021-2 ペガサス2(ソリッドモデル)その2
仁「こんにちは、魔法工学師の二堂仁です」
礼子「お父さまに作っていただいた自動人形でアシスタントの礼子です」
仁「作者が実際に作ったあれやこれやを、俺の解説で紹介するっていう企画の第21弾その2です」
礼子「前回の続きですね」
仁「もう一度説明しますと、モデルは『マギクラフトマイスター』で仁が乗っている『ペガサス2』です」
仁「まずは……」
礼子「修正ですか?」
仁「うん……コクピットがいかにも浅くて、座席も計器も入れる余地がないんだ」
礼子「確かに」
仁「ということで、一旦真横から切込みを入れて深くしてから両脇にもう一度板材を接着した」
礼子「手間が掛かりますね」
仁「なにしろ初めてのジェット機タイプだそうだからな」何度か作っていればもっとコツがわかるんだろうけど
仁「で、機体底面に車輪を取り付ける穴を空ける」
礼子「このタイミングで行うのは、主翼とか尾翼とかくっつけてしまうとやりにくくなるからですか?」
仁「そうそう」
礼子「治具を使って垂直に空けるのがコツなんですね」
仁「そういうことだな」
仁「で、水平尾翼を取り付ける準備だ」
礼子「線を引いたり切り離したり……ですね」
仁「尾部の噴射口もちゃんとフォローしているな」
礼子「垂直尾翼も接着しましたね」
仁「このあたり、きちんと寸法どおりに作っていれば問題ないんだ」
仁「主翼も接着した」左右の寸法が違うと悲惨だから固まるまで油断は禁物だ
礼子「マスキングテープなどで仮止めしておくといいですね」
仁「そうそう」
仁「で、接着剤が固まるまで……というわけでもないが、細かな部品を作ろう。まずは車輪だ」ランディングギヤとも言う
礼子「金属製ですか?」
仁「うん。強度的にもその方が安心だしな」質感もいい
礼子「丸いのは……Oリングですか?」
仁「そうそう」ホームセンターで手に入った
礼子「銀色の金属は?」
仁「今回は1ミリ厚の『洋白』を使った。銅とニッケルの合金だな。真鍮でもいいけど銀色にならないのが難点だ」
礼子「それに同じく洋白の2ミリ径の丸棒とアルミパイプですね」アルミパイプは外形4ミリ内径2ミリですか
仁「ホイールにするから、パイプの内径と丸棒の外形は合わせないとな」
礼子「どっちも2ミリ同士ですが、はまらないということはありませんか?」
仁「うん、それって心配だよな。でも、大抵の場合、丸棒の外形はマイナス公差、パイプの内径はプラス公差になっているから」
礼子「マイナス公差ということは最大が2ミリで、誤差が出ても細い方にばらつくということですね?」プラスはその逆
仁「まあそう思っていていいな」細かい話は『はめあい公差』『JIS』などで検索すると出てきます
仁「で、ホイールを作る。Oリングの内径が2.8ミリだから4ミリパイプを0.5ミリくらい凹ませれば上出来だ」つまり3ミリだな
礼子「電動ドリルを固定してアルミパイプをくわえ込み、回転させておいてリューターで凹みを作る……ですか」高度ですね
仁「リューターがなければ丸棒ヤスリをあてがってもできる」100均でもリューターは手に入るしな……パワー不足は否めないけど
礼子「小さい車輪ができましたね……」
仁「後輪を作る」脚部だな
礼子「切断して、ケガいて、穴を空けるわけですね」
仁「作業としてはそうだが、正確にやらないとな」細かい部品だから
礼子「ですね。30センチなら1ミリくらいずれてもなんとかなりますが3センチで1ミリずれると取り返しが付きませんものね」
仁「そういうことだな」そうしたコツは文字では書ききれないな
礼子「で、両端はネジを切るんですか?」
仁「あ、そうなんだ。下穴は1.6ミリで、M2のネジを切る」ピンバイスを使いました
礼子「車輪をネジ止めするんですね」
仁「そうそう」
