第87話 「珍問!困惑必死のクイズ大会ッ!」
前回までのあらすじ! “スカイ王国早押しクイズ大会”の予選であるマラソン大会で首位を争うワタルとジョニー! 一時はワタルが優勢であったが、ジョニーの“油を靴に塗って滑る”という奇策によってまさかの逆転! 結果、ジョニーが1位で予選を通過するのであった! ここからは決勝のクイズ大会! 果たして、優勝するのはどちらのチームだ!?
「レディースアンドジェントルメーン! さあ始まりました、“スカイ王国早押しクイズ大会”! 決勝戦の司会進行は、皆さんご存知! 私、ジョセフ横澤でございます!」
「「「イエーーーイ!!!」」」
「「「ワーワーワー!!!」」」
「「「パチパチパチーーー!!!」」」
ジョセフ横澤の言葉を皮切りに、観客席から大量の拍手が沸き上がるッ!
特設ステージの上では、ワタル・アリア・リベリオンチームと、ブレイド・マリー・ジョニーの2チームが、緊張の面持ちでクイズに備えていたッ! 彼らの前にはそれぞれ1つずつテーブルが設置されており、その上には深紅の早押しボタンがちょこんと乗っているッ!
「それでは早速、クイズに行きましょう! 第一問!」
彼がそう言うと、デデン!と軽快なBGMが流れたッ!
「ついに始まりますね、ワタルさん……!」
「ああ、そうだな……ッ!」
目の前の赤い早押しボタンをにらみながら、ワタルは腕を組んだッ!
そしてマイクを握りしめるジョセフ横澤が、笑顔でクイズを出題し始めるッッ!!
「……問題です! “パンはパンでも、食べられないパンはなーーんだ?”」
定番ッ! 圧倒的定番ッッ!! この問題は、言うなればクイズの世界におけるベスト・オブ・定番だッッッ!!!
(わかったぞッ! 答えは……“フライパン”だッッ!!)
答えが分かったワタルは、日頃の修行で鍛えた反射神経を駆使して、時速300キロのスピードで目の前のボタンを押したッ!
――が、しかしッッ!!
ドゴォォォンッッッ!!!
な、なんということだッ!
ワタルの押す勢いが強すぎて、ボタンが木っ端みじんに破壊されてしまったッッ!!
これでは解答が出来ないッッッ!!!
「何やってるんですかワタルさん!?」
「正気かワタル!?」
驚愕に目を見張るアリアとリベリオンッッ!!
「す、すまねぇッッッッッ!!!!!」
彼は目に大粒の涙を浮かべながら謝罪したッ!
「おおっと、なんということでしょう! ワタルチーム、まさかのボタン粉砕! 驚きの事態です!」
「よし、チャンスだぜ!」
この隙を見計らって、普通に目の前のボタンを押すブレイド!
ピンポーンッッッ!!!
会場にこだまする早押しボタンの音!
「さあ、というわけで解答権を得たのはブレイドチームです! それでは、答えをどうぞ!」
「答えは……“フライパン”だ!」
ブレイドがそう答えると、ジョセフ横澤は笑顔で口を開き
「正解でーす!!!」
と言ったッッ!!
「「「イエーーーイ!!!」」」
「「「ワーワーワー!!!」」」
「「「パチパチパチーーー!!!」」」
そして巻き起こる拍手喝采!
「やったね兄貴! さすがだぜ!」
「おう! この調子でガンガン行くぞ!」
完全に調子付いたブレイドチームッ!
しかし、それを許さない人物がここにいたッ!
「ちょっと待ってください!」
その名はアリアッ! もはや説明不要のパーフェクトヒロインであるッ!
「その答えは……間違いです!!!」
「何を言っているのよ! “パンはパンでも食べられないパン”……そんなの、フライパンに決まっているじゃない!」
腰に手を当てながら怒鳴るマリー!
しかしアリアはブンブンと首を横に振るッ!
「フライパンは……食べられます!」
彼女はそう言うと、おもむろに懐からフライパンを取り出したッ!
そしてッ!
「おりゃあああ!!!」
気合一閃ッッッ!!!
阿修羅の形相でフライパンにかじりつき始めるッッッッッ!!!!!
「アリアッッ!! ……何をやっているんだッッ!?」
これには流石のワタルもびっくり仰天ッッ!!
しかしそんな彼を横目に、アリアはフライパンをガリガリボリボリとむさぼり続けたッッ!! 鉄製のフライパンを、いともたやすくかみちぎっているのだッッ!!
恐るべし、アリアの顎力ッッッ!!!
そして数秒後、彼女は無事にフライパンを平らげたッ! あまりにもおぞましい光景を目にして、唖然とする観客たちッ! すると彼女は胸を張って叫ぶッッッ!!!
「どうです! フライパンは食べられますよ! なので、このクイズの答えはフライパンではありません!」
それを聞いたジョセフ横澤が、頬を引きつらせながらも口を開いた!
「た、確かに……今アリアさんが証明したように、フライパンは食べることができますね! よってブレイドさんの解答は不正解とします! 第1問は引き分けです!」
「おい! そんなのアリかよ!?」
思わず不満を漏らすブレイド! しかしフライパンは食べることが出来ると証明されてしまった以上、反論の余地はどこにも存在しないッ!
「それでは気を取り直して、第2問に行きましょう!」
ジョセフ横澤のアナウンスに合わせて、再びデデン!と軽快なBGMが鳴り響くッ!
「……問題です! “私、ジョセフ横澤が一番好きなおにぎりの具はなーーんだ?”」
「「「「「「??????」」」」」」
……一同、困惑ッッ!!
次回、「白熱!ワタル、渾身の解答ッ!」に続くッッッ!!!
・参考文献
[1](小学生向け)たのしいクイズブック……異世界転生出版




