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「闇のソウル」

 刺された男が血しぶきと共に倒れる。


「なんということだ、俺と弟で表と裏の世界をコントロールし世界を支配するはず……だったのに」


 男が壮大な野望を口走ると名残惜しそうに学園長室に視線を向けたその直後、どういうつもりか彼はニヤリと笑った。


「だが……間に合わなかったな……お互いに……」

「何の話だ」


 尋ねるや否や学園長の窓から巨大な炎の剣が出現する。その剣の主は恐らくディーネではない。学生である彼女が学園に損害を与えるようなことをするはずがないからだ。となるとあれはバーンということになる。

 バーンが……あんな巨大な剣を……

 ウォルバーストさんのような巨大な剣をバーンが出すことが悔しくて剣を握り締める。しかし、次の瞬間、炎の作り上げた剣の形が崩れ建物に火の粉が降り注いだ。


「ハハハハハア……やはりこうなったか……あいつは気が短い……貴様のことを意識していたようだからいずれ痺れを切らし……ハア……制御できない炎を出し自滅すると思っていた。残念だがこれで貴様の仲間もあの指輪も崩壊したことだろう。今回は……引き分けだ……」


 男は満足気にそう言い切ると息を引き取った。

 まずい、あの爆発じゃ皆……

 再び剣を構えると光の翼で学園長室へと向かう。


 ~~

 息を止め真っ黒な煙を抜けた末に辿り着いた学園長室は瓦礫と炎に包まれていた。


「誰か! 誰かいないのか! 」


 既に剣から離れたものに光のソウルの無効かは効果がないため煙を吸い込まないようにしながら呼びかけるも返事はなかった。

 ……皆瓦礫の下なのか!?

 剣を鞘に戻し手で瓦礫をかき分けようとしたその時だった。


「……っ」


 ただならぬ気配に体を避けると先ほどまでオレが立っていた場所が一閃される。


「チッ……仕留め損ねたか」

「バーン、どうしてお前が生きているんだ」

「俺様のソウルが暴発する瞬間、いち早く剣を捨て回避したからだ。だが、これで俺様の勝ちのようだな」


 バーンが得意気に口にする。


「何の話だ」

「殺した数だよ、俺様はあの二人に加えここで学園長と裏切者の女で四人だ」

「は? 」

「貴様は三人だろ? 爆発が起きたのを幸いと助けるふりしておめおめと兄貴から逃げてきたんだろ? だから俺様の勝ちだ」


 ……こいつはずっとオレと殺した人の数で競っていたのか?


「何を……言っているんだ」

「でも何もかもお前のせいなんだぜ、あの日お前が大人しく俺様に殺されておけばこんなことにならずに済んだんだ。俺様なら誰も死なせずに済んだものを」


 ふつふつと怒りが湧き出る。なんでこんなやつが生きているんだ? こいつは本当に今殺すしかない。


「そうだな、オレが悪かった。あの時お前から剣を奪ってでも殺しておけばよかった……そうすれば皆死なずに済んだ……退学で罰が下ったと考えたオレが甘かった……だから、今オレがお前を殺してやる」

「ハハハッ……泣いてんのか? 涙声でなんて言ってんのか分かんねえ……何だそれは」


 バーンの表情が凍り付く、剣を見るとオレの剣から以前魔人が出していたような禍々しいオーラが出ている。

 ……ああ、これでようやくこいつを完全に殺せる。

 心から安心したオレはバーンの剣を躱すと思いきり剣を突き刺した。


「……ガハッ……なんだこれ……身体が……身体がああああああああああ」


 壮絶な悲鳴と共にバーンの体が闇に包まれ消滅していく。


「うるせえよ」


 頭部にもう一刺し、するとバーンは動かなくなり数分立たずに跡形もなく消え去った。

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