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聖魔の救済者  作者: 港瀬つかさ


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14/52

14.征服

「ヲイ、フーア。」

「何だ?」

「お前、やる気あるのか?」

「何を失礼な。真面目に次の目的地に向けて歩いているだろう?」

「…………そういうなら、お前の手の、そのイカ焼きは何だ?」

「そこの屋台で売ってた。」

「だから、本気で、やる気あるのか?!」

「だから、あると言ってるじゃないか。」


 街道でそんな口げんかを繰り広げる、勇者と邪神。通行人達の好奇の視線は、二人には痛くも痒くもなかった。元来目立つことになれている勇者のフーアと、人間の視線などどうでも良い邪神のアズルである。したがって、彼等は目立ちまくっていた。

 いや、そもそも、勇者と邪神が並んで歩いている方がおかしいが。その辺はご愛敬である。皆、あの邪神は勇者サマに負けて、その配下に入ったのだと、まぁ、一応間違っていないけれど、ちょっと違う認識を、通行人の方々はしていた。アズルがそれを知ったら、断固として否定しただろう。

 彼はフーアに負けたのではなく、叩き起こされて下僕にされたのだ。ちなみに彼は、未だにその下僕という発言には、怒りも露わに反発し続けている。二人の遣り取りを見ていると、下僕と言うよりはお目付役。むしろ口煩い爺やと傍若無人の若君といった感じだが。


「そりゃ、俺だってさっさとやりたいぜ?だけど、道中を楽しむぐらいの余裕はないとな。割に合わない。」

「だから、お前な……。」

「お前も食うか?イカ焼き。」

「いらんわ。」


 もう良いとばかりに、邪神が溜め息をついた。てくてくと普通に地面を歩く勇者と、その真横を5㎝ほど浮かび上がって移動する邪神。イカの丸焼きの刺さった串を差し出す勇者に、邪神は顔の前で手を振ってそれを拒絶した。

 使命が終わる日は遠そうだ。そんなことを、邪神は思った。いい加減、自分を解放してくれないだろうか。そんなことも、邪神は思った。到底無理なことだと解りつつ、思わざるをえなかったのである。



 勇者が使命をまっとうし世界を救済する日は、まだ、遠い…………。

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