりボディがあると違うからな」
仁「ということで、ボディを作るために寸法を決める」
礼子「実測ですね」
仁「シャーシの長さは190ミリ」ボディの内寸がこれになるようにするわけです
礼子「側板の高さも測らないといけませんね」
仁「ボディの高さを決める参考値だからな」
仁「で、ボディ幅は95ミリ」
礼子「これで大体わかりますね」
仁「まずは型紙を作る」
礼子「展開図を描かないんですか?」
仁「意外と斜めの線が多くて、図面は難しそうなんだ」だから現物合わせで作ろうかと
礼子「ボール紙……ですか?」
仁「ティッシュの空き箱があったんで使おうかと」
礼子「手元にボール紙がなかったんですね……」
仁「言うな」この後買いに行ってくるから
仁「で、まずはぐるっと囲むように作ってみる」
礼子「ペーパークラフトの初心者向け、が参考になると思います」
仁「試作なので、接合は100均のマスキングテープで貼れば十分だ」
仁「ボディのリア側だ」こういう斜め接合があると丈夫になります
礼子「ボディのデザインについては正解はありませんので、お好きなデザインにしてみてくださいね」
仁「フロント側だな」2段階折り曲げてます
礼子「角度が決まらなくて、1度作り直してましたね、作者さん」
仁「そういう試行錯誤をするための試作だしな」
仁「ボンネットも貼った」
礼子「各辺の寸法が書き込んでありますね」
仁「本番の時にわかりやすいからな」
仁「試作完成だ」
礼子「車に見えますね。でもちょっとなんというか……」
仁「フロントガラスが平面だとか、角が立っているとかいろいろ不満はあるけれど、走らせてぶつけることもあるボディだからあんまり凝りたくないんだよな」飾るモデルではないので
仁「裏側はこうだ」
礼子「なんというかチープですね」
仁「空き箱の再利用だからな……」
仁「で、要所要所のマスキングテープを切り離して展開だ」
礼子「型紙っぽいです」
仁「これをちゃんとしたボール紙に書き写せばいい」
仁「ちゃんと書き写したのがこれだ」
礼子「今度はかなり繋がってますね」
仁「その方が丈夫だしな」あと、紙の目も考慮しています
仁「で、切り離した試作ボディと、本番用ボディとの比較だな」
礼子「重ねてみれば、寸法ミスがないかどうかすぐわかりますね」
仁「そうそう」
仁「で、組み立てる前に追加工だ」
礼子「ああ、タイヤハウス部分ですね」
仁「試作では省略したが、本番はさけて通れない」
仁「コンパスも使って、きちんと描いたら慎重に切り取る」
礼子「作者さんはデザイン系のナイフではなく普通のカッターでやってましたね」
仁「そのへんは慣れた道具を使えばいいだろう」曲線切りのカッターとかハサミとか
仁「で、上板や側板にほんの少し切込みを入れて曲げていく」
礼子「くれぐれも切り離さないようご注意ください」あと、刃物でお怪我をなさらないようご注意を
仁「組み立てだ」
礼子「これもマスキングテープですか?」
仁「ああ。詳しくはこの先で説明する」
仁「スイッチ穴を空けておくのを忘れた」
礼子「あるあるですね」
仁「ちょっとやりづらかったけど無事空いたようだ」
仁「裏側はこうなっている」
礼子「こっち側はテープ止めしないんですね」
仁「その理由はいよいよ次でな」
仁「裏側から、裏打ちと言うか補強をするんだ」
礼子「ああ、だからテープで仮止めしなかったんですね」
仁「うん。2液型のエポキシに、マイクロバル◯ンとかグラスバブ◯スなんて呼ばれている微粒子を体積比で3分の1から半分くらい混ぜる」
礼子「混ぜるのにはなにか理由が?」
仁「角部の補強とともに、研削して丸みを付けたいからな」研削性をよくするためです
礼子「あと、エポキシ接着剤は30分型くらいが使いやすいと思います」
仁「だな。作者は5分型を使ったんで、作っては塗り作っては塗りだったようだ」いっぺんに作ると使い切る前に固まるので
仁「エポキシ塗布に先立って、ラッカーシンナーを筆で塗っておく」臭いので換気にはご注意ください
礼子「どういう意味が?」
仁「エポキシが紙によく喰い付くようにだな」比較したことはないので気休めくらいですが
礼子「なるほど」
仁「で、シンナーが乾かないうちに裏打ちだ」
礼子「少し盛り上げるようにするんですね」
仁「補強を兼ねているからな」
仁「で、エポキシが硬化したら、いつものウレタン塗料を塗る」
礼子「これがあるからエポキシなんですね」
仁「うん。普通のパテだと溶けてしまうおそれがあったからな」
礼子「ウレタン塗料を塗ることでボール紙がちょっとだけFRPっぽくなります」
仁「FRP用の低粘度エポキシ樹脂も手に入るが、どっちがいいかは比較していないのでわからないな」機会があったらそっちも使ってみます
