033-3 BTXー003 その3
仁「こんにちは、魔法工学師の二堂仁です」
礼子「お父さまに作っていただいた自動人形でアシスタントの礼子です」
仁「作者が実際に作ったあれやこれやを、俺の解説で紹介するっていう企画の第33弾その3です」
礼子「今回で完成ですね」
仁「夏が終わる前に終わらせたかったんだ」
礼子「今年の夏は暑くて秋もまだ暑いからセーフですか?」
仁「そう願うよ」
仁「では前回からの続き、塗装からだ」
礼子「まずは下塗りですね」
仁「うん。今回はラッカーでやってみた」ラッカーシンナーで薄めて吸い込ませ気味に固める
礼子「ラッカーが染み込むことでバルサも丈夫になりますね」
仁「うん」
仁「ラッカーが乾いたらサンディングだ」まる1日以上乾かしましょう
礼子「ラッカーシンナーは臭いし有害ですので換気にはご注意ください」
仁「その上に白いサーフェーサーをスプレーします」
礼子「傷とか木目とかがわかりやすくなりますね」
仁「それが目的だからな」上塗りの色によっては黒サフ、グレーサフもアリです
仁「これが白サフの効果だ」
礼子「隙間や段差や木目がはっきり見えますね」
仁「うん。修正すべき点だな」
仁「ということでパテで埋める」
礼子「プラモデル用のパテですね」
仁「今回使ったのはそうだな」エポキシパテでも大丈夫です
礼子「有機溶剤を含んでいるパテは乾燥すると少し縮みますので多めに、盛り上げるように埋めるのがコツですね」
仁「そうそう」
仁「パテが乾いたらサンディングだ」今回は#240の空研ぎペーパーです
礼子「白サフが削れてバルサが見えてますが」
仁「そのくらいやらないとツルツルにならない」もう一度白サフを吹くので問題ないのです
仁「で、白サーフェーサー2度目のスプレーだ」
礼子「ほぼよさそうですね」
仁「うん。ここで気に入らない部分があったら、サンディングするなりパテ埋めするなりして再度修正だな」
礼子「下地にいかに手間を掛けるかが仕上がりの美しさを決めるわけですね」ここで手抜きするとあとで後悔します
仁「そういうことだな」
仁「で、今度は甲板だ」
礼子「スチレンですか?」
仁「うん。軽いから使ってみることにした」正式には発泡スチレンになるのかな?
礼子「ポリスチレンを低発泡した素材ですね」スチレンパーパーと言われているようです
仁「今回は2ミリ、3ミリ、10ミリを使ったな」100均でも手に入りますが模型用の方が質は上です
礼子「スチレンペーパーの両面に紙を貼ったものはスチレンボードと言いますのでお間違えなきよう」オールスチレンのものを使います
仁「まずは大雑把に切る」
礼子「カッターで簡単に切れますね」怪我にはご注意ください
仁「うん。やや大きめに切っておいて、後で調整する」簡単に切れるのでできるやり方です
仁「ところで、電池の交換のためのギミックはこんな感じにする」
礼子「スライド式ですね」
仁「これなら水の侵入も短時間なら防げるだろう」
礼子「薄いスチレンペーパーを張り合わせればいいわけですね」
仁「そうそう」
仁「で、こうなった」
礼子「ちょっと過程が飛びましたね」
仁「カッターでスチレンペーパーを切るところは写せなかった」
礼子「接着剤はなんですか?」
仁「ああ、それがあったな。プラモデル用のものは駄目だ」スチレンが溶けます
礼子「作者さんやらかしましたもんね」最初から作り直しに
仁「言ってやるな」
礼子「こほん。……発泡スチロール用、というのがよさそうですね」
仁「あとは2液型のエポキシだな」
礼子「垂直尾翼っぽいものがありますね」
仁「強度アップと、横からの水を防ぐためだな」もうちょっと長くすればよかったけど
仁「で、この後塗装するため、スライド蓋の摺動部には厳重にマスキングする」
礼子「塗料が付いたら微妙なスライド感が駄目になりますものね」
仁「そういうことだな」
仁「で、グレーのサーフェーサーを吹いてみた」その後サンディング
礼子「白じゃないのはなぜですか?」
仁「スチレンペーパーが白いから、微妙な凹凸が見づらそうだったからだ」
礼子「黒じゃだめですか?」
仁「普通のカラー塗装の場合、発色が悪くなるな。以前やったマイカ系顔料ならいいんだが」だから最後はまた白サフを吹く
礼子「わかりました」
仁「ということで全面グレーサフだ」
礼子「プラモデル用の接着剤はスチレンペーパーを溶かしましたが、サーフェーサーは大丈夫なんですか?」
仁「大丈夫だぞ」溶剤の違いなんだろうな
礼子「ちょっと意外です」
仁「俺もそう思った」当然発泡スチロールにもOKです
仁「で、塗装の準備だ」また左右を赤と青で色違いにするらしい
礼子「なのでマスキングですね」
仁「手前のがカラーサンプル(自作)で、左が黒サフの上から、右が白の上に同じメタリックブルーを吹いたものだそうだ」小さくて見づらいでしょうけど
礼子「カラーサンプルは重宝しますね」
仁「うん。ほんのちょっとの手間でできるし、1度作ればずっと使えるしな」おすすめです
仁「で、塗装するとこうなる」ちなみにBTX−2とは赤と青が左右反対になってます
礼子「機械だーと◎1も逆でしたもんね」
仁「まっそういうことだな」
仁「で、書き文字は難しいのでデカールを作る」
礼子「インクジェットプリンター用ですか」
仁「カラーレーザーが故障したらしい」
礼子「あらら」
仁「最近は需要の関係か、レーザープリンターが高価になったしな」作者が買った頃は1万弱で買えたのに
