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第96話 「ビーチの死闘!ワタルvsヤバンザメッ!」

 前回までのあらすじ! スカイ王国から南東へ数キロ歩いたところにあるビーチ“ピーチビーチ”の海の家で、バイトをすることになったブレイドとワタルとアリア! そしてビーチに来てはしゃいだアリアが海に入ると、そこにはなんと巨大なサメの魔物“ヤバンザメ”がいた! 果たして、アリアの運命や如何に!











「ウギャアアーーー!!!!!」


 水面から顔を出したヤバンザメに頭を噛みつかれたアリアッ! 彼女は頭から滝のように血をまき散らしながら、悲鳴を上げたッ!


「あ、アリアーーーッッッ!!!」


 衝撃的な光景を目の当たりにしたワタルが、思わず叫ぶッ!


 だが、まだあきらめてはいけないッ! アリアは回復魔法が使えるので、今のうちに助け出せばまだ何とかなるはずだッッ!!


「うおぉぉおーーーッッ!! 今助けるぞアリアーーーッッッ!!!」


 言うが早いか、ワタルは時速400キロのスピードで海に向かって走り出したッッッ!!!


「おいおい、どうする気じゃ!? 助けると言っても、あの女の子とヤバンザメがいるのは海のど真ん中じゃぞ!? 普通の人間ではどうあがいても助けには行けん!」


 心配そうに言うおじいさんッ! だが――彼は知らないッ!


 ワタルが、“普通の人間”ではないということをッッッ!!!


「武ッッッッッ!!!!!」


 そして彼は仁王の形相で、“海の上を走った”ッッッッッ!!!!!


「な、なんじゃとぉ!?」


 目を点にして驚愕するおじいさん! しかし、ワタルであれば可能ッ! 海の上を走ることなど、造作もないのだッッ!! ここまでこの作品を読んでくださっている読者の皆様であれば、そんなことは百も承知であろうッッッ!!!


「うおぉぉぉおおッッッ!!!」


 盛大に水しぶきをあげながら海上を走るワタルッ! 一直線にアリアの元へ行くと、右腕を振り上げて彼女の頭にかぶりつくヤバンザメの鼻っ柱を殴り抜いたッッ!!


「ウグォオォーー!!」


 不気味な声を上げて悶絶するヤバンザメ! これによって、アリアはサメの牙から解放されたッ!


「破ッッッ!!!」


 すかさずワタルはアリアの体を担ぎ上げると、海上をUターンして再び走るッ! 疾走(はし)るッッ!! 激走(はし)るッッッ!!!


 こうして、彼は見事にアリアを海の家まで運ぶことに成功したッ!


「大丈夫か、アリアッッ!!」


 肩に担いでいたアリアを木製の床にゆっくりとおろし、肩を揺するワタルッ! しかし顔中血だらけの彼女は、白目をむいたまま口から泡を吹いているッ!


 まずいッ! これは、お世辞にもなろう小説のヒロインがやっていい顔とは言えないッッ!!


 すると、横でアリアの脈を測っていたブレイドがおもむろに口を開いたッ!


「心配するな、ワタル! 脈はある!」


「そうか、良かったッッッ!!!」


 ワタル、ホッと一安心ッ!


 ――だが、戦いはまだ終了(おわ)っていないッ!






 ズバシャァァアアアーーーッッッ!!!






 海で盛大な水しぶきが上がったかと思うと、突如海中からヤバンザメが跳び上がってきたッ!


 この時、サメの全貌が初めてあらわになるッ!


 黒くてごつごつとした肌に、鋭い眼光ッ! 全長10メートルはありそうな巨大な体躯に、ギラリと煌めく牙ッ!


 そしてもっとも目を引くのは――背中に生えた、大きな鳥の翼ッッッ!!!


「つ……翼が生えているだとぉッッ!?」


 ワタル、驚愕ッ! 圧倒的驚愕ッッ!!


