033-2 BTXー003 その2
仁「こんにちは、魔法工学師の二堂仁です」
礼子「お父さまに作っていただいた自動人形でアシスタントの礼子です」
仁「作者が実際に作ったあれやこれやを、俺の解説で紹介するっていう企画の第33弾その2です」
礼子「今回は前回の続きですね」
仁「そう。……で、まだ完成まで持っていけなかった」
礼子「次回、完成ですね」
仁「その予定だ」
仁「まずはモーターを取り付けるためのモーターマウントだ」
礼子「図面ですね」
仁「0.8から1ミリ厚のアルミで作る」純アルミでも5052でもOKです
礼子「小さいですからね」大きな力は掛からないと思います
仁「で、これがモーターと素材だな」
礼子「キャラメルモーター、でしたっけ」
仁「そうそう」四角いからな
仁「で、けがく」超硬チップの付いたけがき針です
礼子「アルミ板が動かないよう、マスキングテープで止めているんですね」
仁「そうそう」こうするとより安心してけがけます
仁「で、切り出して穴を空け、折り曲げてモーターを取り付けた」すみません、途中過程は写真に撮り忘れてました(作者が)
礼子「きっちり嵌ってますね」
仁「で、モーターにノイズキラーコンデンサをはんだ付けする」0.1マイクロファラドの積層セラミックコンデンサです
礼子「ブラシモーターは動作時に電波ノイズを発生させるからですね」受信機が誤動作しないように
仁「そうそう。プラス極とマイナス極間に1つ、プラス極とモーターケースに1つ、マイナス極とモーターケースに1つ」計3つです
礼子「同時に、モーターにリード線とコネクタもはんだ付けしています」コネクタはミニコネクタ系です
仁「コネクタはESCと合わせてください」
仁「続いて船体のブラッシュアップだ」
礼子「船首をどうにかするんですね?」
仁「うん。今のままだと平らすぎるから、丸みをつけようと思う」
礼子「素材は20ミリ厚のバルサです」
仁「加工の様子だ」左上から右下へ見ていってください
礼子「また左右に分けてますね」
仁「バルサは80ミリ幅で、船は90ミリ幅ということもあるが、こうすると中心線がわかりやすいからな」左右対称に作る一助になる
礼子「削って削って……大変そうですね」
仁「かなり削り屑がでたなあ」サンドペーパーを掛ける時はマスク必須です
礼子「肉抜きもしてますね」
仁「バルサとはいえ重量が増えるからな」
礼子「最終的にはエポキシ系接着剤で接着ですね」
仁「硬化するまでマスキングテープ留めだな」
仁「で、硬化したら全体にサンドペーパーを掛けて滑らかにする」
礼子「粉を吸いこまないよう注意です」
仁「で、スクリュー軸だ」
礼子「内径4ミリのアルミパイプに2ミリ穴、4ミリ外形フランジ付きの潤滑軸受をはめ込んでますね」中にはグリースを詰めて
仁「スタンチューブというやつだな」
礼子「前回のスクリュー軸は2ミリでしたからね」
仁「で、スクリュー軸の位置を決める」
礼子「底から出すんですね」
仁「そういうことになる」
仁「キリで穴を空けてから丸棒ヤスリで穴を広げていく」
礼子「穴を広げすぎないよう注意です」
仁「それから底のバルサは2ミリと薄いので割らないよう気を付けることだな」
礼子「そしてちょっと並べてみています」
仁「で、スタンチューブの作り直しだ」
礼子「どうしたんですか?」
仁「キャラメルモーターはトルク(回転力)が弱いので、試しに回してみたらスタンチューブ内に充填したグリースの粘性で回りが悪かったんだとさ」
礼子「なるほど、それでグリースを詰める部分を短くしたんですね」
仁「その他に、グリースの粘性が低いやつに変えたらしい」涙ぐましい努力だな
礼子「で、全体を透明なABSパイプで覆ったんですね」
仁「気を取り直してラダー穴加工だ」
礼子「バルサですから穴を大きくしすぎないよう注意ですね」
仁「で、スクリューとラダーの位置関係はこうなる」
礼子「スクリューが後ろに出っ張りすぎますとラダーにぶつかりますからね」
仁「そうそう」
仁「同様に、モーターの位置も確認だ」
礼子「問題なさそうですね」
仁「うん」
仁「電池ボックスも配置してみる」
礼子「結構ギリギリですね」
仁「だな。あと1センチ、船体幅を増やしてもよかったかもな」5ミリでもいい
仁「で、最終的なスクリュー軸だ」
礼子「随分変わりましたね」
仁「電池ボックスを入れようとしたら、ABSのパイプの径が大きくて入らなかったんだ」ほんの1ミリなんだがな
礼子「ああ、それで途中から細くなっているんですね」
仁「ちょうどいい太さのプラパイプがなかったのでカーボンパイプだ」明らかにオーバースペックですが
礼子「これを付けないと電池ボックスがスクリュー軸に触ってしまいますものね」
仁「次はサーボ受けだ」
礼子「サーボにも取り付け穴は空いていますが?」
仁「あの位置だとサーボを前後させるような調整ができないんだよな」
礼子「1ミリか0.8ミリ厚のアルミアングル10ミリ角ですね」
仁「穴を空けてから棒ヤスリで長穴にする」地味に面倒だな
仁「で、両面テープを使ってサーボ側面に貼り付ける」
礼子「テープでいいんですか?」
仁「十分な強度があるからな」
仁「で、船内の配置だ」
礼子「その都度確認ですね」
仁「設計図が適当だから、こうしないと部品同士が干渉しあうことがあるからな」そうしたらもう組めなくなるし
仁「配置に問題はなさそうなので、サーボを取り付けるための台を作る」
礼子「10ミリ厚のバルサですね」
仁「ついでに船体を補強する」
礼子「補強ですか?」
仁「ああ。今のままだとねじれにちょっと弱そうなんでな」
礼子「それで側面に補強を?」
仁「あと胴体中程に隔壁をな」
仁「隔壁はこう」
礼子「穴が空いているので隔壁とはいえないのでは?」
仁「だな」穴はスクリュー軸を通したり、電池ボックスからのリード線、それにサーボの線を通すためです
礼子「上の切込みは側板への補強を避けるためです」
仁「まず隔壁、そのあと側板への補強を入れます」
礼子「接着剤はエポキシですね?」
仁「5分タイプの2液硬化型だったかな」
仁「モーターとスクリューなどの位置を確認だ」モーター台も入れてあります。モーター軸とスクリュー軸がほぼ一直線になるようにしました
礼子「ワンオフなのでその都度確認作業は不可欠ですね」
仁「そうなんだよな」
礼子「これで船体は完成ですか?」
仁「うん。いよいよ塗装だな」
礼子「次回ですね」
* * *
仁「というわけで、今回は『BTXー003』その2でした」
礼子「加工の際はくれぐれも怪我にはご注意くださいね」
仁・礼子「「それでは皆様、ごきげんよう」」
ごらんいただきありがとうございました。
20230821 修正
(誤)受信機がご動作しないように
(正)受信機が誤動作しないように
(誤)礼子「粉を吸いこないよう注意です」
(正)礼子「粉を吸いこまないよう注意です」




