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蓬莱島の工作箱  作者: 秋ぎつね
49/73

035 歯ブラシ立て

仁「こんにちは、魔法工学師マギクラフト・マイスターの二堂仁です」

礼子「お父さまに作っていただいた自動人形(オートマタ)でアシスタントの礼子です」


仁「作者が実際に作ったあれやこれやを、俺の解説で紹介するっていう企画の第35弾です」

礼子「歯ブラシ立て……って売ってますよね?」100均でも

仁「売ってる。でも今ひとつ気に入らないんだよなあ」

礼子「なぜですか?」

仁「掃除しづらいんだ。特に歯ブラシの柄を受けている部分が汚れる」夏場はカビも生える

礼子「なるほど……」カビは嫌ですね

仁「で、作ってみようという気になったそうだ」

礼子「明らかに買った方が安いですよね?」工具も買い足したそうですが

仁「まあそれは言わぬが花だな」




挿絵(By みてみん)


仁「まずは図面だ」

礼子「無難ですね」

仁「こういうものはあまり奇抜な形にすると使いにくくなるからな」

礼子「パイプ部分に歯ブラシを差し込んで立てるんですね」

仁「そうなる。ここが工夫したところだな」単に板に穴だと歯ブラシが傾きすぎるから




挿絵(By みてみん)


仁「素材だ」

礼子「アクリル板ですね」

仁「うん、3ミリと5ミリ、透明なやつ」ネットで買えます




挿絵(By みてみん)


仁「図面どおりにカット用の線を引いたら、切り出していく」

礼子「アクリル板の両面には紙が貼ってありますからそうした書き込みはしやすいですね」

仁「そうだな」なので加工が終わるまで剥がさないでください

礼子「作者さんは丸鋸盤……テーブルソーで切っていますね」

仁「もちろんアクリルカッターでも切れるけどな」




挿絵(By みてみん)


仁「で、切った端面を真っ直ぐにするためにサンディングだ」もちろん手で削っても結構です

礼子「その場合は、平らな台の上にサンドペーパーを敷いて、部材の方を動かすといいでしょう」

仁「同じ大きさにしたい部品はテープで仮止めして2枚一緒に削るといい」




挿絵(By みてみん)


仁「で、部品その1が揃ったわけだ」

礼子「上下の長方形の部材は同じ幅になるよう仕上げるのがコツですね」

仁「そうそう。あと、端面が直角になるように、だな」




挿絵(By みてみん)


仁「で、いよいよ丸い穴をあけるわけだが」これがまた面倒くさいんだ

礼子「はめ込むのが外形21ミリのアクリルパイプですよね」

仁「そう。なので21ミリの穴をあけるんだが、そんな太さのドリルはなかなか手に入らない」木工用ならあるんだがプラスチック用はなかなかない

礼子「18ミリくらいまではあるんですけどね」樹脂用 ドリル で検索するといろいろ出てきます

仁「そうなんだよな。なので『ホールソー』を使うことにした」

礼子「写真に写ってる赤い工具ですね」

仁「これをボール盤に付けて加工するんだが、プラスチックに使うと摩擦熱で溶けるんだよな」

礼子「で、ホールソーの中にはまり込んでくっついて取れなくなるんですよね」

仁「うん。細いマイナスドライバーを使ってこじったんだよな……」それを4回

礼子「苦労しましたね」

仁「もう作りたくないな」




挿絵(By みてみん)


仁「で、パイプを切る」

礼子「作者さんはバンドソーで切りましたね」

仁「できるだけ直角に切りたいからな」糸ノコや金ノコでも切れます




挿絵(By みてみん)


仁「で、パイプの端面もサンディングする」

礼子「治具を使っていますね」

仁「うん。12ミリ厚のMDFの切端に木工用ドリルで21ミリの穴をあけてそこに差し込んだ」それをベルトサンダーで削ることで直角を出す

礼子「なるほど」

仁「あけた穴の周りは軽くサンディングしてバリを取る」時々パイプを差し込んでみて、硬すぎす緩すぎずに仕上げます




挿絵(By みてみん)


仁「穴に差し込んでみた」

礼子「いい感じですね」




挿絵(By みてみん)


仁「部材の加工ミスがなければ接着だ」

礼子「接着剤は液体系ですね」

仁「うん。アクリル用の専用接着剤を使う」

礼子「液体なので筆で塗るのはわかるんですが、注射器というかスポイトみたいなものも使うんですか?」

仁「そうだな。輪ゴムやテープで仮止めして、隙間に流し込むんだ」毛細管現象でツーっと伝わって、一瞬で隙間に行き渡るのは見ていて面白いです

礼子「こぼさないように注意ですね」

仁「うん。手で持った時、体温でスポイト内が温まって接着剤が飛び出すことがあるんだよな」アクリルに掛かるとせっかくの平面が凸凹になるので要注意です

礼子「そういう点では筆がいいかもしれませんね」

仁「そうだな。筆はもう1つ使い道があるんだ」

礼子「それは?」

仁「切断面が、どうしてもざらついて透明度が低い時、筆でさっと塗ると表面が僅かに溶けてきれいになる」これは3Dプリンターで整形したものに使う技法だな

礼子「なるほど」塗りすぎには注意です




挿絵(By みてみん)


仁「で、完成だ」

礼子「いいですね」商業製品と遜色ない感じ

仁「直角をきちんと出して接着するのがコツかな」




挿絵(By みてみん)



仁「で、使ってみた」

礼子「なかなかいい雰囲気ですが3本も歯ブラシが?」

仁「左が『やわらかめ』で、普通に歯を磨く。緑の柄が『とくにやわらかめ』で、歯茎マッサージ用だな。黄色いのがタフトブラシで『歯と歯の間』や『歯と歯肉の境目』用だ」

礼子「作者さん、大変そうですね」

仁「歯は大事にしないとな」




*   *   *


仁「というわけで、今回は『歯ブラシ立て』でした」

礼子「加工の際はくれぐれも怪我にはご注意くださいね」

仁「削り屑の吸い込みにも注意です」

礼子「接着剤は有機溶剤ですのでこちらも吸い込んだりしないようしてくださいね」それから火気厳禁です


仁・礼子「「それでは皆様、ごきげんよう」」

 ごらんいただきありがとうございました。


 20231130 修正

(誤)俺の解説で紹介するっていう企画の第34弾です」

(正)俺の解説で紹介するっていう企画の第35弾です」

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― 新着の感想 ―
[良い点] 試験管たてにしか見えない あいたところに一輪挿しおきたい
[一言] 好い感じに仕上がりましたね、私も欲しくなりましたよ。 惜しむらくは我が家の洗面台には置くスペースが無くて、洗面台付属の歯ブラシ立てを使わざるおえない事ですね。 市販の洗面台は小さな扉の裏…
[一言] 「芸能人は歯が命」なんてCMが昔在りましたね。(歯磨き粉のCMでしたが)
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