 サメに翼が生えているなど、言うまでもなく前代未聞であるッ!


 するとおじいさんが、深刻な面持ちで口を開いたッ!


「ヤバンザメは、“キメラモンスター”と呼ばれる、複数の動物の特徴が合わさった特殊な魔物なのじゃ! 背中に鳥の翼が生えておるから、海中だけでなく空中で活動することもできる!」


「なんだって!?」


 これにはブレイドも驚きを隠すことが出来ない!


 すると空中に浮かぶヤバンザメは、背中に生えた茶色い翼をバサリとはためかせ、ワタル達がいる海の家に向かって一直線に飛んできたッ!


 その光景はさながらB級映画ッ! 翼の生えた巨大ザメがビーチを襲うという、圧倒的チープ感ッ!


 しかしこれは現実であるッ!


「ブレイドッ! ヤバンザメと戦うぞッ!」


 そう言って海の家から砂浜へと飛び出すワタルッ!


「おう!!!」


 威勢よく返事をしたブレイドは、懐から3本の投げナイフを取り出したッ!


「俺が投げナイフであいつの翼を攻撃して足止めする! その隙にお前がとどめを刺すんだ、ワタル!」


「よし、任せろッッッ!!!」


 ワタルはコクリと頷くッ!


 そうこうしている間にも、ヤバンザメがワタル達の方へ飛んできていたッ!


「……よし、今だ!!」


 豪快かつ慣れた手つきで、右手に持っていたナイフをサメの翼目がけて投げるブレイドッ! 投擲された3本のナイフは勢いよく空を切り、敵の右翼に突き刺さったッ!


「グギアァァァーーー!!!」


 気味の悪い重低音の唸り声を上げるヤバンザメッ! 片翼が動かなくなってしまったサメは、そのままバランスを崩して砂浜に墜落したッ!


「チャンスだ、ワタル!」


 そう言って辺りを見回すブレイドッ!


 しかし……なぜか周囲にワタルの姿がないッッ!!


 まさか、このヤバンザメに恐れをなして、逃げ出してしまったのだろうか!? 読者の皆様が一瞬不安になってしまわれるのも無理はないッ!


 だが……































 ――(いな)ッ! 圧倒的(いな)ッッッ!!!


 熱血武闘派のワタルに限って、敵前逃亡などありえないッッ!!


 と、その瞬間ッ!


「……ドリャアァァァーーーッッッ!!!」


 ヤバンザメの下の地面から、勢いよくワタルが飛び出してきたッ!


 そしてその勢いを利用して、サメの鼻っ柱にアッパーをぶち当てるッ!


 間違いないッ! この技は、アフリカの秘境に住む謎の部族・ヤバイ族に古くから伝わる伝説の奥義“砂浜隠れ”であるッッ!!


(※砂浜隠れ……アフリカ大陸に位置する「ザンビア共和国」の秘境に住む謎の部族、ヤバイ族が編み出した武術。砂浜の中に身を隠し、敵の直下から飛び出してアッパーを行うという豪快な技。ヤバイ族では代々、「この技が使えれば義務教育終了」とまで言われていた。しかし高度なIT文明が築きあげられていく中でこの伝統は衰退。今ではこの技を使える者は部族内でも数人程まで減った。ちなみに一説では、日本の「砂風呂」の文化はこの砂浜隠れから着想を得てつくられたものではないかとする学説もある)


 つまりワタルは、砂浜の地面に潜って息をひそめ、ヤバンザメに攻撃を与える機会を見極めていたということだッ!


 これによってヤバンザメは完全ノックアウトッ! ワタルとブレイドは、見事にビーチを襲う脅威を排除することに成功したのであったッッ!!


 次回、「夏本番!ワタルの熱血ビーチバイトッ!」に続くッッッ!!!


・参考文献

[1]アフリカの謎の部族・ヤバイ族に迫る!Part2……異世界転生出版

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