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蓬莱島の工作箱  作者: 秋ぎつね
32/73

022-2 箸置き その2 (注型)

仁「こんにちは、魔法工学師マギクラフト・マイスターの二堂仁です」

礼子「お父さまに作っていただいた自動人形(オートマタ)でアシスタントの礼子です」


仁「作者が実際に作ったあれやこれやを、俺の解説で紹介するっていう企画の第22弾その2です。

礼子「前回の箸置きの続きですね」

仁「今回はキャスティングだな」

礼子「完成まで一直線ですね」

仁「そうだ。暑くなったから涼し気な雰囲気がほしいよな」





挿絵(By みてみん)


仁「まずは着色剤」

礼子「透明な樹脂に色を付けるんですね」

仁「うん。透明なままでもいいが、ほんの少し色を付けるといいかなと思った」

礼子「透明な樹脂って黄変しますものね」紫外線で黄色く劣化することです

仁「そういう意味で、最初から少し黄色くするとか、黄色の補色(反対色)である青や紫にすると目立ちにくいんだよな」まあ使わない時は光に当てないのが一番だが

礼子「で、これはブルーですね」

仁「うん。マゼンタ、オレンジ、イエロー、ブルーという組み合わせなんだ」なぜだろうな

礼子「色の三原色 (マゼンタ・イエロー・シアン)でもなく光の三原色 (レッド・グリーン・ブルー)でもないんですね

仁「そうなんだよな。でもこの組み合わせで白と黒以外、きれいなカラーバリエーションが楽しめるそうだ」




挿絵(By みてみん)


仁「で、樹脂だ」今回はエポキシを使う

礼子「注型用でしたらポリエステルとかウレタンも透明なものがありますね」

仁「あるけどな……」

礼子「何か問題が?」

仁「臭い」

礼子「え?」

仁「室内で作業したくないほど、有機溶剤の臭いがすごいんだ……」

礼子「なるほど、エポキシは臭いが弱いんですね」

仁「そういうこと」でも換気には気をつけてください

礼子「でもエポキシ樹脂はお高いですよね」

仁「だな。まあ今回の箸置きは10グラムくらいしか使わないからな」

礼子「大量に混ぜ合わせると反応熱で高温になるものがありますから要注意ですね」

仁「ウレタンは少しでも水分が入ると気泡がすごいらしいし」湿度の高い時期は不向きだな




挿絵(By みてみん)


仁「計量だ」

礼子「容器はなんですか?」

仁「一口サイズの豆腐が入っていたポリエチレン製の容器だな」使い捨てても惜しくない

礼子「樹脂と容器の材質には相性が悪いものがあるのでお気をつけくださいね」例えば、使い捨てのコップはスチロール系が多いので、ポリエステル樹脂のキシレンで溶けます

仁「その点、ポリエチレンは熱に弱い以外、ほぼ溶剤には無敵だな」

礼子「で、きっちり計るんですね?」

仁「うん。できれば0.1グラムまで計れる電子秤の使用をおすすめします」容器の重さをキャンセルすれば計量しやすいし

礼子「主剤が8グラムですか」

仁「硬化剤は半分(重量比)なので合わせると12グラム、ちょうどいいくらいだ」この箸置きはほぼ12グラムでいけます




挿絵(By みてみん)


仁「で、着色」

礼子「混ぜる前に入れちゃうんですか?」

仁「エポキシはそうなるな。主剤にあらかじめ混ぜておくんだと」

礼子「量は?」

仁「これくらいだと付属のスポイトで2滴だな」多いと濃くなりすぎる

礼子「少ない気がしますが」

仁「意外と濃く仕上がるもんだぞ」後で作例を載せます




挿絵(By みてみん)


仁「で、硬化剤は重量比で半分」

礼子「電子秤だと0調整し直して計れるから便利ですね」

仁「そうそう」まあこの量だと0.2グラムくらいはなんとかなるが

礼子「でもできるだけ正確に、ですね」

仁「そうだな」




挿絵(By みてみん)