礼子「あ、白地タイプでないと、色塗りの上に貼ると下の色が透けるので注意です」
仁「で、作ってみた」A4は大きすぎるので4つに切ってA6で(プリンタには、はがきサイズとして設定できます)
礼子「左右反転するんですね」
仁「そう。左がプリントしたもので、右が下地用の白いシートを貼った状態だ」こっちが糊面ということになる
仁「で、こんな感じに貼ってみた」
礼子「そういえば、『HYDROー15』というのは?」
仁「作者が中学生の頃から作っているスピードボートのシリーズ名だな」
礼子「BTXー2が『HYDROー14』なんですか?」
仁「残念ながら向こうは左右の安定性が悪くてお蔵入りになったらしい」だからスピードボートのシリーズナンバーはなしだ
礼子「残念ですね」
仁「まったくだ」
礼子「あ、仕上げにクリアーの保護スプレーを吹いてます」デカール保護のため必須です
仁「さて、塗装が終わったなら最終的な艤装をするわけだ」
礼子「まずは舵ですね」
仁「作ってあったラダー受けをねじ止めする」
礼子「水漏れ対策は?」
仁「基本的に吃水の上になるはずだから特になし」接着すると取り外ししにくくなるからな
礼子「塗装しないのも同じ理由ですか?」
仁「それもあるが、金属に塗装するにはプライマーを塗らないと剥がれやすくなるからな」今回は省略したというわけだ
礼子「ところで、バルサとナットの間にはちゃんとワッシャが入っています」ないとバルサが潰れます
仁「で、サーボとリンクするよう調整したわけだ」
礼子「リンクロッドはピアノ線ですね」
仁「いや、ステンレスのバネ線だ」錆びにくいように
礼子「こだわってますね……」
仁「サーボ受けの方は長穴なので調整が効くな」
仁「スクリューを接着する」
礼子「エポキシですか?」白いですが
仁「白くするためグラスバブ○ズもしくはマイク◎バルーンと呼ばれる白い粉をエポキシに混ぜた」商標っぽいので一部伏せましたがそれぞれルとロです
仁「で、モーターも取り付ける」
礼子「シリコーンゴムのジョイントですね」
仁「できるだけスクリュー軸とモーター軸が一直線になるように調整する」
仁「で、レイアウト……というか、他のデバイスも取り付けてみる」
礼子「一気にごちゃごちゃしましたね」
仁「うん……で、スポンジ両面テープで取り付けるんだ」衝撃を多少緩和してくれることを期待して
仁「で、固定した」
礼子「左右の壁にですね」
仁「この辺はお好みだな」
仁「で、スイッチの固定だ」切込みを入れて固定する
礼子「外に出さないんですね?」
仁「スライド蓋の中に入れておいて、スイッチを入れたら閉める。切るときも蓋を開けて切る」水対策だな
礼子「BTXー2で使ったESCはスイッチまで防水仕様でしたけどこちらはそうではないですものね」
仁「そういうことだな」作者も苦心したところだ
仁「で、スイッチをねじ止めして、ちょっとした追加装備だな」
礼子「モーターカバーですか?」
仁「ちょっと違う。シリコーンゴムのジョイントに電線類が触らないようにボール紙でアーチ状のカバーを付けたんだ」
礼子「あ、なるほど」
仁「で、甲板の固定には両面テープを使う」
礼子「接着とかネジ止めとかじゃないんですね」
仁「接着だと万が一中身を弄りたい時に悲惨だし、ネジ止めは甲板がスチレンだからちょっと無理だな」
礼子「なるほど、それで両面テープですか」
仁「一応単4充電池6本も入れてセットしてみた」
仁「で、全備重量だ」
礼子「195.5グラム……重いんですか軽いんですか?」
仁「ちょっと重いな」いろいろ凝った分重量が増加したかも
仁「スイッチとリアハッチの様子だ」
礼子「ちゃんと収まってますね」
仁「完成だ」
礼子「旗は何ですか?」
仁「受信機のアンテナをそのまま生やすのは芸がないと、取り付けてみた」
礼子「ちょっと不自然です」木に竹を継いだよう、という表現がぴったりです
仁「急に文学的なことを言うな」
礼子「あと、操縦席? ですか、メタリックなテープが貼ってありますが」
仁「うん……ガラスの雰囲気は出なかったな」
仁「最後に、走行の様子だ」ファイルサイズが最大3MByteなのでGIFとしては小さいです
礼子「かろうじてわかりますね」
仁「うん。舵の効きは良好だし、動作に問題はない。ただ……」
礼子「ただ?」
仁「モーターが小さいため、速度が出ない」狭い場所で走らせるには十分だが、広い場所だと物足りないだろうな
礼子「そこはモーターを換装すれば」
仁「それなら行けるだろう」
礼子「そういったことも含めての実験船、BT『X』ですね」
仁「そういうことだな」
* * *
仁「というわけで、今回は『BTXー003』その3でした」
礼子「加工の際はくれぐれも怪我にはご注意くださいね」
仁「水辺ですので転落や水難にはくれぐれもご注意ください」作者が走らせていたのは水深30センチくらいの池です
仁・礼子「「それでは皆様、ごきげんよう」」
ごらんいただきありがとうございました。
20231002 修正
(誤)礼子「今年に夏は暑くて秋もまだ暑いからセーフですか?」
(正)礼子「今年の夏は暑くて秋もまだ暑いからセーフですか?」
20240701 修正
(誤)ファイルサイズが最大3GなのでGIFとしては小さいです
(正)ファイルサイズが最大3MByteなのでGIFとしては小さいです




