010 竹(木)とんぼ
仁「こんにちは、魔法工学師の二堂仁です」
礼子「お父さまに作っていただいた自動人形でアシスタントの礼子です」
仁「作者が実際に作ったあれやこれやを、俺の解説で紹介するっていう企画の第10弾です」
礼子「今回は竹とんぼですか?」
仁「そう。別作品でもちょっと出たことだし」
礼子「どの作品かわからない人はとりあえず全部読んでみてくださいね」
仁「こらこら」
礼子「まずは材料ですね」
仁「そうなるな。ホームセンターでも売っている『アガチス』の板(8ミリ厚)と、断面が丸い箸だな」箸はお正月に使った残りです
礼子「両端が細くなっている箸ですね」
仁「うん。……両端というか、片側は人間が、もう片側は神様が使う、という『ハレ』の日に使う箸なんだぞ」ちなみに普通の日は『ケ』の日という
礼子「急に薀蓄が」
仁「日本人なら知っておいても損はないだろ」
礼子「で、寸法図ですね」といいながら数値が入っていませんが
仁「長さが160ミリ、幅が25ミリです」作者に代わってお詫びします
礼子「厚みは8ミリでしたね」
仁「まあ、このへんは自由度が高いな」
礼子「極端に大きかったり小さかったりしない限り大丈夫そうですね」
仁「うん。……あ、1つ大事なことが」
礼子「なんでしょう?」
仁「回転させるから、あまり軽いと空気抵抗ですぐに回転が遅くなって飛ばなくなる」重すぎるとやっぱり飛ばない
礼子「やっぱりコツが要りますね」
仁「まあ普通の木で、このくらいの寸法ならそこそこ飛ぶと思う。……作者が私淑していたデザイナーの秋岡先生は、いろいろな竹(木)とんぼを作って研究していたそうだ」
礼子「材質を変えてみたり、形状を工夫してみたり、羽の両端におもりを埋め込んでみたりとかしていたようですね」詳細は 竹とんぼ 秋岡芳夫 で検索してみてください
仁「寸法図どおりにカットする」
礼子「ノコギリを使う際にはお気をつけください」
仁「それから中央に穴をあける」
礼子「箸がぎりぎり入るくらいですね」
仁「接着剤を塗って差し込めばより丈夫になるな」
礼子「でも、削る前に差し込まないでくださいね」削るときにやりにくいですから
仁「で、削る」怪我に気をつけてください
礼子「小刀ですか?」
仁「切り出し小刀と肥後守だな。竹の場合は刃を垂直に立ててこするとヤスリ代わりになるんだが、木の場合はサンドペーパーを掛けたほうがいいかな」削り屑を吸い込まないようマスクなどをしましょう
礼子「角度は?」
仁「この厚みならちょうど対角線くらいだ」あまり角度がきついと空気抵抗が大きくなってかえって飛ばなくなる
仁「バランスを見ながら仕上げだ」サンドペーパーも使って表面を滑らかに
礼子「サンドペーパーの番手はどのくらいですか?」
仁「荒削りなら#100から#180。仕上げは#240から#400でいいだろう」#240だけでなんとかなるかも
礼子「で、軸を取り付けて完成ですね」
仁「うん。上は箸がそのままで、下は適当な長さに切ったものだ」接着剤を使った時は乾くまで待ちましょう
礼子「遊ぶ時は人に向けて飛ばしたりしないように気をつけてくださいね」
仁「バランスが取れていないと回した時にぶれますのでお気をつけください」
* * *
礼子「これは?」
仁「作者が昔作ったやつ」
礼子「羽だけが飛ぶんですか?」
仁「そう。ほら、飛ばすための軸も変わっているだろ?」
礼子「あ、ピンといいますか、2本立っていますね」
仁「だから空回りせずに回せるんだ」
礼子「こっちは竹ですね?」
仁「ちょうど、門松を捨てるところだったのでもらってきたそうだ」
礼子「なるほど。ところでこの番号は?」
仁「製作番号だ」ローマ数字なのはお察し
礼子「作者さんが文字どおり中2のときに作ったらしいですからね」物持ちいいですね
仁「話は飛ぶけど、竹って真っ直ぐ削るにはいい材料なんだよな」
礼子「ああ、木の場合は木目がまっすぐとは限りませんからね」
仁「繰り返しますが、刃物を使う時はお気をつけください」
* * *
仁「というわけで、第10回は『竹(木)とんぼ』の解説でした」
仁・礼子「「それでは皆様、ごきげんよう」」
ごらんいただきありがとうございました。
20210129 修正
(誤)……作者が私淑していたデザイナーの秋岡先生は、いろいろな竹(木)とんぼを作って研究してたいそうだ」
(正)……作者が私淑していたデザイナーの秋岡先生は、いろいろな竹(木)とんぼを作って研究していたそうだ」
20210927 修正
(誤)俺の解説で紹介するっていう企画の第7弾です」
(正)俺の解説で紹介するっていう企画の第10弾です」




