表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
男の大聖女さま!?  作者: たなか
第8章 疑雲猜霧
73/1285

第57話 指南

「えっ……ソラ様は光魔法の魔法使いですよね……?」


 セラフィーさんが驚く。


「セラフィーは知らないのね。ソラ様は魔術でサクラ様に勝たれ、剣術ではアレン様に勝たれてしかもアレン様に直接指導までされるほどの実力なの!今月の聖女専門雑誌『NewSAINT(ニューセイント)』の一面にサクラ様のインタビューがあったんだけど、『ソラちゃんはオールラウンダーで、どの武器で闘ってもソラちゃんに敵う相手はいない』と仰っていたのよ!」


 それは『廃人』をオブラートに包みすぎだよ……。

 しかも何その専門雑誌……?

 初耳なんだけど……。


 大分脚色された評価だけど、要は各戦闘スタイルの知識とバカ高いステータスがあるだけなんだよな……。


「まずは皆さんの身体強化からみてみましょうか」

「何をみるの?」

「うーん……想像力、ですかねぇ?」

「想像力?」


 ソーニャさんが首をかしげる。


 いつもなら対人戦から確認するけど、流石に僕は学んだ。

 ステータスの影響か、どうやら僕は手加減をするのが下手らしい。

 なので対人をする前に、基礎から確認することにした。


 僕は木の丸太と『月のグローブ』をいくつか出す。


「このグローブをつけて、丸太に身体強化してぶつけてみてください。吹っ飛ばしても、粉々にしていただいても構いませんから」

「い、いや……拳で丸太を粉々にはできないと思うよ……」


 ミア様に呆れられてしまった。

 そんなにおかしなこと言ったかな……?


「ソーニャさんにはこちらの『ミスリルダガー』を渡しておきますが、しっくりこなければご自分の武器で試しても良いですよ」


 そういって渡す。

 短剣武器は他に比べて、手に馴染むかも大事な要素だ。


「ソラ様のおすすめだし、使ってみる」




 ミア様から順に丸太に拳をあててゆく。


「すーっ、ハッ!」


 ミア様とセラフィーさんはボコッと丸太が半分くらいへこんでいた。

 ソーニャさんのミスリルダガーも丸太を半分くらい削っていた。


「ミア様とセラフィーさん、もしかして丸太を叩くときに自分のグローブを覆うように身体強化を施していますか?」

「そうですが……それが普通ではないのですか?」

「それでも強化は出来ますが……威力を考えると少し考えた方がいいですね。先ほども想像力という話をしましたが、例えば自分のグローブの先にドリルのように鋭利なものがくっついていると思って強化すればっ!」


 僕はそのままグローブのついた自分の拳を丸太に接触する直前で止めると、ガガガと音を立てて丸太に丸い穴が空いてゆく。


「このように拳を直接あてなくても、丸太に穴を空けられます。それに『丸太をへこましたい』のように目的がはっきりしているなら、身体強化する部位はグローブ全体ではなく実際にあたる部分だけにすることで魔力を効率的に使えますよ」

「なるほど……」


「丸太を割りたいなら鋭くすれば良いですし、魔物相手に当てるならグローブを丸く覆うより、ギザギザにして傷をつけた方が強そうじゃないですか?」

「確かに……」


「どのように強化したいかの想像がきちんと出来ているかが大事です。極めれば、こんなことも出来ます」


 グローブを外して、5メールくらい離れた場所の丸太に向けて右手をかざすと、パァン!と音を立てて粉々に吹き飛んだ。


「す、凄すぎる……」

「最早身体強化じゃなくて、魔法」

「流石にこれは無理だと思います……」


 流石に自分の中の魔力がごっそり減った感覚がする。


「もちろん身体強化は自分の身体から離れていくと、それだけ消費魔力が高くなってしまいますから、これは極端な例ですけどね……。ひとまずみなさんはこれで丸太を割るところから始めてみましょう」

「「はい、ソラ先生!」」




 午後になってからは移動手段としての身体強化の練習をしていた。

 基本的には想像力なところは変わらないので、あとは自分たちがコツをいかに掴むかだ。

 対人戦からお互いにアドバイスできると思い、僕を除いた3人を二組に分け、対人戦と身体強化の練習で交互にやっていた。


「みなさん、大分動きが良くなりましたね」

「はあっ、はっ、大分魔力を使ったと思っていたけど、このネックレスは凄いね!まあでも、魔力はあっても流石に疲れた……」

「日も落ちてきましたから、そろそろおしまいにしましょうか」

「「ありがとうございました、ソラ先生!」」




「あ、ソラ様!お疲れ様です」


 エルーちゃんのチームと合流する。


「そちらはどうでしたか?」

「非常にためになったよ。障壁は特にね」

「エルー先生は分かりやすくて、私でも障壁が固くなりました!」

「それは良かったです」


 すると、庭園の奥から見知った人がやってきた。


「サクラ様!」

「サクラさん?どうしたんですか?こんなところで……」

「いたいた。明日また王女とお茶会をするのだけど、来る?」

「お茶会って……」


 確か女子会と言う名のコイバナ会だよね……。


「せっかくだし、乙女の恋愛相談にのってあげようかと思って」


 オトコとオトメ、一文字違うだけでえらい違いだよ……。


 でも一人で悩んでいるよりはいいかもしれないと思い、僕は承諾することにした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