表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

57/164

「代表集結」

 二階にある会議室の扉の前にたどり着いたオレは両手で頬を叩く。いよいよ、代表との顔合わせだ、ウォルバーストさんにアローさん、他にはどのような人がいるのか。どのような人であれまずは第一印象、気を引き締めて入室せねば。


「失礼します! 」


 大声で叫んだ後扉を開ける。そこにはずらりと並んだ代表選手たちが…………一人もいなかった。

 あれ? 一番乗り? 色々とまだ必要事項とかがあって立て込んでいるのだろうか? それとも集合場所を間違えた?

 最悪の予想が頭に浮かび念のため確認しようと外へ出る。場所は案内図にしか記載されておらず、内装はどこも似通っているためもしかしたら記憶違いだったかもしれないとすぐ横の部屋のドアに手をかけた時だった。


「ガイト君、会議室はそこじゃないよ」


 振り返るとそこにはアローさんの姿があった。彼はオレがいた教室のドアに手をかける。


「会議室はこっちだよ」

「そっちでしたか、誰もいないので間違えてしまったかと」

「アハハ、待たせちゃったか、去年は一番乗りだったけどガイト君みたいに不安になったから一番乗りしようと来たのだけど、ごめん」


 と笑う彼の後について再び室内へ。知らない先輩だったら別室に用事がある人と認識され誰も来ない室内で延々と待ち続けていたかもしれないと考えると来たのがアローさんで良かったと安堵のため息を漏らす。


「夏休みはどうだった? 」


 気を遣ってくれたのか不意に彼がオレに尋ねる。

 夏休み、を振り返ると一部辛い経験もあったけれど総合的に見れば楽しかったな。


「皆で特訓出来て楽しかったですね、アローさんは? 」

「僕か……僕は、のんびりできたかな」

「夏休みの間見かけませんでしたけど、のんびりできたということは……帰省したんですか? 」

「うん、残念ながら一人だったけど」


 一人? 彼女でも連れて行こうとしたのだろうか? 尋ねようとするとガチャリとドアが開く。


「アロー君がいるということはここで間違いないようですね」

「……のようだ」

「となるとそこのが話題の一期生かぁ! 」


 茶髪の女性、黒髪の大男にボサボサさせた普通体型の男性が姿を現す。それぞれが赤、茶、青の上着を身に着けていた。二期生のようだ。「一期生のガイトです。よろしくお願いします」と挨拶をする。


「アタシはヘルガ、よろしくね、ガイト君」


 と華やかな笑顔を返してくれる女性、彼女がオレと同じフレイムだとは信じられない。


「オレァヴィルゲル、よろしくなァ」


 ぶっきらぼうな男性、彼がブリザードというのも信じ難い。クラスは見かけによらないものだ。


「ワタシはアントーン、よろしく頼む」


 この人はガイア、見た目通りのイメージだ。

 三人にもう一度「よろしくお願いします」と返す。


「しかしよォアロー、おめェ随分と仲がいいじゃねえかァ」

「まあね。ガイト君とは入学式からの付き合いだから」

「破れた相手と仲良くするとは器も相当なものだな」

「本当ね、健全な肉体は健全な精神に宿るとはよくいったものね」

「それを言うなら健全な精神は健全な肉体に宿る、意味が逆だ」

「ありゃ、そうだったか~」


 アントーン先輩に指摘されぺろりと舌を出すヘルガ先輩。何だかんだ二期生も仲が良いんだなと見ていると再び扉が開いた。


「全員、揃っているようだな」

「本当、皆早いわね~」

「早いのはいいことだと思うよ」

「というより、アタシ達が遅いんじゃ……」


 現れたのは三年生の四人組、驚くべきことにウォルバーストさんを除いて全員が女性だった。

 ……モテるんだな。

 率直な感想がそれだ。彼がイケメンなのと実力者という事実が余計にその印象を際立たせている。いや、もしかすると本当に無理矢理ついてきたとかで代表は他にいたりして……


「ゲェッ、随分とモテるんだなァ」


 同じことを考えていたらしいヴィルゲル先輩がツッコミを入れる。


「それは違うぞ、俺達が三年生の代表ってだけだ。たまたま会ってな」


……どうやら違ったようだ。


「それにしても、アタシ達が彼女だなんて」


 金髪ハーフカットで水色の上着を着た女性が頬を膨らませる。


「失礼しちゃうなあ、ボク達はそんなんじゃんじゃないよ! 」


 と言うのは茶色の上着を着た背の小さい黒髪のツインテールの女性。


「可愛がってあげたくなっちゃうわね、ウフフ」


 緑色の上着を着た大きな白髪ポニーテールの女性はそう口にして笑うも目は笑っていなかった。


「い、いやァ失礼しましたァ! 」


 彼女達から伝わる気迫は並々ではなく、まさに三期生の代表の風格というものでヴィルゲルさんもたじたじだ。


「怖がらせちゃったかしら、ごめんなさいね~。ワタシはシェスティン、よろしくね」


 ポニーテールの女性が前に出てお辞儀をする。


「アタシはマリレーナ、宜しく」


 と微笑むのは金髪の女性。


「ボクはシラ、よろしくね」


 とツインテールの女性。


「俺がウォルバーストだ。よろしく頼む」


 とウォルバーストさん。彼らに続いてオレ達も自己紹介をする。


「よし、自己紹介はこれで終わりだ」


 ウォルバーストさんがパンと手を叩く。


「それじゃあ、皆の実力を把握したい。アロー君とガイト君のは把握済みだから二期生の三人。我々三期生の三人と戦おうぜ」

「「「今からですか! ? 」」」


 指名された先輩達の声が響いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