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蓬莱島の工作箱  作者: 秋ぎつね
48/73

034 茶托コースター

仁「こんにちは、魔法工学師マギクラフト・マイスターの二堂仁です」

礼子「お父さまに作っていただいた自動人形(オートマタ)でアシスタントの礼子です」


仁「作者が実際に作ったあれやこれやを、俺の解説で紹介するっていう企画の第34弾です」

礼子「茶托コースター……って何ですか?」

仁「茶托にもコースターにも使えるデザイン、のつもりだそうだ」

礼子「なるほど」




挿絵(By みてみん)


仁「まずはイメージスケッチだ」

礼子「八角形ですか」

仁「うん。丸くするには木工旋盤を使う必要があるし、技術も必要だからな」それに材料もそれなりの厚みが必要だし

礼子「イメージする時点で材料や加工法も考えに入れているんですね」

仁「個人で作る利点だな」

礼子「真ん中を凹ませるんですね」両面とも

仁「表面は平らに凹ませる。湯呑やコップを置いても安定するからな」

礼子「裏面は丸みを持たせて凹ませるんですね」

仁「平らでもいいが、お膳やテーブルに何か粒状のものがあると不安定になるからな」

礼子「何か粒状のものって何ですか?」

仁「だから何か、だ」煎餅のクズとかゴマ粒とか?




挿絵(By みてみん)


仁「素材だ」

礼子「いつものMDF(ミディアム デンシティ ファイバーボード)ですね」

仁「うん。ダ○ソーで100ミリ角のものが6枚パックされている」

礼子「イメージスケッチの段階でこれを使うつもりだったんですね」




挿絵(By みてみん)


仁「で、けがきだ」

礼子「対角線は何のためですか?」

仁「中心を出すためだな」コンパスの針を刺す中心を出した

礼子「なるほど」

仁「あと、この板を取り付けるための穴をあける位置を決めるためだな」

礼子「四隅にある、コンパスの線と対角線がクロスした部分に穴をあけるんですね」




挿絵(By みてみん)


仁「で、なんやかんやで『簡易木工旋盤』だ」

礼子「どうしてこんな物を持ってるんですか」作者さんは

仁「昔ハ○ズでデモンストレーションしているのを見て欲しくなったらしい」

礼子「構造としては電動ドリルを取り付けられるベースと、チャック代わりの円板、バイト(のみ)受けですね」

仁「そうだな。鉄の丸棒とアルミ合金製の留め具でできている」ちなみにこの構成のままじゃお椀とかお皿とか、回転体の器は作れないんだ

礼子「だから八角形なんですね」

仁「うん。残念だけどな」




挿絵(By みてみん)


仁「取り付けた」

礼子「3ミリのネジで板を回転する円板に止めていますね」

仁「止めるための治具は自作だな」円板に固定してネジ止めするための板だ

礼子「円板からはみ出ている正方形の板ですね」

仁「そうそう」




挿絵(By みてみん)


仁「で、回転させて、削る」

礼子「危なそうですね」

仁「実際危ないな。まず、ワーク(削られる物)の固定が甘いとたまに吹っ飛ぶことがある……らしい」

礼子「高速で回転しているから怖いですね」

仁「それから、ノミ(刃物)が引っかかるとガクンとするから、削るのは少しずつだな」急いでたくさん削ろうとすると危ない

礼子「みなさんも木工旋盤をお使いになる時は気を付けてくださいね」




挿絵(By みてみん)


仁「で、削った面をサンディングだ」

礼子「回転させておいて削ると楽ですね」

仁「うん。ただ、削り屑の粉が舞うからマスクは必須だな」




挿絵(By みてみん)


仁「で、裏も削る」こっちは凹ます感じ

礼子「イメージスケッチどおりですね」




挿絵(By みてみん)


仁「で、これが表と裏だ」二客一組

礼子「客?」

仁「ああ、日本語の助数詞だな。『客』というのは客用の道具、器。ティーカップなど……と辞書にある」カップなどは五客一組、というものもある

礼子「わかりました」ニホンゴムツカシイデス




挿絵(By みてみん)


仁「で、八角形にするため、型紙を作ってけがく」方眼のボール紙を使うと便利だ

礼子「なるほど」



挿絵(By みてみん)


仁「で、マイタソーを使って45度にカットする」

礼子「マイタソーは重宝してますね」出番が多いです




挿絵(By みてみん)


仁「で、裏側は面取りする」

礼子「木工用のカンナですね」

仁「MDFは木と紙の中間的な素材だからな」さくさく削れる

礼子「削ったら仕上げのサンディングですね」

仁「そうそう」




挿絵(By みてみん)


仁「で、木地が完成した」

礼子「このままだと水やらお湯やらお茶やら吸い込みますよね」

仁「うん。だから塗料を塗るぞ」




挿絵(By みてみん)


仁「まずは下塗りだ」柿渋だな

礼子「水性塗料の一種ですね」

仁「そうだな。柿渋は乾くと耐水性になるから、古来渋紙とか雨合羽にも使われてきたんだ」松煙(松の木を燃やして出たすす)を混ぜて黒い塗料にしたりな

礼子「ああ、古い町並みの黒板塀がそれですね」

仁「粋な黒塀、ってやつな」お富さん




挿絵(By みてみん)


仁「で、黒塗りだ」いろいろ途中を飛ばしましたが

礼子「黒のサーフェーサーを噴き付けて乾かしサンディング、を3回、その上から黒いタミ○カラーを2回ですね」

仁「さらに透明なトップコート(溶剤系)を2回」

礼子「結構手間が掛かりますね」

仁「使っていて剥げるといやだからな」




挿絵(By みてみん)


仁「で、黒だけだと寂しいのでワンポイント加飾する」2箇所だからツーポイント?

礼子「シールですね」

仁「うん。手描きよりきれいだしな」

礼子「黒い台紙の方はダ○ソーで見つけたレジン用のシールですね」

仁「紅葉の方は『和風シール』としてハ○ズで買ったものだな」

礼子「ネイル用のシールでもいいのがあるかもしれません」

仁「で、シール保護も兼ねて、『半光沢』のトップコートを2回吹く」

礼子「作者さん愛用の半光沢ですね」半つや消しでいい質感に




挿絵(By みてみん)


仁「で、完成だ」

礼子「なかなかいい雰囲気ですね」

仁「茶托としてもコースターとしても使えそうだな」そのつもりで作ったんだけどさ




*   *   *


仁「というわけで、今回は『茶托コースター』でした」

礼子「加工の際はくれぐれも怪我にはご注意くださいね」

仁「削り屑の吸い込みにも注意です」


仁・礼子「「それでは皆様、ごきげんよう」」

 ごらんいただきありがとうございました。


 20231031 修正

(誤)

礼子「ネイル用のシールでもいいのがあるかもしれません」

(正)

礼子「ネイル用のシールでもいいのがあるかもしれません」

仁「で、シール保護も兼ねて、『半光沢』のトップコートを2回吹く」

礼子「作者さん愛用の半光沢ですね」半つや消しでいい質感に


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― 新着の感想 ―
綺麗な茶托ですね~ 市販の丸型茶托よりも高級にみえますよ、この出来栄えなら高値で売れそうです。
[一言] そういえば寒くなってくる季節ですが裁縫系はされますか?羊毛から糸を紡いでセーターとかなら大した技術が無くても行けますよ。自転車の車輪や扇風機を使えば糸から紡げます、染料に使えそうな野花が多…
[気になる点] なかなか良い感じの茶托ですね、このデザインなら洋風のグラスを置いても似合いそうですよ。 丸型は面白みが無いけど、八角形はオシャレですね。
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