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「ヘルソルジャーとの戦い」

 ディーネが出すランプに灯されるくらいの大きさの炎を頼りに耳を澄ましながら洞窟内を進む。向こうから動いてくる気配はない、どうやら最深部で待ち構えているようだ。結局、ヘルソルジャーはオレ達が動くまで一歩も動くことはなかった。


「あらあら、見逃してあげるって言ったのにとうとうここまで来てしまったのね」

「まだやり残したことがあったからな」

「やり残したこと? 」

「オレ達はお前が急にこんなことをした目標を知りたい」

「ああ、そういうこと」


 満足気に呟いたヘルソルジャーはしゃがみ中心が砕かれているネックレスを拾い上げるとオレ達に突き出す。


「これが目的よ、といっても分からないわよね。良いわ、冥土の土産に教えてあげる。私達はね、サタン様復活のための手段を見つけたの」

「サタンの復活? 」


 どういうことだ? サタンは死んだんじゃなかったのか? しかしサタン側の人間であろうこのヘルソルジャーがこんな嘘を述べるとは思わない。


「そう、復活。そのために必要な物の一つがこのネックレスの破壊、近くにあると情報が入ってね。私が来たってわけ。これで満足かしら? 」

「君には他にも仲間はいるのかい? 」


 フウトの質問にヘルソルジャーは肩をすくめる。


「さあ、いるかもしれないしいないかもしれないわ」

「なるほど、仲間はいるがバレると都合が悪いみたいだね」

「? 」

「さっき君は私『が』と口にした。それはつまり他にも仲間がいるということだ、違うかい? 」

「なるほどね、一本取られたわ。でも、その情報を持ち帰ることができるかしら? 」


 ヘルソルジャーが鞘から剣を抜く。どうやら時が来たようだ。


「見逃してくれるんじゃなかったのか? 」


 分かってはいたのだけれど皮肉を込めて叫ぶ。


「残念ながらその約束はここに入った時点で無し。あのお嬢さんのように悔し紛れのあの攻撃で満足して帰っていればよかったのに。残念ながら皆、これで終わりよ」


 ヘルソルジャーが剣を構える。今にも向かってきそうだ……しかし、それはできなかった。


「な、なによこれ! 」


 ヘルソルジャーが凍った足元を見て驚きの声を上げる。


「ジェシーが逃げただって? むしろその逆さ。確実に倒そうと罠を張ってたんだよ」

「壁を伝って背後から……そういうこと、さっきの会話には時間稼ぎの意味も含まれていたのね」

「ああ、どうやらその完璧な鎧が仇になったようだな」


 ちなみに、さっきの見逃してくれるんじゃないのかという叫びはオレ達まで凍らないためにジェシーにヘルソルジャーの足まで凍らせたのを確認したから止めるようにという合図だった。万事上手くいった。


「それじゃあ、決めさせてもらう」


 言葉と同時にオレは駆け出す。


「やるわね、でも足を封じたくらいで調子に乗らないことね! 」


 口にしながらヘルソルジャーは前のめりになる、足を封じてもまだ鎧を活かして防御を考えなくていい剣技があるのだ。


「それはどうか……な! 」

「「『フレイムランス』」」


 二人の声を聞いてオレは右に避ける。瞬間、背後にあった炎を纏う斬撃が姿を現し見事狙っていたヘルソルジャーの剣に命中した。


「なに! ? 」


 衝撃を受けた剣は宙を舞い背後の壁に突き刺さる。


「鎧は鉄壁でも、剣は鉄壁ではないってね」

「やれやれ、まだ僕のソウルがガイトよりも遅いからこそ出来る作戦、というのは歯痒いけどな」

「だとしても私がどこに剣を出すかなんて……まさか、貴方その炎が剣を狙ったんじゃなくてその炎が当たるところに私が剣を構えるように誘導したというの! ? いいわ、来なさい。受けてあげるわ、この鎧でね! 」


 ヘルソルジャーが両手を開く。

……ならば受けてもらおう、この一撃を!


「『インバリード』」


 ソウルを開放する。たちまちオレの剣が輝きそれと同時にヘルソルジャーの鎧が消滅していき先ほど見たボロボロの衣服が姿を現す。


「どうして鎧が! ? まさか貴方はあの光の……」

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」


 丸腰のヘルソルジャーに防ぐ術はない、オレは彼女目掛けて剣を突き刺した。

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