第40話 「弱肉強食の新章開幕!ワタル、アイドルデビューッ!」
前回までのあらすじ! ワタルはドラゴンを倒した!
そんなわけで、“ドラゴン討伐”という役目を終えて無事にスカイ王国へと帰還したワタルとアリアッ! 彼らは早速、報酬を受け取るために王宮へと向かったッ!
「楽しみですねワタルさん! 一体いくらもらえるんでしょうか!」
「楽しみだなッ!」
豪華な装飾の施された長い廊下を、近衛兵に案内されながらひたすら歩き続ける2人ッッ!!
数分後、ついに王様の謁見室にたどり着いたッ!
巨大な扉を開けてワタルたちが中に入ると、そこでは既に一人の老人が椅子に座っていたッ!
そう、国王であるッッ!!
「うむ、来たか。君たちがドラゴンを倒したという話は、既に伝令から聞いているぞ」
王様は、もっさりと生やしたあごひげを撫でながらそう言ったッ!
「そうですッ! ドラゴンを倒しましたッ!」]
ワタルは元気よく返事をしたッ!
「うむ、よくやった! では約束通り報酬金を渡そう!」
王様はそう言うと、傍にいた近衛兵に指示を出すッ! するとその近衛兵はすぐさま部屋を飛び出し、数分後大きな宝箱を抱えて戻ってきたッ! 非常に重そうであるッッ!!
「その宝箱の中には、金貨が5000万ゴールド入っておる。これを報酬金として受け取ってくれ」
「ご、5000万!?」
アリア、驚愕ッ!
ちなみに、5000万ゴールドを日本円に換算すると、約5億円ッッッ!!! 一生遊んで暮らせる金額だッ!
「やったなアリア! これで病院をもっと大きくできるぞッ!」
ほとんどその描写が出てこないので時々忘れそうになるが、アリアの両親は医者であるッッ!!
「ワタル君、君は本当によくやってくれた。もしも何かあったら、また君に解決をお願いすると思う。その時は、よろしく頼むぞ」
「はいッッッ!!!」
こうして、ワタルとアリアは大金持ちになったッッ!!
――が、だからと言ってワタルのストイックな熱血筋トレ生活は変わらないッ! 報酬金の一部を使ってアリアの両親が経営する病院を立派なものに改装したが、残りのほとんどは貯金に回したッ!
圧倒的老後の蓄えッッッ!!!
大金を手に入れても決して堕落しないのが、ワタルの強みであるッ!
ちなみにアリアは普通に調子に乗ってトイレを純金製にしようとしたが、ワタルが全力で止めたッッ!!
そんなこんなで、ドラゴン討伐から一か月が経過ッ!
早朝、ワタルがいつものように腕を360度回転させながらその風圧で空を飛ぶ練習をしていると、目の前にブレイドとジョニーとマリーが現れたッ!
「アッ! お前たちッ! 久しぶりだなッ! 元気にしていたかッ???」
ワタルは腕をぐるんぐるんブン回すのをやめて、挨拶をしたッ!
彼らはかつて、家賃が高騰したスラム街で暮らしていくために、“黒バラ盗賊団”と名乗って盗みを働いていた連中であるッ! しかし、ワタルが諸悪の根源であるウィルソンという男の計画を阻止したことでスラム街の家賃は元に戻ったので、現在盗賊団は解散しているッッ!!
「はっはっは!久しぶりだな、ワタルよ!」
ブレイドは快活に笑いながら言ったッ!
「で、何の用だッ!?」
「ワタル、お前が知っての通り、俺達は盗賊団を解散した。だが、ひとつ問題が発生したんだ」
「……なんだッ???」
ワタルは眉をひそめたッ! するとここで、おなじみの黒いドレスに身を包んだマリーがブレイドの言葉を引き継ぐッ!
「…………………………………………………………………………………………………………働きたくないのよ!」
「……知るか、働けッ!」
ワタルはそう言い捨てて全力疾走ッ! 時速120キロのスピードで移動を開始ッ! あんな奴らにかまっている暇などないのだッ!
――だが、なんと後ろからジョニーが追いかけてきたッ!
