032 オニヤンマストラップ
仁「こんにちは、魔法工学師の二堂仁です」
礼子「お父さまに作っていただいた自動人形でアシスタントの礼子です」
仁「作者が実際に作ったあれやこれやを、俺の解説で紹介するっていう企画の第32弾です」
礼子「今回はオニヤンマですか?」
仁「うん。ブローチというかストラップというか」
礼子「何に使うんですか?」
仁「虫よけだな」
礼子「虫で虫よけですか?」
仁「うん。オニヤンマというのは日本最大のトンボなんだが、肉食でガ、ハエ、アブ、ハチなどを空中で捕食するそうだ」
礼子「獰猛ですね」
仁「時にはスズメバチも捕食するそうだ」
礼子「すごいですね」
仁「というわけで、オニヤンマに似たものを身に着けておくと虫が寄ってこないらしくてな」
礼子「ああ、それで虫よけなんですね」
仁「商品化もされているようだ」どこでも品薄みたいだぞ
礼子「効果の程は?」
仁「まあ実際に身に着けて歩いてみないとな……」
礼子「虫の苦手な方はご注意ください」
仁「まずは素材だ」
礼子「針金ですね」
仁「紙粘土……というか『石粉粘土』を使うからな」あとオニヤンマのイメージスケッチ
礼子「錆びないようにステンレスの針金ですね」
仁「うん。銅や真鍮でもいいと思う」
仁「ストラップ的な使い方ができるよう、ループを作って捻る」
礼子「ペンチやプライヤーを使うといいです」針金を身体に刺さないようお気をつけください
仁「大きさというか長さは、捻った部分が10センチ弱くらいかな」万力に挟んでペンチを使ってねじります
仁「4つ作るうち、2つはブローチとしても使えるようにしようと思う」
礼子「それでブローチピンを用意しているんですね」
仁「ブローチピンは昔ハ○ズで買ったやつだ」ネットでも買えます
礼子「針金をはんだ付けするんですか?」
仁「うん。こうして本体と絡ませればがっちり付くからな」はんだ付け時には火傷にご注意ください
礼子「針金をUの字に曲げたものを2本、中央の穴に通してはんだ付けっするんですね」
仁「そうだ。その針金を芯金と絡ませればOK」
仁「で、これが芯金だ」
礼子「一部上に『へ』の字に曲げてますね」
仁「うん。胴体になる部分だな」中で芯金が回らないようにとの意味もある
仁「肉付けだ」
礼子「あれ? ブローチピンの取り付けは?」
仁「取り忘れたらしい」芯金に針金を絡ませるだけですので
礼子「石粉粘土ですね」
仁「紙粘土の一種だがより軽くて丈夫らしいな」100均でも手に入ります
礼子「とにかく盛るんですね」
仁「あとで削るからな」少し多めに付けておくといい
礼子「後から付け足せないんですか?」
仁「水性の粘土なら可能だ」当該箇所を濡らしておいて同じ粘土をくっつければいい
礼子「そして完全に乾かします」
仁「ストラップ用にループを付けたからそこを利用してぶら下げておくと乾きやすいな」作者は餅焼き網の上で乾かしました
仁「で、乾いたらひたすら削る」棒ヤスリと紙ヤスリで
礼子「削り過ぎには注意ですね」粉を吸い込まないように注意も必要です
仁「そうだな。万が一芯金が出てしまったら上に書いたように、ちょっと濡らして同じ粘土を塗りつければいい」
仁「で、整形したものがこれだ」
礼子「それらしい感じですね」
仁「うん。……ネットで調べたところによると、黄色と黒のシマシマが大事なので、形はそれほど重要じゃないようだ」
礼子「でもそこそこ似ている方がいいですよね」
仁「そう思う。そっくりでなくてもいいだろうけどな」そこまで手間を掛けなくてもいいかなと
仁「今回はアクリル塗料で色付けしようと思うので下地材を塗る」
礼子「リキテ○クス系の画材ですね」画材屋さんやハ○ズ、ネットでも買えます
仁「モノは『ジェッソ』。下地専用の塗料だな」アクリル絵の具は水性だが乾くと耐水性があるので便利です
仁「下地材が乾くまで別の工程を進める」
礼子「羽ですね」
仁「素材は100均のラミネートフィルムと、レーザープリントした羽の模様だ」
礼子「リアルですね」
仁「作者がネットで見つけた羽の写真をトレースして作った画像データだからリアルだぞ」
礼子「出力はモノクロレーザーですね」
仁「インクジェットは不可だな」このあと水に浸けるから
仁「レーザープリントした羽をラミネートフィルムに貼って切り抜くんだ」
礼子「何度見てもリアルです」
仁「それを水に浸ける」
礼子「紙の面が上ですね」
仁「そうしないと水が染み込みにくいからな」
礼子「1時間くらいでいいですか?」
仁「いいだろう。で、そっと紙を擦って剥がしていく」軽く消しゴムを掛けても大丈夫
礼子「思ったより綺麗に剥がれますね」そしてちゃんと羽の模様だけラミネートフィルムに残ってます
仁「これが肝だな」
仁「で、紙を剥がした」
礼子「トンボの羽ですねー」
仁「で、本体の方も塗装だ」
礼子「まず黒を塗って乾かしてから黄色のラインを入れたんですね」
仁「うん……本当は色の濃さからすると黄色を先に塗るべきなんだろうけどな」
礼子「ですね。おかげで黄色を3回くらい塗り重ねてましたからね」
仁「それらしく塗れればいいと思います」リアル模型を作っているのではないので
礼子「仕上げにプラモデル用の水性光沢クリアーをスプレーするといいみたいですね」
仁「さて、目玉だ」
礼子「レジンですか?」
仁「うん。セ○アのUVレジンで『クリアグリーン』だったかな」オニヤンマの目は緑色なんだよ
礼子「市販の半球形を作る型に入れて作ったんですね」
仁「ダ○ソーでUVライトが300円(税別)なのはいいよな」USB電源だし
仁「で、エポキシ系接着剤で羽と目玉を貼って完成だ」
礼子「作りはラフですが結構それらしいですね」
仁「帽子につけておくとアブやメマトイが寄ってきにくくなる……といいな」
礼子「メマトイってなんですか?」
仁「メクジリバエという地方もあるようだな。目の周りをぶんぶん飛び回る小さいハエだ。涙に含まれるタンパク質を舐めに来るらしい」世界第2位の高峰と同名の漫画で見た
礼子「嫌な虫ですね」
仁「おまけに『東洋眼虫』という目の角膜に寄生する虫を媒介するそうだ」主に犬がやられるらしいですが人間にも寄生することがあるようです
礼子「夏の山に行くときは気を付けたいですね」
仁「羽のデータです」
礼子「作者がトレースしたものですのでご自由にお使いください」ただし営利目的はお断りします
* * *
仁「というわけで、今回は『オニヤンマ』でした」
礼子「加工の際は怪我にご注意ください」
仁・礼子「「それでは皆様、ごきげんよう」」
ごらんいただきありがとうございました。
20230630 修正
(誤)作者は持ち焼き網の上で乾かしました
(正)作者は餅焼き網の上で乾かしました
20230712 修正
(誤)仁「いいだろう。で、そっと髪を擦って剥がしていく」軽く消しゴムを掛けても大丈夫
(正)仁「いいだろう。で、そっと紙を擦って剥がしていく」軽く消しゴムを掛けても大丈夫




