029 旋盤もどきとストッパー
仁「こんにちは、魔法工学師の二堂仁です」
礼子「お父さまに作っていただいた自動人形でアシスタントの礼子です」
仁「作者が実際に作ったあれやこれやを、俺の解説で紹介するっていう企画の第29弾です」
礼子「今回は旋盤もどきとストッパーですか?」
仁「ああ。ちょっと寒いからあまり凝った製作ができなくて……だそうだ」旋盤もどきはずっと使っている自作機械の紹介だな
礼子「ちょっと寒かったですものね」
仁「そろそろ春になってほしいな」
礼子「わかります」
仁「まずは『旋盤もどき』の紹介だ」
礼子「12ミリシナベニヤの台座に電動ドリルを固定しているんですね
仁「うん。その昔新木場の『もく○く』で買った、ドリルの固定治具だな」ネットで探すと似たようなものが見つかると思う
礼子「自作もできそうですね」
仁「ああ。木で受けを作って、インシュ○ックタイのようなものでがっちり固定すれば大丈夫だろう」ぶれないようにするのが大事です
礼子「透明カバーも付けているんですね」
仁「最初は何もなかったんだけどな、やっぱり削り屑が飛ぶんだよ」保護メガネもしてください
仁「次はストッパーの素材だ」今回は3ミリ軸用のストッパーを作ります
礼子「六角形の棒材を切ったんですね」
仁「呼びは7ミリだ」ハン○やネットの素材屋さんで買えると思います
礼子「円柱じゃないんですね」
仁「うん。円柱でもいいんだが、若干加工しづらいんだ」あとで説明します
礼子「適当、というかほしい長さに切ればいいんですね」
仁「鉄ノコとかバンドソーだな」
礼子「直角にうまく切れないんですが」
仁「それは調整する」
仁「加工のためにチャッキング(ドリルチャックにくわえ込むこと)だ」
礼子「ああ、六角形だと楽ですね」滑らなそうです
仁「こういうときも六角だといいよな」四角はくわえにくくて駄目だ
仁「で、削るのはこいつだ」リューターです
礼子「旋盤ってバイトという刃物で削るんですよね?」
仁「うん、そうだな。でもこれは『旋盤もどき』だから、削るのはリューターに任せる」
仁「で、ビットはこれ」超硬ビット
礼子「タングステン系のビットですね」
仁「超硬、って響きがいいよな」ロマンがある
仁「で、こうやって『ワーク』(被切削物)を回転させながらリューターも回転させて端面を削っていく」
礼子「金属粉が飛び散りそうですね」
仁「だから防護メガネやマスクは必要だな」ちなみに『切粉』と呼ぶ。せっぷんじゃないぞ
礼子「こうやって端面を平らにするわけですね」
仁「次は穴あけだ」
礼子「3ミリ用ストッパーなので3ミリ用ドリルですね」
仁「うん。3.1ミリとか3.05ミリでもいいだろう」
礼子「で、保持は……ドリルチャックですか?」
仁「ホームセンターなどで別売りしているドリルチャックだな。これにドリル刃を咥えさえて手で押し付けていくんだ」
仁「ワークを回転させておいて、そこにドリル刃を押し付け穴をあけていく」切削油を少し付けるといいかな
礼子「なるほど、こうすればワークの中心に真っ直ぐな穴が空きますね」
仁「そうなんだが、油断すると曲がるからな」
礼子「え? 回転軸に平行な穴しか空かないんじゃ?」
仁「それがそうでもない。いったん斜めに進めてしまうと、手で保持しているもんだからドリル刃がぶれながら穴をあけていくようになるんだよな」
礼子「多少の慣れが必要、と」
仁「で、空けたものがこれ」穴の縁も少しだけ面取りしてある
礼子「面取りはどうやって?」
仁「ワークを止めておいて、5ミリくらいのドリル刃を手で持ってぐりぐりと」
礼子「面取り専用のビットもありますね」
仁「で、ストッパーだから、止めねじ用の穴をあける」
礼子「こういうときも六角だといいですよね」
仁「そういうわけだな」
礼子「で、ドリル径は?」
仁「M3のネジで止めるなら2.5ミリだな」M2.6なら2.2ミリだ
仁「これが雌ねじを切るためのタップだ」
礼子「どう違うんですか?」
仁「向かって左の溝が真っ直ぐな方が通し穴用で、向かって右が『止まり穴』用だ」
礼子「今回は止まり穴用ですね」
仁「ストッパーの中で穴が止まっているからな」通し穴じゃないから
仁「で、雌ねじ切りだ」
礼子「タップは垂直に、ですね」
仁「そう。曲げてねじ込んでもネジ部が短いと入っていくんだよなあ」で、いざネジを入れようとするときつい
仁「で、止めネジだ」芋虫に似ているからイモネジというらしい
礼子「押しネジとかホーローネジとも言いますね」
仁「JISは止めねじと言ってるな」
礼子「ホーローって……ホーロー引きでもないのに?」
仁「昔の作者みたいなことを言うな」ホーローはHollowだ
礼子「ああ、弾丸のホローポイントと同じですね」
仁「なんでそっちは知ってるんだよ」
仁「で、完成」
礼子「手間がかかりますね……」
仁「だから作る時は4個5個まとめて作るんだよ」模型用だと1個100円近くすることもあるからな
礼子「真鍮でなくジュラルミンの丸棒が手に入れば軽量なものも作れますね」
仁「ちなみに作者は暇な時にコツコツやっています」
仁「これは応用編」
礼子「スプリングジョイントですね」
仁「スプリングはステンレスのばねだ」ハ○ズで買った
礼子「ばねが外れないようハンダ付けまでしてるんですね」
仁「ちなみにこいつは秋葉で770円くらいしてるな」千石船みたいな名前の店で
礼子「手間を考えるとどっちがいいともいえませんね」
仁「そこはモデラーの意地というかこだわりというか」
礼子「要は工作バカなんですね」作者さんも
仁「まあそうだな」
* * *
仁「というわけで、今回は『旋盤もどきとストッパー』でした」
仁・礼子「「それでは皆様、ごきげんよう」」
ごらんいただきありがとうございました。
20230228 修正
(誤)仁「ああ。ちょっと寒いかたらあまり凝った製作ができなくて……だそうだ」
(正)仁「ああ。ちょっと寒いからあまり凝った製作ができなくて……だそうだ」
20230301 修正
(誤)仁「ワークを回転せさせておいて、そこにドリル刃を押し付け穴をあけていく」
(正)仁「ワークを回転させておいて、そこにドリル刃を押し付け穴をあけていく」
(誤)仁「で、空けたもがこれ」穴の縁も少しだけ面取りしてある
(正)仁「で、空けたものがこれ」穴の縁も少しだけ面取りしてある




