表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神力の少年兵  作者: 夢野楽人
第二章 動乱編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

47/47

モノローグ 過去編2

 その後、身寄りのない私達姉妹は施設で過ごすことになります。

 そこで私は勉学に励んで体も鍛えました。強くならなくては生きられない。

 養子に迎えたいと言ってくれた方もいましたが、すべて断りました。


 妹達も思いは一つ。


「嵐さんに、恩を返したい」


 そして私が16歳になった時に、体に異変が起きました。


「これは――――氷⁈」


 ルナが熱を出したので、取りに行こうとした矢先、手から現れたのです。

 これが超能力の発現でした。しばらくするとリジーとルナも能力に目覚めました。


 宇宙でエスパーの数は少なく情報もないので、私達が後天的に目覚めた理由は分かりません。

 ……たぶん、嵐さんの力に触れたからでしょう。もう普通の人間ではなくなりました。


 となれば私達はみんなに恐れられるか、利用されるだけでしょう。

 妹達と話し合って、これからのことを決めました。もう覚悟はできています。


 それから私達はお世話になった人達に、礼を言ってから施設を去りました。

 向かった先は嵐さんのいる戦場。彼は傭兵として各惑星を転戦していました。


 いつか、愛……会いに行くために私は居場所をずっと調べていたのです。


 危険な星への直行便はなく、私達は医療ボランティアの宇宙船に紛れ込んで、向かう事にします。

 ちょうど知り合いがいたおかげで、無事に乗船することができました。


 私達は惑星に到着し、野戦病院で嵐さんと再会することができました。

 私は嬉しくてたまりません。でも喜んでばかりはいられず気持ちを引き締め、声をかけようとしますが、嵐さんの方から近づいてきました。


「すまない、この子を頼む」


 見れば、12歳くらいの女の子が震えていました。よほど怖い目にあったようです。

 私達も同じ目に遭っているので、すぐにルナが声をかけて少女を慰めます。


 年齢が近そうだったから、嵐さんは私達に任せたのでしょう。


 その嵐さんは、ベットに寝ているメイドさんを前にして、お医者さんと何やら話をしていました。

 会話が終わり、ホッとした嵐さんを見て私は急いで大声をかけます。


 このままだと、すぐに消えてしまうので。


「嵐さん! お話があります‼」


 嵐さんは驚いて私を見ました。私達の事は成長したので覚えていないでしょうが、名前を呼ばれたことでビックリしたようです。氏名を知ってる人は少ないのでしょう。


 周りの人の迷惑になるので、私達は外に出て話します。


「初めまして……ではありませんが、私はサラ・イシュタールと申します。嵐さん、6年前に妹達と一緒に助けていただき、本当にありがとうございました」


 すると嵐さんは、困った顔で謝ってきました。


「すまん……覚えてない」


「末の妹には輸血をしていただいて、合同葬儀の時に嵐さんのお名前をお聞きしました」


「あー、あの時の三姉妹か? 思い出した。ずいぶん大きくなったな、もう昔の話だ、礼なんて気にしなくていい」


「いえ、もう一つお願いがあって、嵐さんに会いに来たのです。私達を部下にしてください!」


「はああああ⁈ お前何を言ってる? 俺の仕事は傭兵だぞ! 子供がするような甘い稼業じゃない。命がいくつあっても足らんぞ。エスパーならともかく、ただの人間じゃ――――!」


