019 トウガラシウキ
仁「こんにちは、魔法工学師の二堂仁です」
礼子「お父さまに作っていただいた自動人形でアシスタントの礼子です」
仁「作者が実際に作ったあれやこれやを、俺の解説で紹介するっていう企画の第19弾です」
礼子「今回はウキですか?」
仁「うん。一般的な川釣りに使えるウキだな。その形から『唐辛子』ウキと呼ばれているタイプだ」
礼子「作者さんって釣りをするんですか?」
仁「中学の頃は近所でクチボソが釣れたので友だちとよく行っていたらしい」今は危険なので釣り禁止というか立入禁止になったそうだ
礼子「水辺ですからみなさんも気を付けてくださいね」
仁「というわけで、まずは材料だな」
礼子「角材と竹ひごですね」
仁「どっちもダイ○ーにあったな」
礼子「角材はキリの9ミリ角、竹ひごは丸い太いものですね」ひごは実測したら直径3.2ミリありました
仁「あとは接着剤とか塗料だな」
仁「で、まずはカットだ」
礼子「寸法は?」
仁「ああ済まん。どっちも長さ50ミリに切った」
礼子「ここはお好みでどうぞ」5ミリとか20センチとかとんでもない長さでなければ大丈夫です
仁「5ミリはなあ……まあそういう小さいウキを使う釣りもあるけどな」3センチから8センチくらいが妥当でしょう
仁「ウキの軸を差し込む穴あけの準備だ」
礼子「できるだけ中心がいいですね」
仁「うん。だから対角線に線を引いて、そのクロス部分にキリを刺しておく」
礼子「ドリルの先端がズレないようにですね」
仁「で、ドリルで穴あけだ」ドリル刃は3.2ミリ
礼子「なんだか変な押さえ方ですが」
仁「長いものに垂直に穴を空けるための治具を使っているからな」
礼子「ない場合は?」
仁「三角定規を2枚使うとか、四角い(角は直角)板を2枚、L字型に張り合わせて治具にすれば大丈夫」
仁「接着だ」水濡れに強いので2液型のエポキシ接着剤がいいと思う
礼子「随分たくさん作りましたね」
仁「いろいろバリエーションを楽しめるからな」
仁「まずは荒削りだな」
礼子「カッターですね」
仁「最初は角を落として八角形にするといい」いっぺんに削ろうとせずに少しずつ
礼子「怪我にはくれぐれもご注意くださいね」
仁「紙やすりで丸めていく」ウキ本体を手でくるくる回しながら紙やすりを掛けます
礼子「できるだけ断面がまん丸になるよう心がけてくださいね」
仁「最初は100番から180番くらいの荒い紙やすりで。次は240番、400番、600番くらいまでかな」
仁「塗装前だ」
礼子「いかにもウキらしい形ですね」
仁「吸い込み止めにいつもの木固めを塗った」
礼子「使い勝手がいいですね」
仁「その上にラッカーや漆も塗れるからな」
仁「サーフェーサーで目止めし、その上からラッカー系の塗料を塗ったものだ」
礼子「いかにもウキです」
仁「先端部分は蛍光カラーにしてある」視認性がよくなるので
礼子「真ん中の色合いが好きです」
礼子「あれ? これで終わりですか?」
仁「他のも見たいか?」
礼子「せっかく作ったんでしょうから」バリエーション
仁「わかった」
仁「漆系塗装だ」先端だけ蛍光のラッカー
礼子「地味ですね」
仁「うん……塗った時期が夏だったから、乾く速度が非常に速かったんだ」漆は速く乾かすと色が濃くなる
礼子「ああ、だから赤い漆も焦げ茶色になるんですね」
仁「そうなんだ」
仁「こっちは『新う○し』で塗装」
礼子「うるし、と名前が付いていますが漆じゃないんですよね?」
仁「うん。溶剤の臭いがするからな」あくまで漆調に仕上がる塗料です
礼子「胴がまだらですね」
仁「変わり塗り、という技法で、赤と黒、そして真鍮粉を重ねて塗ってから磨き出して不規則な模様を楽しむんだ」
礼子「なかなか渋いですね」いかにも日本の釣り道具っぽいです
* * *
仁「というわけで、今回はトウガラシウキでした」
礼子「刃物の扱いには気を付けてくださいね」
仁「塗料を扱う時は有機溶剤の害にもご注意ください」
礼子「釣りをする時には滑って水に落ちたりもしないよう気を付けましょう」
仁・礼子「「それでは皆様、ごきげんよう」」
ごらんいただきありがとうございました。