仁「で、硬化剤を混ぜて、よーく撹拌したら型に流し込む」

礼子「過程は写真にないんですね」

仁「1人でやっているから撮れなかったようだ」

礼子「混ぜるときの注意点は?」

仁「なるべく気泡を入れないように、だな」丸棒より平たいヘラの方がいいという噂もある

礼子「そのへんはコツですね」慣れもありそうです

仁「でも、このエポキシは粘度が低いから、放置しておくと気泡が上がってきて消えてくれるんだ」

礼子「それいいですね」

仁「硬化時間が短いものはそうはいかないからな」

礼子「真空脱泡機、というのもあるようですが」

仁「気圧を低くしてやると気泡がでっかくなって浮かんできやすくなるんだよな」でも高いけど

礼子「しょっちゅうキャスティングする人なら購入検討されてもいいかもです」

仁「あと『真空おひつ』みたいな商品があるようだがネットのレビューを見るとイマイチらしくてな」


礼子「で、混ぜたら型に流し込むんですね」

仁「四角い容器だと、角を使ってうまく流し込める」

礼子「きれいな色ですね」完成が楽しみです




挿絵(By みてみん)


仁「エポキシの硬化時間は24時間以上というので1日半置いてから外した」

礼子「淡いブルーがきれいです」




挿絵(By みてみん)


仁「で、バリ取りをして少し磨けば完成だ」早速使ったぞ

礼子「涼しげです」

サキ「そうめんとか冷や麦を食べたくなるねえ」

仁「来てたのか」びっくりした

サキ「涼し気な色合い、いいねいいね」

仁「ただな……」

礼子「どうなさったのですか?」

サキ「ああ、わかった。『食品衛生法』だね?」

仁「そうなんだ。市販の注型用樹脂のほとんどは『食品衛生法』をクリアしていないんだよ」

サキ「直接口に入れなくても、箸を置くからねえ」

仁「一応、ネットで調べてみると、わずかだが『食品衛生法』をクリアした樹脂もあるっちゃある」更に高価だったり量が多かったりするけどな

サキ「アクリル樹脂は大丈夫なんだけどねえ」

仁「うん。だから作者は、透明なアクリルブロックを切り出して作った透明箸置きを贈り物にしたことがあるそうだ」

サキ「もうちょっと補足しますと『食品衛生法』ではお湯で洗った時に有害物質が溶け出さないこと、という項目もあります」常温では臭わなくても温まると臭う樹脂もあるからねえ

仁「その辺は自己責任でお願いします」ちょっと今の時代は神経質すぎる気もしますが、ネットですぐに悪評が広がるので致し方ないでしょう


サキ「感想欄時空のボクなら箸置きごと齧れるんだけどねえ」ボリボリ

仁「楽屋落ちやめい」




挿絵(By みてみん)


仁「で、カラーバリエーション」ブルー、グリーン(ブルー+イエロー)、透明

礼子「夏なので寒色系ですね」

仁「そうなんだが、5滴ぐらい染料を入れるとこんなに濃くなる」

礼子「本当ですね」きれいではあるんですが

仁「多少の試行錯誤は必要かもだな」




仁「というわけで、『片面取り』の箸置き作りでした」

礼子「くれぐれも中毒などおこさないようお気をつけくださいね」

サキ「健康第一です」


仁・礼子・サキ「「「それでは皆様、ごきげんよう」」」

 ごらんいただきありがとうございました。


 食品衛生法にはご注意ください。


 20220701 修正

(誤)仁「硬化剤は半分(重量比)なので合わせると12グラム、ちょうどいいくいらいだ」

(正)仁「硬化剤は半分(重量比)なので合わせると12グラム、ちょうどいいくらいだ」

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― 新着の感想 ―
[良い点] 涼しげでキレイです。 おそうめんの時の箸置きに最高です。 [一言] 仁「フリッツは…透明感のあるスナギツネ箸置き、お約束だなw」 礼「コンセプトは脱力ですか?」 振「力を抜けば抜くほど力が…
[一言] レジン最近は100均でも売ってるんですよね、ただし物によってはべとつきが残りますけど 型どりはお湯丸君が使い易かったですね シート型でドライヤーの温風を当てて取るのもありましたが微妙に使いに…
[一言] >>着色剤 インクジェットかな? >>エポキシ ・・・・パテ?汗 >>一口サイズの豆腐 アレを一口で・・・・ >>電子秤 少し前に雑誌付録であったような・・・・ >>よーく撹拌したら…
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