流石は“俊足のジョニー”の異名を持つ少年ッ! その足の速さには目を見張るものがあるッ!
「待てよワタル! オイラたち困ってるんだ! 助けてくれよ!」
「そんなことまで協力出来るか! 真面目に働けッ!」
「嫌だよ! オイラたち働きたくないんだよ! 盗賊団としてやってきた時間が長すぎてもう真面目に働く気力がわかないんだよ!」
早朝のスカイ王国の街中を時速120キロで駆け抜けていくワタルとジョニーッ! あまりにも壮絶な光景であるッ!
「大体、俺に協力出来ることなんてないだろうッ!」
「ある! あるんだよ! ワタルにしか出来ないことが!」
「なんだッ!」
「アイドルだよ!」
「アイドルッッ!?」
その言葉を聞いた瞬間、ワタルはハッとした顔で立ち止まったッ!
「アイドル……だとッッ!?」
ちなみにジョニーは立ち止まることが出来ず民家に突っ込んでいったが、まあ良しとしようッッッ!!!
亜威怒流ッッ!!
それは、歌・踊り・殺戮という3つの要素を兼ね備えた最強の戦士にのみ与えられる異名のことであるッッ!!
古来より、多くのアイドルが派閥を組み、どの派閥が最も優れたパフォーマンスを行うことができるのかを競ってきたッッ!!
特にワタルが元いた国、日本の“亞鬼刃罵羅”は亜威怒流の聖地と呼ばれているッッ!!
そこには“地下闘技場”というものがあり、そこで亜威怒流たちが毎日のように血まみれの戦いを行っているということは、読者の皆様であれば既にご存知であろうッッ!!
そうッ! 亜威怒流とは、高潔なる戦士のことッ! 故に、ワタルにとってあこがれの存在なのだッッッ!!!
もし本当に亜威怒流になれるのであれば、挑戦する価値はあるッッッ!!!
というわけで、ワタルたちはスラム街の一角に位置する廃倉庫へと場所を移したッ!
「よし、では早速詳しく話を聞こうかッ! なぜ“亜威怒流”になろうと思ったんだ?」
ワタルがそう聞くと、すかさずブレイドが口を開いたッ!
「実は、今度ここスカイ王国で“ウィンド大陸最強アイドル決定戦”が開催されることになったんだ」
「ほう……ッ?」
「優勝賞金はなんと100万ゴールドよ。だから私たちは、この大会に参加することにしたの」
マリーが腕を組みながら話を続けるッ!
「でも問題があってね。この大会の参加条件は、3人1組であることなんだけど、男女混合は禁止なの。つまり、男性3人か、女性3人のグループを組まないと参加することができないのよ」
「なるほどなッ! だから、数合わせとして俺が必要ってわけかッ!」
「話が早いじゃんか!」
ジョニーがにこりとはにかんだッ!
「だがいいかお前たちッ! “亜威怒流”というのは、決して楽な職業じゃないッ! 命を落とすなんてのは、日常茶飯事だッ! それでもやる覚悟はあるのかッッッ!!!」
「「「……?」」」
仁王の形相で問いただすワタルに、ポカンとするブレイドたちッ! どうやら、ワタルとブレイドたちとでは“亜威怒流”に対する認識が違うようだッッッ!!!
「どうしたお前たちッ! そんなことでは優勝出来ないぞッ! やるからには、全力でやるんだッッ!!」
「……なんか分からんが、要するにお前は俺達に協力してくれるということだな? なら、全力を尽くそう! 早速大会に向けて練習に取り掛かるぞ!」
こうしてワタルたちは、“ウィンド大陸最強アイドル決定戦”に向けて猛特訓を開始することになったッッッ!!!
次回、「画策!これが漢の熱血アイドル戦略ッ!」に続くッッッ!!!
・参考文献
[1]必読!!亜威怒流徹底解説!!!……異世界転生出版
[2]世はまさに亜威怒流戦国時代!!今日から君も推しを推せ!!……異世界転生出版
[3] 観光用!亞鬼刃罵羅名所マップ!……異世界転生出版




