025 六角箱制作用治具
仁「こんにちは、魔法工学師の二堂仁です」
礼子「お父さまに作っていただいた自動人形でアシスタントの礼子です」
仁「作者が実際に作ったあれやこれやを、俺の解説で紹介するっていう企画の第25弾です。
礼子「今回は治具ですか」
仁「うん。正確な作品作りには欠かせないな」地味だけど
礼子「ここで手を抜くと以降の作品がみんなガタガタになりますからね」
仁「そういうことだな」
仁「まずは素材だ」
礼子「定番のMDFですね」
仁「それを30ミリ幅にカットした」電動丸ノコで
礼子「できるだけ正確に、一定の幅でないと以降の精度が狂いますからね」
仁「そういうことだな」
礼子「作者さんはMDFお好きですね」
仁「100均で手に入るからな。狂いも出にくいし、縦横の目がないから便利だ。安いし」と思っていたら、先日近所のダ○ソーでは見かけなくなってしまった
礼子「円安で輸入が止まっているんでしょうか」
仁「わからん」困ったものだ
仁「重ねて接着する」
礼子「木工用の接着剤ですね」
仁「うん。面積が広いし、エポキシだとコストパフォーマンスが悪そうだし」
礼子「4枚重ねて接着です」
仁「端はきっちりと揃えてください」後の精度に影響します
仁「圧着するとより接着強度が増して確実だ」
礼子「重しを載せてもいいですね」
仁「その場合は、載せた際に接着面がずれないように気を付けないとな」
礼子「完全に乾くまで放置しましょう」
仁「で、3分割だ」きちんと測りましょう
礼子「400ミリですからおおよそ133ミリですね」
仁「うん。ノコ刃の分もあるし、こっちはぴったりでなくても問題ない」
仁「切るためのノコギリだ」マイターソーと言います
礼子「マイターとは角度を決められるゲージのことみたいですね」
仁「これを使うと、決まった角度のカットが楽にできる」
礼子「作者さんのこれは直角、72度、60度、45度などの角度がピシッと出るようラッチが付いてますね」
仁「使う時は本体を作業台にクランプで固定して使うと安定するようだ」
仁「角度を設定しているな」
礼子「45度(四角用)、五角形(54度)、六角形(60度)、八角形(67.5度)、90度(四角用)の表示が見えますね」
仁「今回は六角形(60度)にセットだ」
仁「で、切る、と」
礼子「怪我にはお気を付けくださいね」
仁「切って片方の向きを変える」
礼子「ブーメランみたいですね」
仁「3つ1組で作ることに意味がある」なので必ずペアになる部材を組み合わせてください
礼子「切る前に番号や記号を振っておけばいいですね」
仁「そういうことだな」
仁「接着だ」
礼子「これはエポキシですね」
仁「うん。……MDFは最初、少し接着剤を吸い込むから、2度付けするといいかも」
礼子「はみ出した接着剤が作業台に付かないよう紙を敷いてますね」
仁「作者が昔なんとかショウでもらった広告請求用のハガキだな」今はメールだから隔世の感がある(しみじみ)
仁「接着剤が固まった」
礼子「こうなるんですね」
仁「で、頂点部分は少し丸める」
礼子「ああ、相手側の接着剤がはみ出しても治具にくっつかないようにですね」
仁「そうそう」
仁「で、調整だ」3ついっぺんにな
礼子「最初は隙間がありますね」
仁「だな。ベルトサンダーで少しずつ削っていくんだ」
礼子「この時3つ一緒に削るのがコツですね」
仁「そう。『同じ角度に』なるからな」
礼子「で、確認は頂点を突き合わせればいいんですね」
仁「そういうことだ。欲しいのは正確な120度だから、3つ合わせて360度。ぴったり隙間がなくなるまで調整を繰り返す」
礼子「右下、ピッタリしましたね」
仁「で、塗装だ」
礼子「する必要があるんですか?」
仁「必ずしも必要じゃないな。ただ、これを使って組み立てを行った場合、はみ出した接着剤が付いたりした時に掃除しやすくなるくらいか」
礼子「作者さんお得意のウレタン系塗料ですね」
仁「臭いんだ、あれ」
仁「ウレタンが乾いたらさっとサンドペーパーで表面を撫でて完成だ」
礼子「ザラザラしなくなりましたね」すべすべです
仁「続いてもう1つ治具を作る」素材です
礼子「これも六角形用ですね」
仁「さっきのは側板を120度に固定する治具だったけど、今度のは蓋や底板を正六角形に削るための治具だ」
仁「で、カット」
礼子「60度ですね」
仁「これもポイントは30度と60度、120度になるな」
仁「もう一度カット」
礼子「これだと……ああ、正三角形ができますね」頂点が60度になります
仁「で、これが部材」
礼子「正三角形と、30度60度90度の直角三角形ですね」
仁「カットした部材を組み合わせてみる」
礼子「あ、こうするとなんとなく出来上がりが想像できます」
仁「ずらすことで接着後の強度を確保するんだ」
仁「で、接着」さっきの治具も使って凹部が120度になるようにする
礼子「左右が少しはみ出ていますが」
仁「そっちは後でカットするからいいんだ」大事なのは角度だからな
仁「で、左右のはみ出しを切り落として完成だ」
礼子「シンプルですね」
仁「治具だからな」
仁「で、おまけらしい」
礼子「作者さんが昔作って今も使っている直角治具ですね」
仁「角が直角、というのは基本だからな」
仁「で、使い方」というほど難しいものじゃない
礼子「小さいカンナですね」
仁「1寸だそうだ」小物作りにはこれで十分
礼子「イニシャルコストも安いですし、取り扱いも楽ですものね」
仁「注意すべきは、このカンナは一枚刃なんだ」裏刃がないから切れ味がいい
礼子「浅草の北、言問通りにある道具屋さんで買ったそうです」東へ向かうと言問橋が架かっています
仁「削ってます」
礼子「それ以外言いようがないですね」
仁「削った板の精度です」
礼子「直角スコヤでぴったりですね」
仁「何度も何度も調整してこの精度になったようだからな」
仁「もう一枚、精度の証明に」
礼子「削った板同士を並べて、その先端が直線になれば90度ですものね」
仁「というわけで、今回は『治具作り』でした」
礼子「くれぐれも工具で怪我などなさらないようお気をつけくださいね」
仁「次回はこの治具を使って六角形の箱を作る予定です」
仁・礼子「「それでは皆様、ごきげんよう」」
ごらんいただきありがとうございました。