 大きな氷を出した私の手を見て、嵐さんは目を丸くして驚いていました。

 そして静かな声で言います。


「……目覚めたのか?」

「はい、姉妹全員です」


「そうか……この仕事が終わってから話そう」


 嵐さんは察してくれたようです。

 私は肯いてボランティアの仕事に戻りました。いつまでも、サボってるわけにはいきません。仕事は山のようにあります。


 保護された少女はクラリスと名乗り、ルナと仲良くなって、すっかり元気を取り戻しました。

 お付きのメイドさんが大怪我を負っていましたが、一命を取りとめたようです。


 これもお医者さんと、嵐さんが助けてくれたおかげです。なので二人は嵐さんがくると、取り合いを始めてしまいます。クスクス。


 ここでの戦いが終わる頃、クラリスの元に迎えがきました。これで私達とはお別れです。

 たぶん住む世界が違うので、もう会うことはないでしょう。


 同じ歳のルナは涙を流して親友との別れを惜しみ、車に乗り込んだクラリスはいつまでも手を振っていました。


 そして嵐さんは私達に言いました。


「……軍は信用ならんからな、このままだと利用されるのが目に見えている。とりあえず俺と一緒に暮らすか? 身の振り方は後から考えよう」


「はい」「これからズッと(・・・)」「お世話になります」


 嵐さんは私達の保護者になるのを、国に申請して認められました。

 宇宙には戦争孤児が多いので、審査などはなかったようです。


 最初のうちは身の回りの世話や雑用と、サバイバルと超能力の訓練などをしてましたが、一年が経過したところで私達も戦場に出ることにしました。

 もちろん、嵐さんには猛反対されました。


「おまえ達はもう十分強い。だが、敵の血を見て耐えられるわけがない! 命を奪ったことを後で悔やむことになる。エスパーと言っても女なんだぞ!」


 気遣ってくれる嵐さんに感謝しながら私は言いました。妹達は笑っています。


「嵐さんと一緒に戦場を巡って、その惨さは嫌というほど知りました。そして踏みにじられた人達の叫びを何度も耳にしました。だからこそ、少しでも弱き人達の力になるために、私達は戦います。嵐さんのように……すみません、それにもう手を汚しちゃってます。てへ」


「なにっ⁈」


 嵐さんが別の場所へ行ってる間に、腕試しがてら私達は悪党を倒していました。

 無抵抗の人達を撃ってるのを見たら、自分達と重なって怒りしか沸かず、良心の呵責に苛まれることは全くありませんでした。


 悪人更生? なにそれ、おいしいの?


 両親の仇はもういませんが、悪党に対する憎しみは残ったままで、守れなかった後悔もあるのでしょう。


「悪党をぶち殺すより、獣をさばく方がしんどかった」

「蛇は勘弁してほしいです。お兄ちゃん」


「……はあ、なんてこった」


 嵐さんは空を見上げ、深く息を吐きました。私達を怒ったりはせず諦めたようです。


「なら、しゃあねえな。これから俺達は神力傭兵団を名乗り、人を助けて守ることにする。ただ無理はするなよ」


「はい、隊長!」


 こうして私達は隊長と一緒に戦場を駆け巡りました。

 時々、キレて暴走しかける時もありましたが、隊長が念力で押さえてくれました。

 あらゆる意味で私達を止められるのは、優しい隊長しかいません。


 だからこそ、私達姉妹は隊長を深く愛していました。いつか平和に暮らすのを夢見て……無残に打ち砕かれましたが。

 

 ビイ――――!


 船内に警報が鳴り響きます。どうやら敵を発見したようです。

 私はすぐに宇宙服に着替えて格納庫に向かいます。この船の名はファミリー号。


 私達の拠点で家でもあります。船種としては輸送艦に近いですが、航宙母艦で小型戦闘艇を数機搭載しています。


 今回の敵は宇宙海賊。これまた軍隊くずれ……嫌になります。


 宇宙災害の中、援助物資を積んだ船を襲っているクソ野郎共です。

 依頼を受けて私達は海賊退治にきました。数隻の戦艦が相手です。


「姉貴、おせえぞ。あたいはもう出る!」

「ええ」


 気の短いリジーは、戦闘艇に乗り込んで発進しました。

 やや遅れて私とルナも出撃します。ファミリー号から離れると、そこは星の海。

 そしてミサイルとレーザーが飛び交う戦場です。


 私は操縦桿を握り、スロットルレバーを上げて海賊船へと向かいます。


 戦ってるリジーは敵艦の射撃を躱しながら、レーザー砲で攻撃してダメージを与えていました。

 接近戦に持ち込めば、速さと機動力で勝る戦闘艇が圧倒的に有利です。


 もっとも、身一つで戦艦を沈めてくる隊長には敵いませんでした。


 私達の出番はほとんどありませんでしたが、敵艦を無力化する時はルナの力が必要でした。

 準備が完了するまで、私とリジーは露払いをするだけ。


「いけるわ、お姉ちゃん!」


「やっちゃいなさい、ルナ!」

「いっちまえ!」


電脳支配サイバー・ドミネーション!」


 これで全ての海賊艦が沈黙しました。ルナのハッキング能力によって、艦の制御が奪われたからです。

 あとは艦に乗り込んで、しらみつぶしに掃討するだけです。海賊達の抵抗は無意味。


 こうして無事に依頼を果たすことができました。奪われた物資は本来の届け先へ送り、残った海賊艦は私達が貰って売りさばきます。


 大抵の依頼者は貧乏なので料金は安くしてます。なので天馬団の活動資金として、大切に使わせていただいております。


 毎度おおきに。

この作品がお気に召しましたら、感想や評価をいただけると励みになります。

ブックマークや評価していただけると、なお嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