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男の大聖女さま!?  作者: たなか
第37章 疑心暗鬼
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第288話 送別

 来賓の祝辞は、サクラさん。

 真桜ちゃんを抱っこしての登場だ。


「皆、卒業おめでとう。ソフィアの言った通り、私はソラちゃんのおかげで生き永らえて無事真桜を生むことが出来たわ。真桜、挨拶なさい」

「……あー」


 真桜ちゃんの無邪気な声に、キャーッと黄色い声援が聞こえる。


 なんだかアイドルみたいだな……。


「私もここの卒業生だけれど、当時はやんちゃしていた記憶があるわ。よくわからない派閥を作ったり、授業抜け出してスイーツを食べに行ったり。カーラと担任のアナベラ先生にはよく注意されていたわ」


 今のカーラさんならサクラさんのイエスマンだから同調しそうだけれど、当時は違かったようだ。

 あとあの学園長(戦闘狂)が怒っている姿なんて、あまり想像できないな……。


「そんなとき、西の村で疫病が発生したの。私はそこで苦しめられ、今にも命を落とそうとしている人達がいることを知った。命の危機に立ち会った私は、それがとても怖くなって、まともに魔法すら使えなくなっていた。なんとか助けた人達に感謝されてから、私は生きていることの尊さを学んだわ」


 命を掛けることが身近だからこそ、大切さというのも実感できるものなのかもしれない。


「便利になった世の中だけれど、まだまだ一人で生きることは難しいわ。私だってそう。だからこそ、いろんな人が助け合って生きている。私達は同じソラちゃんに助けられた同士だけれど、皆が皆ソラちゃんを助けようとしなくていいの。それぞれが身の回りの人達を助けていけば、やがて巡りめぐってソラちゃんを助けることになると思うから――」




 卒業式は終わり、校門前。

 僕達聖徒会は、ソフィア会長とライラ様を送るため集まった。


「シエラ君が無事でよかった」

「ご心配をお掛けしました……。お二人とも、ご卒業おめでとうございます」

「ありがとう。シエラ副会長、シェリルをよろしくお願いね」

「ええ。勿論です」

「シエラさん、お別れですね……」


 およよと泣いているソフィア会長。


「いや、会長とは頻繁に会うでしょう……」

「「えっ……?」」


 あ、墓穴掘ったか……?


「ええと、で……弟子同士ですから……」

「ああ、そういえば。でも納得の強さですね」


 いや、大丈夫か。


「もう学園で会うことはないと思うと……シエラさんの制服姿をもっと目に焼き付けておけばよかったです」


 そんなに価値のあるものじゃないでしょ……。


()()()()()()()()()()()()()()()()()


 明日のことを釘指されてしまう。


「ええ」


 卒業式も無事終わったことだし、明日こそ決戦の時だ。

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