礼子「ウレタン塗料も臭うので換気にはご注意くださいね」
仁「で、まる1日以上おいてウレタン塗料が乾いたらサンディングだ」
礼子「角も丸めるんですね」
仁「うん。裏打ちしてあるからボール紙が削れてなくなっても大丈夫だ」
礼子「粉を吸い込まないようマスクは必須です」
仁「で、下塗りだ」
礼子「黒のサーフェイサーですね」
仁「今回は『キャンディ塗装』をしてみようと思ってな」
礼子「キャンディ塗装って何ですか?」
仁「キャンディ……『アメ玉』みたいに透明感のあるカラー塗装といえばいいのかな」
礼子「ああ、最近の自動車でもたまに見かけますね」
仁「カラーのメタリックよりもさらに深みがあるというかな」ガン◯ラなんかでもやってる人がいます
礼子「詳しくは検索してみてくださいね」
仁「で、そのためにはまずメタリックシルバーで塗るんだ」
礼子「だから下地が黒なんですね」メタリックには黒下地が有効ですから
仁「そうそう。……今回、写真に取りそこなっているけど、黒サフを吹いたらさっとサンディングして、シルバーメタリック塗料を吹いている」ダ◯ソーのスプレーを使った
礼子「その上から青を吹くんですね?」
仁「そうだ。ただの青じゃなく、『キャンディ塗装用』の青、つまり『クリヤー』ブルーだな」
礼子「隠蔽力の強い塗装では下地にメタリックを使った意味がないですものね」
仁「そういうことだな。……で、3回ほどクリヤーブルー(今回はタ◯ヤのクリヤーブルー)を吹いた」
礼子「その後、トップコートを3回でしたね」光沢を
仁「うん。それで完成だ」
仁「で、このままではのっぺらぼうなのでいろいろと手を加える」
礼子「一番は窓ですね」
仁「うん。今回はデカールではなくシールを作ってみることにした」
礼子「まずは型紙ですね」
仁「これもボール紙だな」
礼子「今度は寸法がわかっているから楽ですね」
仁「まずは、左右の窓」
礼子「黒いガムテープの上に透明テープ、そして細く切ったアルミテープで窓枠ですね」
仁「うん。窓は黒くしておくのが無難だな」だから黒いテープを使います
礼子「ガムテープはちょっと粘着が強すぎましたね」
仁「うん……一旦カッティングマットに貼り付け、透明テープとアルミテープを貼ってから切り抜いたんだが」
礼子「剥がすのに苦労しましたもんね」
仁「だなあ」
礼子「同様にしてフロントとリアの窓ガラスも作って貼ります」写真が多くなりすぎるので省略しました
仁「で、フロントだ」
礼子「ヘッドライトはアルミテープに透明テープを貼って切り抜きですね」
仁「ウインカーは、アルミテープ+透明テープの上から、オレンジ色のマジックを塗って、もう一度透明テープを貼って作った」
礼子「多少それっぽくなりますね」
仁「凝りすぎてもな……」飾るモデルではないので
仁「テールランプだ」
礼子「赤とオレンジのマジックで塗り分けですね」
仁「あとは同じ構造だ」
仁「さて、ボディをシャーシに取り付けるわけだが」
礼子「そのために真鍮パイプを取り付けてましたね」
仁「うん。ボディの該当部に穴を空け、虫ピンで固定するわけだが」
礼子「きっちり穴を空ける必要がありますね」
仁「そういうことだ。……で、マスキングテープをシャーシ側に貼って、透けて見える穴に針を刺す」
礼子「そのマスキングテープをボディに貼って穴を空けるんですね」
仁「そうそう」
仁「で、虫ピンで止めるわけだ」
礼子「ゆるくないですか?」
仁「その場合は虫ピンをペンチで少し曲げるんだよ」
礼子「ああ、なるほど」
仁「これはその昔流行っていた『スロットレーシングカー』のボディをシャーシに止めるやり方なんだそうだ」
仁「で、ついに完成だ」
礼子「それらしくなりましたね」
仁「やっぱりボディがあるといいよな」
礼子「ナンバーの4というのは?」
仁「送信機の番号だ。プロポの周波数で、じゃなく、送信機と受信機のペアを示す番号だな」作者は1、2、4、5と振ってます
礼子「1、2がスティックタイプ、4、5はホイールタイプの送信機ですね」
仁「そうそう」
* * *
仁「3回にわたった『CTX−5』もこれで終わり」
礼子「お疲れ様でした」
仁「本当に、暑かったなあ」作っている最中
礼子「…………」
仁「ええと、皆様、刃物、工具などによる怪我にはご注意ください」
仁・礼子「「それでは皆様、ごきげんよう」」
ごらんいただきありがとうございました。
20240801 修正
(誤)仁「ああ。詳しくはこの先でで説明する」
(正)仁「ああ。詳しくはこの先で説明する」
(誤)礼子「詳しくは検索してみたくださいね」
(正)礼子「詳しくは検索してみてくださいね」




