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第93話 「猪突猛進の新章開幕!リベリオン、漫画家になりたいッ!」

 前回までのあらすじ! 4本の宝剣を集めたワタルは死後の世界に転移し、閻魔大王のエンマに再会! そして無事に完全復活を果たすことができた! よかったね!











 スカイ王国繁華街の一角に、超有名な漫画出版社、その名も“有名社(ゆうめいしゃ)”のオフィスビルがあったッッ!!


 この有名社は「週刊少年(まんじ)」や「月間ヤングファンシー」といった漫画雑誌を多数発行している巨大総合出版社であり、その名を知らないものはいない程であるッッッ!!!


 そして今回のエピソードの主人公の名はマーク! 年齢は28歳! 有名社に勤める編集で、その敏腕ぶりから若くして次期編集長候補と言われているエリートだ!


 服装は黒のシックなスーツで、髪型は短く爽やかな角刈り! 黒縁のメガネを掛けており、風貌からしてエリートな雰囲気を醸し出している!


 というわけでいつものように朝9時ぴったりに出社した彼は、メガネをキラリと光らせながら自分のデスクで原稿のチェックを行っていたッ!


(ふーむ、今週分の原稿も無事に全てそろった……ギリギリだったが、なんとか締め切りには間に合ったな……)


 そんなことを考えながらコーヒーを飲んでいると、後ろから事務員の女性が話しかけてきた!


「マークさん、新人の方が漫画の持ち込みに来ていますよ」


「お、本当ですか? じゃあ今手が空いているので、私が見ましょう」


 漫画雑誌の編集にとって、“新人漫画家の発掘”が大切な仕事であることは言うまでもないッ! そのため、新人が描いた作品を直接出版社に見せに来る、通称“持ち込み”にしっかりと応対することも彼の業務のひとつだッ!


 そして数分後ッ! 彼がビル1階に設けられた応接室に入ると、そこにはとげとげしい鎧に身を包んだ女性が立って待っていたッ!


 髪は青のロングヘアーで、目鼻立ちのくっきりとした美しい顔立ちをしているッ!


 彼女は部屋に入ってきたマークを見ると、きびきびとした動作で頭を下げてきたッ!


「どうも初めまして。私の名前は“†レクイエム†”と言います。どうぞお見知りおきを」


「あ、どうも初めまして、えーと……†レクイエム†さん。それはペンネームですか?」


「はいそうです、呼びづらいならレクイエムだけで大丈夫ですよ」


「いや、発音は一切変わらないですよね」


(くそ、なんだか面倒な新人が来たな……だが、こういうちょっと変わった人が案外面白い漫画を描くこともある。期待してみよう)


「それではレクイエムさん、そちらにお座りください」


「はい、失礼します」


 そう言ってレクイエム(リベリオン)は赤いソファーに腰を下ろしたッ! マークも対面のソファーに座るッ!


「それでは早速なんですが、原稿のほうを見せていただいてもよろしいでしょうか?」


「あ、はい」


 彼女はコクリと頷くと、懐から取り出した紙の束を目の前のテーブルに置いたッ!


「あの、実は私絵が下手なんですよ。だから、今日は鉛筆で描いたネームを持ってきました」


「絵が下手なのに漫画家を目指しているんですか!?」


 思わずツッコんでしまうマークッ!


(※ネーム……漫画を描く際のコマ割りやセリフ、キャラクターの位置などを大まかに表したもの。要は漫画の下書き。ちなみにこの“ネーム”の発祥は、古代エジプトの壁画士“ネルーエム”だと言われている。彼は壁画を描く前に綿密な下書きを行っていたのだが、この作業が世界中に伝わる際に、彼の名前がなまって“ネーム”となった)


「ま、まあいいでしょう……それでは、チェックさせていただきますね」


 彼はそう言って、テーブルの上に置かれた原稿の束を手に取るッ!


(普通は持ち込みにネームを持ってくるなんて論外中の論外なんだが……まあいい、とりあえず目を通してみるか)


 そして原稿の1枚目をチェックしたマークは度肝を抜かれたッ!


 なぜならッッ!!


「えーと……“†暗黒の楽園 ―ダークネス・パラダイス―†”ですか……」


 表紙に書かれたタイトルがヤバかったからだッッッ!!!


「はい。“†暗黒の楽園 ―ダークネス・パラダイス―†”です」


 真顔で答えるレクイエム(リベリオン)ッ!


(もうアウトだろ! タイトルでアウトだろ! 少年誌だろうが青年誌だろうが、こんなわけのわからんタイトルを通せるわけないだろ!)


 マークは苛立ちながらも次のページに目を通したッ!


「どれどれ……」


 すると彼の目に、わけのわからない文字の羅列が飛びこんでくるッ!











 暗黒に覆われた世界、インフィニティ・ヘル(通称:無限の地獄)。


 この世界で孤独な運命 ―ロンリネス・デスティニー― のもとに生きる闇の化身、エクストリームルシファーⅢ世。


 彼はある日、愛していた女性・ティアラを天空界(一般人には天国とも呼ばれている)の刺客に殺されてしまう。


 復讐 ―リベンジ― に心を蝕まれたエクストリームルシファーⅢ世は、ティアラの仇をとるために単身天空界へと乗り込むのであった。


 そこに待ち受けるのは謎の組織、“聖なる右腕 ―セイント・ライトハンド―”。


 果たしてエクストリームルシファーⅢ世は、ティアラの仇をとることが出来るのであろうか。


 括目せよ。これは、闇の鎖 ―ダークネス・チェーン― に縛られてしまった一人の青年の、悲しくも美しい物語の一片である。











「ちょっと待ってもらっていいですか?」


「え、どうかしましたか?」


 レクイエム(リベリオン)は首をかしげたッ!


「これ、漫画ですよね? なんで背景真っ黒の中でひたすらあらすじを書いてるんですか?」


「なんかその方がかっこいいかと思って」


(かっこいいわけないだろ! どんな神経してるんだ!)


 マークは苛立ちを募らせながらも原稿をめくったッ!


(クソ、しかもやっぱり普通に絵が下手だ! 子どもがチラシの裏に描く落書き並みの低クオリティ! 画面の中で何が起こっているのか全く分からないし、いくらネームとはいえこれじゃお話にならない! もう適当なアドバイスをして帰ってもらおう!)


「そ、そうですね……とりあえず、この主人公の名前を変えるところから始めましょう」


「え、エクストリームルシファーⅢ世じゃ駄目ですか?」


「正直ちょっとセンスが中二すぎるというか……あと、敵組織の名前も“聖なる右腕 ―セイント・ライトハンド―”って、意味が分かりづらいですよね……」


「分かりました、じゃあ敵組織の名前は“聖なる左腕 ―セイント・レフトハンド―”に変えます」


(そういうことじゃねぇよ! 右腕を左腕に変えても意味は全く分からねぇよ! ていうか左腕なら「レフトハンド」じゃなくて「レフトアーム」だよ!)


 心の中で毒づくマークッ!


「ま、まあこういう中二テイストのギャグマンガ、ということであれば全然アリだと思います」


「いや、これはギャグとかそういうやつじゃなくて、しっかりとしたシリアスアクションとしてやっていきたいと思っていまして。もうここは譲れないんですよね」


(なんでそこ頑固なんだよ!!! しかもどこからその自信が湧いてくるんだよ!!!)


 果たしてマークは、無事にこの地獄の原稿チェックを切り抜けられるのであろうか!?


 次回、「もう帰れ!リベリオンの暴走ッ!」に続くッッッ!!!


・参考文献

[1]古代エジプトと現代漫画の意外な接点を紐解く……異世界転生出版

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