仁「で、長方形だった脚部にテーパーを付けるべくヤスリでひたすら削る」
礼子「とはいっても小さい部品なのでさほど時間はかかりませんでしたね」
仁「そうだな。コツと言えるかどうかだが、新しいヤスリを使うとはかどるぞ」
仁「で、曲げる部分には三角ヤスリで溝を削って置くときれいに曲がる」
礼子「本当ですね」
仁「曲げた部分にハンダを流すとなおよし」
礼子「丈夫になりますね」
仁「で、車輪はM2のネジ(長さは5ミリ)で軽く止める」
礼子「回るくらいですか?」
仁「どっちでもいいな。回るように止めると、飾っておいて動き出すことがあるしな」
礼子「ああ、ネジをきつく締めて車輪が回らないようにしておけば動きませんね」そのへんはお好みでどうぞ
仁「で、前輪だ」
礼子「また面倒くさそうな加工を……」
仁「俺もそう思う」
礼子「車輪受けというんですか? 左右の板はいいとして、取り付けのために何か作ってますよね?」
仁「ああ。3ミリ角の真鍮角棒に2ミリの穴を空けて洋白の2ミリの丸棒を差し込んである」
礼子「……3ミリに2ミリ穴……」
仁「そういう加工をしたがるのがマニアだ」
礼子「……マニアで済ませていいんでしょうか……」
仁「で、左右の穴がずれないように2ミリのネジを通し、さっきの3ミリ角の角棒をはんだ付け」2.5ミリの板に紙を挟んで3ミリにして治具にしている
礼子「これもマニアの趣味ですか?」
仁「そうそう」
仁「で、前輪を嵌める」
礼子「あれ? 穴が空いていないみたいですが」
仁「それな。実は、左右の受け板に空けた穴は1.9ミリでな」
礼子「まさか、打ち込んだんですか?」
仁「そう。そこへ2ミリ径の洋白丸棒を打ち込んで固定し、ヤスリを掛けた」
礼子「だから目立たなくなっているんですね……」そこまでこだわりますか
仁「自己満足のレベルだな」
仁「で、仮組みだ」
礼子「なんかほっとします」それらしくなってきましたね
仁「左右のエアインテークを作る」
礼子「例によってMDFですね」
仁「ほぼ現物合わせだな」
礼子「主翼のテーパーに合わせて斜めに切って上下から貼り合わせるわけですね」
仁「そうそう」これも2分型エポキシです
礼子「この時点では主翼と胴体には接着していません」ご注意ください
仁「で、追加工用のケガキをする」
礼子「追加工するために、主翼に接着していないわけですね」
仁「そうそう」
仁「で、ひたすら削る」イメージどおりになるまで
礼子「胴体に当たる部分も丸く凹ませるんですよね」
仁「そう。これが地味にめんどくさい」
礼子「削った粉を吸い込まないようマスクをしてくださいね」
仁「で、例によって木固めだ」
礼子「薄肉部分が弱くなりますものね」
仁「そういうことだな」この作業も臭いので換気に気を付けてください
仁「そして接着」
礼子「輪ゴムで押さえてますね」
仁「尾翼が邪魔なんで後ろ側は紐で縛った」
礼子「これで終わりですか?」
仁「今回はな」長くなったし
仁「今回の解説はここまで」
礼子「ぐっとそれらしくなりましたね」
仁「だな。……次回は外形の仕上げです(予定)」
仁・礼子「「それでは皆様、ごきげんよう」」
ごらんいただきありがとうございました。
次回は多分3月末頃です。
20220228 修正
(誤)仁「ああ。3ミリ各の真鍮角棒に2ミリの穴を空けて洋白の2ミリの丸棒を差し込んである」
(正)仁「ああ。3ミリ角の真鍮角棒に2ミリの穴を空けて洋白の2ミリの丸棒を差し込んである」
20220301 修正
(誤)礼子「削った粉を吸い込まなようマスクしてくださいね」
(正)礼子「削った粉を吸い込まないようマスクをしてくださいね」
20220630 修正
(誤)2,5ミリの板に紙を挟んで3ミリにして治具にしている
(正)2.5ミリの板に紙を挟んで3ミリにして治具にしている




