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男の大聖女さま!?  作者: たなか
第39章 十人十色
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第309話 合図

「や!久しぶり、シルク君」

「お久しぶりです、ソラ様、お義姉様方」


 休日。

 僕はシェリー達と聖女院のシルク君を訪れた。

 相変わらず、ソーニャさんより表情が読めない子だ。

 でも彼のクールさは、「男らしさ」が欠如している僕にとって、羨ましくて尊敬するところでもある。

 まあ参考にしたところで、もう僕に男らしさが戻ってくるとは到底思えないので諦めているけどね……。


「もう、堅いのはナシって話したでしょう?」

「そうそう、家族にあえて嬉しいのなら、にっこりすればいいんだよ」

「こらこら、そこは個性なんだから、強要しないの。シルク君も、文句があれば反論していいからね?」

「あの……」


 そう言うとシルク君は、表情には出さなかったが少し言うのを躊躇っている風な雰囲気を出した。

 それは、言うかどうかを迷っているという合図。

 つまり、自分で考えて発言している合図だった。


「せっかくお義姉様方からいただいたものですから、ソラ様も愛称で呼んでいただけませんか?」


 シルク君が、自分で意見をしてくれた……!!


「もちろんだよ、シル君!」


 クールな男の子の思わぬ一面に、思わず抱き締めてしまう。


「ソラ様、前が見えません」

「ご、ごめんね。でも、嬉しくて……」


 体を離すと、シルク君は少し顔を赤らめていた。

 シェリーとセフィーの前だったし、気恥ずかしかったのだろうか?


「最近は何か不便なことはない?」

「これ以上を望むなど……」

「シル君、遠慮はダメだよ」


 セフィーの言葉に、うんうんと頷く。


「いえ、そういうわけではなく。単純にこれ以上快適なことは知りませんので」


 そう言われると、もっと快適にさせてあげたくなっちゃう……。

 シル君、結構年上をその気にさせるの得意……?

 いや、天然かも……。


「でしたらソラ様、私に修行をつけてくださいませんか?」

「シル君、強くなりたいの?」

「はい。ソラ様を守るなんておこがましいことは言いませんが、隣で並ぶのが恥ずかしくないくらいにはなりたいです」

「シ、シル君……!」


 僕はシル君の手を取ってぶんぶんと縦に振る。


「勿論だよ!」

「隣に並ぶ……はっ!まさかシル君……お義母さまのことを『お義母さま』と呼ばず、頑なに『ソラ様』と呼ぶのって……」

「ん?シェリー、どうかしたの……?」

「い、いえ!なんでもないです!なんでも……」

「そう……?さ、シル君、庭園に、行こっ!」


 僕は軽い足取りでシル君をつれ回す。


「お義母様、罪作りなお人……」


 僕は、まさかこの時のシル君の合図があんなことになるなんて、思ってもみなかったのだった。

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