013 貯金箱
仁「こんにちは、魔法工学師の二堂仁です」
礼子「お父さまに作っていただいた自動人形でアシスタントの礼子です」
仁「作者が実際に作ったあれやこれやを、俺の解説で紹介するっていう企画の第13弾です」
礼子「今回は貯金箱ですか」
仁「そう。作者も一度作ってみたかったらしい」
礼子「郵便局とか銀行とかでくれますものね」
仁「最近あまりくれない気がするな」不景気なのかな
礼子「……」
仁「で、外観的には『お賽銭箱風』になる」
礼子「あ、ちょっと面白いかも」
仁「設計図……と木取り図だな」
礼子「60ミリという数値が多いですね」
仁「ああそれは、購入する木材の規格が30ミリ幅、45ミリ幅、60ミリ幅……となっているからだ」加工の手間を減らしたわけだな
礼子「納得です」
仁「で、材料だ」
礼子「木ですね」
仁「竹(木)トンボを作った時に使った『アガチス』という外材だな」厚さは8ミリと3ミリ。幅は8ミリ厚が60ミリ、3ミリ厚が45ミリ
礼子「他の木でもいいですよね?」
仁「もちろんだ」ヒノキとかケヤキとかな
礼子「ケヤキだと賽銭箱、って感じになりそうですね」
仁「ハ○ズや新木場のもく○くなどで買えます」
仁「切った」
礼子「作者はいつものバンドソーです」もちろんノコギリでも切れます
仁「で、角を直角に調整するんだ」これが大事
礼子「治具を使うんですね」
仁「そう。直角に削るための専用治具だ」作者の自作です
仁「肝心な、お金の投入口から作っていく」
礼子「接着剤はなんでもいいんですか?」
仁「木を接着できればなんでもいいが、お勧めは超速タイプのエポキシ系だな」2分とかあるぞ
礼子「狭い面積ですからいいんですね」
仁「まあそういうことだな。広い面積に塗布する場合だと、超速タイプでは塗り終わらないうちに硬化し始めることもあるからな」
礼子「マスキング用のテープなどで仮止めするとずれなくていいですね」
仁「木の端っこはちょっとだけはみ出させて、全体組立時に削って合わせると隙間ができにくい」
礼子「コツですね」
仁「で、接着剤が固まるまで底板の加工だ」
礼子「全部接着でもいいんですよね?」
仁「いいけど、お金を取り出す時に完全破壊する必要があるぞ」まあ本来の貯金箱ってそういうものだけどさ
礼子「今回は木ねじで止めて、外せるようにしたんですね」
仁「そういうことだな」
仁「『穴あけ』と『座ぐり』だな」
礼子「『座ぐり』というのは?」
仁「さら木ねじの頭が飛び出ないように、少しえぐっておくことさ」作者は秋葉にある千石船みたいな名前の店で買いました
礼子「穴径はどのくらいですか?」
仁「木ねじが2.7x20なので3ミリのドリルだ」
仁「で、前後の板をエポキシ系接着剤で接着」これは裏から見たところ
礼子「上面の板のはみ出し分を削ってからですね」
仁「ああ、言い忘れていたな……ありがとな、礼子」なでなで
礼子「どういたしまして」ほわほわ
仁「で、木ネジの穴をキリで開ける」
礼子「下穴を開けないと木が割れるんですね」
仁「そう。下穴はきつすぎても緩すぎても駄目」その辺がコツだな
仁「木ねじ止めして完成だ」
礼子「貯金箱っぽいですね」
仁「貯金箱だからな」
仁「『賽銭』とか『浄財』とか書いたり、透明シートに印刷して貼ったりするとさらにそれらしくなるぞ」フォントも工夫して
礼子「『貯金』とか『蓄財』も面白いかもですね」
仁「作者は『開運』にしたようだ」あとは使うだけだな
礼子「ではさっそく」ちゃりん
仁・礼子「「それでは皆様、ごきげんよう」」
ごらんいただきありがとうございました。




