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蓬莱島の工作箱  作者: 秋ぎつね
18/73

015 ベッカーラダー

仁「こんにちは、魔法工学師マギクラフト・マイスターの二堂仁です」

礼子「お父さまに作っていただいた自動人形(オートマタ)でアシスタントの礼子です」


仁「作者が実際に作ったあれやこれやを、俺の解説で紹介するっていう企画の第15弾です」

礼子「今回の、『ベッカーラダー』ってなんですか?」

仁「船に使われる舵の一種だな。二重ラダーとかダブルラダーともいうが、二重ラダーやダブルラダーで検索すると脚立やハシゴばかり出てくるからな」

礼子「つまり、2段階に折れ曲がる舵なんですね?」

仁「そういうことだ。そのため、非常に利きがいい……らしい」

礼子「つまり、作者もまだ実感していないと」

仁「そういうわけだな。……で、前回の2連ギヤボックスの続きみたいな形で、模型ボート用のユニットとして製作する」




挿絵(By みてみん)


礼子「概念ですね」

仁「そう。2段階に折れ曲がることによって、水流がより自然な形になり、『船の抵抗』ではなく『船を曲げる力』になってくれるわけだな」




挿絵(By みてみん)


礼子「あれ? もう作ったんですか?」

仁「いや、これは『機能試作』っていって、機構的にうまくいきそうかどうかを調べるための試作なんだ」

礼子「いきなり本番、で失敗したら嫌ですものね」

仁「そういうことだな」

礼子「ギヤはミニ○駆用ですか」

仁「そう。安くて手に入りやすいからな」10個入りだし

礼子「ちなみに、この機構は作者のオリジナルらしいです」

仁「少なくともネットや模型雑誌には、こうしたギヤを使った舵は見当たらなかったようだからな」




挿絵(By みてみん)


仁「で、本番はこんな感じ」

礼子「一気に完成品ですか!?」面くらい

仁「工作箱に載せる気がなかったらしい」なので過程の写真を撮っていないんだと

礼子「なら仕方ないですね。……それでは皆様、ごきげんy」

仁「待て」

礼子「どうしたんですか?」

仁「写真はなくても、イラストで説明するってさ」




挿絵(By みてみん)


仁「構造図だな」

礼子「め、面倒そうな加工がチラホラと」

仁「作者も、あまり何度も作りたくないと言ってたな」一品生産が好きなようだ




挿絵(By みてみん)


仁「かろうじて部品時の写真が1枚」

礼子「舵本体はどうやっているんですか?」

仁「材料は2ミリ厚の低発泡スチレンだな。タ○ヤからプラボードとして発売されている」軽いし加工しやすい

礼子「シャフトは2ミリ径の金属ですね?」

仁「そう。作者はサビに強いという理由で2ミリ径のステンレスバネ線を使っている」ハ○ズで購入

礼子「真鍮でもよさそうですね」はんだ付け性を考えると




挿絵(By みてみん)


仁「溝は、クロステーブルを付けたボール盤をフライスもどきにして彫ったようだ」プ○クソンの

礼子「普通、そんな道具は持っていないと思いますが」

仁「うん。その場合はアクリルカッターでガイド溝を入れ、その溝を細い丸ヤスリで削っていけば大丈夫」時間が掛かると思いきや、意外と削れるので思ったより早い

礼子「気をつけるのは2本の軸間距離ですね」

仁「そう。歯車の噛み合いが問題だからな」

礼子「こちらはミニ○駆のギヤではないですね?」

仁「歯数14枚のピニオンギヤだな」2ミリシャフト用の

礼子「モジュールは0.5ですからピッチ円は7ミリ。従って軸間距離は7ミリですね」

仁「うん。量産試作だと歯数が22枚なのでピッチ円は11ミリで、ちょっと軸間距離が離れ過ぎと思ったらしい」

礼子「ああ、横幅が大きくなりすぎるんですね」

仁「船の大きさにもよるんだろうけどな」作者は全長30センチくらいの小さいやつを作りたいらしい

礼子「ところで、ピニオンギヤの片方は3ミリ穴ですよね?」

仁「あ、説明し忘れていたな。そう。もう片方は2.9ミリ径のドリルで穴を広げている」加工時には怪我に注意してください




挿絵(By みてみん)


