028　変わり箱

仁「こんにちは、魔法工学師《マギクラフト・マイスター》の二堂仁です」

礼子「お父さまに作っていただいた自動人形(オートマタ)でアシスタントの礼子です」

仁「作者が実際に作ったあれやこれやを、俺の解説で紹介するっていう企画の第２８弾です」

礼子「今回は箱ですか」好きですね

仁「作者は小箱が好きなんだよな」

礼子「ああ、それで……」

仁「今回はちょっと変わった形の箱だ」

礼子「楽しみです」

仁「まずは例によって素材だ」

礼子「ボール紙、友禅千代紙、金紙（きんがみ）、接着剤……ですね」金紙がきれいです

仁「ボール紙は『板目紙』ともいって、ホームセンターの事務用品売り場で買った。千代紙と金紙は通販だな」接着剤はセメ○インＣ

礼子「何か注意事項はありますか？」

仁「あるぞ。紙を広い面積で接着するから、水性の接着剤は不向きだな」水分を吸って紙が伸びるから歪みやすい

礼子「ああ、なるほど」有機溶剤系なので換気にはご注意くださいね

仁「で、ケガキというか、線を引く」ここが工夫したところ

礼子「三角形……二等辺三角形の組み合わせですか？」

仁「そう。側板を一工夫した。計８つの三角形を描く」

礼子「二等辺三角形ならなんでもいいんですか？」

仁「いいぞ。例えば正三角形な」その場合は箱の深さがもう少し深くなる

礼子「なるほど」

仁「で、カットした」定規を当ててカッターで……怪我にはご注意下さい

礼子「２つですか？」

仁「ああ、いっぺんに２つ作ろうとしたらしい」使うのは１つです

礼子「正方形は底ですね？」

仁「うん。二等辺三角形の底辺の長さがイコール正方形の辺の長さになる」

仁「折り曲げてみる」

礼子「ああ、なんとなく雰囲気がわかります」

仁「折り曲げる外側に軽くカッターで切込みを入れておくときれいに折れる」

礼子「力を入れすぎると切り離してしまいかねないので注意してくださいね」そして怪我にもお気をつけ下さい

仁「金紙の用意だ」

礼子「きれいですね」

仁「金紙や千代紙の大きさに合わせて側板の長さを決めたんだよな」

礼子「途中で継ぎ足すのは美しくないですものね」

仁「そういうことだ」

仁「で、切り取るんだが、少し幅広にしておく」

礼子「なぜですか？」

仁「貼り付けの時にわかるが、少し折り返して縁を飾るんだ」

仁「で、貼るとこうなる」内側に貼るので間違えないように

礼子「なるほど、片側にはみ出させて貼り付けるんですね」

仁「そういうこと」

礼子「そして反対側に折り曲げて貼ることでボール紙の切り口も隠せるんですね」

仁「そうそう」

仁「で、折り目をつけておく」

礼子「金紙は癖をつけやすいですね」

仁「うん。作者は大昔に買った『インスタントレタリング転写用のペン』でこすっているな」爪の先でも構いません

礼子「ただ、先が尖っていると金紙を破きかねないのでご注意下さい」爪楊枝や竹串の先はだめです

仁「組み立てその１だな」

礼子「雰囲気が伝わってきますね」

仁「この時、内側の金紙の合わせ目が開かないように気をつける必要がある」

礼子「のりしろを残しておいて貼り付けたらだめなんですか？」

仁「その場合は金属にもくっつく接着剤を使わないとな」金紙の表面は多分着色したアルミだから

礼子「ああ、セメダ○ンＣは金属の接着には不向きですからね」

仁「ボン○Ｇクリヤーならいいだろう」

仁「今度は底の準備だ」

礼子「これも底板より大きく貼るんですか？」

仁「いや、ほぼ同じでいい」

仁「作者は貼ったあと、底板に合わせてカッターで金紙を切り取っていたな」この時も怪我に注意です

礼子「内側ですものね」はみ出すと箱の内部がガサガサしそうですし

仁「化粧紙の準備だ」

礼子「きれいですね」いかにも和風です

仁「単色の色紙でもいいし、何ならチラシでもいいけどな」

礼子「一気にチープになりそうです」

仁「底板に貼る化粧紙は大きめに切り取っておく」

礼子「側板に貼り付けるからですね」

仁「そういうこと。これが弱いと底が抜けるからな」

仁「底板に化粧紙を貼り付ける」

礼子「４隅を斜めにカットするんですね」

仁「こうしないと折り曲げて側板に貼った時に重なり合って厚ぼったくなるからな」

礼子「凸凹しちゃいますからね」

仁「で、側板に底を貼り付ける」

礼子「側板に見えているのは仮止め用のテープですね」

仁「そうそう」

礼子「側板は二等辺三角形の集まりなので底板ののりしろは４５度でいいわけですね」

仁「そういうことだな」

仁「で、側板に化粧紙を貼って完成……なんだが」

礼子「一気に完成の写真になりましたね？」

仁「作者は早く完成させたくて、過程の写真を撮り忘れたらしい」

礼子「まあ、細長く切った化粧紙をぐるりと貼っていくだけですからね……」

仁「気を取り直して、完成した箱は小物入れやお菓子を入れてもいいと思う」

礼子「節分の豆まきに使ってもいいかもですね」

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仁「というわけで、今回は『変わり箱』でした」

仁・礼子「「それでは皆様、ごきげんよう」」