020-1 箱 その1
仁「こんにちは、魔法工学師の二堂仁です」
礼子「お父さまに作っていただいた自動人形でアシスタントの礼子です」
仁「作者が実際に作ったあれやこれやを、俺の解説で紹介するっていう企画の第20弾です」
礼子「だいぶ続きましたね」
仁「だな。これも見てくださっている方々のおかげだな」
礼子「今回は箱ですか」
仁「うん。大きさは名刺入れとした。別に名刺じゃなくても、小物入れに使ってかまわない」
礼子「全2回ですね」
仁「思ったより長くなったからな。今回は本体の組み立てまでだ」
礼子「ではお願いします」
仁「まずは材料だな」
礼子「いつものMDFですね」ミドル デンシティ ファイバーボード の略です
仁「安いし、そこそこ平面が出ているからな。それに塗料や接着剤の喰い付きがいいんだ」剥がれにくいわけだな
仁「で、カットした。幅は30ミリだな」尺寸でいうと1寸
礼子「一緒に写っているのは治具ですか?」
仁「そう。大きさを揃えるためのものだな」これは厚さ6ミリのMDF用だ
礼子「そんなにたくさん作る予定なんですか?」
仁「作者はもう10個以上作っているらしいぞ」人にあげたりな
仁「で、治具に合わせて大きさを揃える」
礼子「小さいカンナですね」
仁「作者の愛用品だな」浅草の水平なお店で昔買った30ミリ(1寸)の小鉋だ
礼子「直角に削る治具を使っていますね」
仁「うん」そのうちに治具特集なんてのもいいかもな
仁「で、接着するんだが、それにもこうした治具を使う」
礼子「直角に接着できないと箱が歪みますからね」
仁「そういうことだな。これは100ミリ角のMDF(出来合い)を使ったから、外側の角はそこそこ直角が出ているんだ」
礼子「なるほど」
仁「洗濯ばさみも100均だな」
仁「で、接着だ」書いてないけどよく使っている2分型のエポキシです
礼子「硬化時間がちょうどいいですね」
仁「3分だともっといいんだがな」
礼子「で、治具で直角に固定しておくんですね」
仁「そう。2分型だが5分はおきたいな」
仁「で、こうなる」
礼子「これで、残りを接着すれば長方形というか直方体になるんですか?」
仁「なる。対辺の長さが同じで、対角が直角だからな」そんな定理があったと思う
礼子「中学くらいの数学ですね」幾何学でしたっけ
仁「で、接着だ」
礼子「輪ゴムで押さえているんですね」
仁「そう。結構重宝するぞ」何本も重ねると締め付け力も馬鹿にできない
仁「接着剤が固まったら、底板の準備だ」115ミリの76ミリ
礼子「箱の大きさよりほんの少し大きいですね?」
仁「うん。ぴったりにしようとすると、微妙に小さくなったりするんだよな」そうなると段差を消すのに苦労する
礼子「それで大きめに作っておき、後で削るんですね」
仁「そういうこと」
仁「底を付けた」
礼子「これもエポキシですね」
仁「基本的に全部な」
礼子「確かに、ほんの少し底が大きいみたいです」
仁「さて、蓋の準備だ」
礼子「実際には、底を接着して硬化させている間に準備すればいいですね」時間は有効に
仁「そうだな。これは『乗せ蓋段付き』という形式だな」部品点数が比較的少ないので作りやすい
礼子「きっちり被せる形式ですと、大きさの管理が大変ですものね」
仁「そうだな。緩いとガタガタするし、きついと被せられないし」
礼子「大きさはどうなっていますか?」
仁「大きさは底板より一回り大きい116ミリの78ミリ」乗せ蓋なので少し大きほうが掴みやすいんだ
礼子「厚みは2.5ミリですね」ハ○ズで買ったものですか
仁「で、段差部分は箱の内寸より少し小さくしておく」あとで布を貼るからな
礼子「99ミリと62ミリくらいですね」気持ち小さめに削っておくといいようです
仁「あ、この時点では貼っていないから注意な」乗せているだけです
仁「で、接着剤が固まったら、本体のはみ出しチェックだ」
礼子「確かに少しだけはみ出てますね」
仁「はみ出した分を削る」
礼子「作者はベルトサンダーでやってますね」マスクをしないと粉を吸い込みますから注意です
仁「それと機械でやる時には削り過ぎに注意だな」削り過ぎたらもうたいへん
礼子「機械がない場合はどうすれば?」
仁「うん。サンドペーパーを平らな板の上に置いて、箱本体の方を動かして削るといい」
礼子「サンドペーパーを動かしては駄目ですか?」
仁「多分平面が出ないぞ」
仁「研削後だ」
礼子「平らになっているようですね」
仁「同面って言ったりもするな」
礼子「アップで見ると表面が荒れていますね」
仁「うん。だから塗装をするわけだ」
仁「で、ちょっと追加工」
礼子「指掛け、っていうんでしたっけ」
仁「いろいろ言い方はあるようだが俺は指掛けって言ってるな」
礼子「最初にやらない理由は?」
仁「やっぱり真ん中に付けたいからな」だから型紙まで用意してある
礼子「細い小刀ですね」
仁「繰り小刀って言ってな」小さな曲面を削るのに使うんだ
仁「で、本体の完成だ」
礼子「渋いですね」
仁「蓋も載せてみた」蓋は45度で面取りしてある
礼子「完成が楽しみですね」
仁「それは次回な」
* * *
仁「というわけで、箱作りの1回目でした」
礼子「刃物の取り扱いには十分注意してくださいね」
仁・礼子「「それでは皆様、ごきげんよう」」
ごらんいただきありがとうございました。
残りはできるだけ早めにアップします