仁「シャフトはTの字……というよりトの字だな」

礼子「舵本体と滑りが生じないようにですね」

仁「そういうことだな」

礼子「はんだ付けですか?」

仁「ああ。ヤスリで半分ほど削って組み合わせてはんだ付けだな」こうすれば丈夫だ

礼子「ロー付けではないんですね」

仁「うん。ロー付けは面倒だしな。その分強度は段違いだが」水の中で使う舵だからはんだ付けでいいだろう




挿絵(By みてみん)


礼子「舵受け……というんでしょうか、これはまた複雑な形状ですね」

仁「だなあ。これも作者が作ってみたくて凝った作りにしたみたいだ」

礼子「ですね……6ミリの真鍮丸棒にきれいな通し穴を空けるのって難しいですよね?」多分曲がります

仁「ああ。電動ドリルを使った簡易旋盤を使い、丸棒の方を回転させ、ドリルの刃を押し込むんだ」こうすると回転のセンターが出る

礼子「で、そこにM6のネジを切るんですか」ダイスで

仁「ナットの方も3ミリ厚のA2017(ジュラルミン)にM6のタップでネジを切ってナットを作ってるしな」軽くするのと、厚みの薄いナットが欲しかったそうだ

礼子「簡易旋盤って……」

仁「ネットではもっと本格的な旋盤を自作している人もいるぞ」いずれ番外編か何かでご紹介したいです




挿絵(By みてみん)


仁「再掲。まあそんなこんなで、組み立てて完成だ」

礼子「縁はちゃんと流線型に近くなるように削るんですよね」

仁「そういうことだな」

礼子「銀色の部分は?」

仁「強度的に心配だったらしく、ステンレスのテープで補強している」アルミじゃなく

礼子「ステンレスのテープなんてあるんですね」

仁「ホームセンターで買ったようだ。アルミより丈夫だ」縁で手を切らないように気をつけてください

礼子「あと、取り付けてありますね?」

仁「アルミのL型アングルを切って加工した舵受けだな」アングルは前回2連ギヤボックスを作ったときのやつです


*   *   *


仁「というわけで、今回はこれまでです」

礼子「次回は船体ですか?」

仁「スクリューかもしれない」

礼子「それまで自作するんですか?」

仁「右回り・左回り両方のスクリューが必要なのに今ではまず手にはいらないんだ」特に小型のものは

礼子「大変ですね」

仁「だが、昭和のモデラーたちはカスタムパーツづくりに燃えていたんだぞ」

礼子「今はフィギュア製作に萌えてますね」

仁「字。」



仁・礼子「「それでは皆様、ごきげんよう」」

 ごらんいただきありがとうございました。


 20210630 修正

(誤)俺の解説で紹介するっていう企画の第*弾です」

(正)俺の解説で紹介するっていう企画の第15弾です」

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― 新着の感想 ―
[一言] 模型の船なら普通のラダーで充分だから、こんな凝った構造のラダーが市販されていないのでしょうね。 それにしてもスクリューまで自作していた昭和のモデラー達は凄いですね、私はこんな細かい作業は出…
[良い点] 続きありがとうございます♪ 今回も、こんな部品つかうんだ? こんな風に作るんだ?! な、どこに使われるのかもよくわかっていないままに面白い形が出来上がるのがワクドキ☆でした♪ おふねにな…
[一言] 仁「フリッツ、今回のスナギツネアイテムはなんだ?」 振「出オチでそれか、決めつけるな#」 礼「おとうさま、こちらです。」 振「ちょ、いつの間に?!」 フリッツ謹製チベスナ級強襲フェリー『アー…
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